第18話 社会人

数年後────



私は大きく背伸びをした。



「やっぱ日本は良いね!」




私、深沢優華。20歳。


日本に戻って来ました!


父親が友人に頼んでくれて仕事も決まっているというラッキーな私。



「今日から、ここで働く事になった深沢優華さんだ。私の友人の娘さんなんだが仲良く色々と教えてあげてくれ」




その日の夜、歓迎会が行われた。




「まあ、飲んで飲んで!」



同じ職場の富士村 美波(ふじむら みなみ)さん。27歳。

バツイチで独身らしい。



「優華ちゃん、飲んで、飲んで」

「あー…私…余り飲むと…」

「えっ?何かあるの?」



同じ職場の宇見山 愛吏(うみやま あいり)ちゃん。20歳。

ほぼ同時期に、愛吏ちゃんが、ちょっと早めに入社したようだ。



「いや、あるとか、ないとか…そんなんじゃなくて」

「気になるーー」

「この際、酔ってみよう!」

「えっ?ええーーっ!」



だけど、私は正直、お酒に強い。

酔った事がない分、未知数でどうなるか分からない。


みんな酔い潰れ、各々送迎やタクシーを使って帰宅。


そして、私と付き合ってくれた人がいて、途中、眠気が来たのか…記憶がなくなっていたようで────




「…あれ…?ここ…」

「目、覚めた?」




ドキッ


私は同じ職場の・左々原 伸悟(ささはら しんご)さん。25歳のマンションに来ているようだ。


と、言うより面倒見る含む介抱するつもりで、お持ち帰り状態だ。




「すみません。ありがとうございます。すぐに帰り…」




グイッ


私の手を掴み引き止められたかと思うと、キスをされ、そのまま倒された。




「ちょ、ちょっと!辞め…」

「初めてじゃないんでしょう?」

「えっ?」





ドカッ

股間に蹴りを入れる。



「…っ…」


「ふざけんなっつーの!私の事、甘く見ないで下さいっ!私、本気で好きになった人以外とはしません!軽い女とか都合の良い女とか、そんな風に見られたら困ります!良い迷惑ですよ!失礼しますっ!」



私は部屋を飛び出した。



「…っ…て…ここ何処っ!?」



私はとにかく帰る事にした。






そして─────



「この前はゴメンっ!」




会社の屋上に呼び出し両手を合わせ謝る左々木さん。




「……………」



「酔ってたから本当にゴメンっ!」

「…良いですよ…もう。あれはジコですから!」



ダラダラも面倒だ。


確かに驚いたけど、話してるとキリがないので、一先ず和解。






ある日の事─────




「優華ちゃん♪」



ぎゅっ

私に抱き付く人影。




「きゃあっ!」




振り返る私。





「美波さん…?」

「今日は付き合って♪」

「えっ?な、何にですか?」



意味ありげな笑みを浮かべている美波さん。



「何かちょっと…その笑みは怖かったりして」

「優華ちゃんしかいないから、お願い!」


抱き付かれた体を離すと、両手を合わせる美波さんの姿。



「…別に…良いですけど…」

「…本当?ありがとーーっ!」





そして私は何も知らされず付き合う事になったんだけど───



「えっ…?ええーっ!!こ、これって合コン!?」


「そう!幅広い年齢層で合コン♪19歳~30歳までの年齢層だから良い人、1人はいるわよ。ゲットしなきゃ」


「…美波…さん…」


「優華ちゃん可愛いし、きっといい線いくわよ」

「いや…どうでしょう…?…でも…私…合コンって初めてで…」

「大丈夫!」

「…そうですかね…?」

「そうそう」




そして─────




「いや…やっぱり辞めておきます」

「ここ迄来て何言ってんの?」

「だ、だってーーっ!」





一方────



「ちょ、ちょっと!先輩、合コンって…どういう事ですか?」


「何言ってんだよ!良いだろう?彼女も随分いないし、そろそろ1人や2人つくれ!」


「はああぁぁっ!?良いっすよ!俺」

「上司命令だ!従え!」



そして八会う私達。




「…どうも…」




お互い軽く頭を下げる。



そのうち1人に目が止まる。




《…あれ…この人…何処かで…》




彼らは、私達の同じ合コン席のようだ。


そして、名前が、まさかの幼なじみの志伸と同じ!?


偶然ではあるけど雰囲気も似ている。


だけど、本人だという保証はない。


聞きたいけど聞く勇気なくて盛り上がりそのまま数時間が過ぎる。



合コンは、お開きとなり──────




「優華ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫ですよ。美波さんこそ大丈夫ですか?」

「大丈夫よ。それじゃ」

「美波さん、気をつけて帰って下さいよ」

「大丈夫。大丈夫」



「…美波さん…大丈夫かな…?結構飲んでたしな…」

「志伸、彼女を頼むよ」

「えっ!?あっ!ちょ、ちょっと!先輩!」

「えっ?ちょ、ちょっと!あの人…下心あるんじゃないんですか?やっぱり私が…」

「安心しろ!先輩は、そういう人じゃないから」


「えっ…?」

「色々あって合コンに参加してるから」

「本当に大丈夫なんですか?」


「大丈夫だって言ってんだろう?」

「男なんて信じられません!失礼します!」

「おいっ!ちょっと!」



グイッ


引き止められた。



「ちょっと待てって!」


「何なんですか?私が送るので引き止めないで下さい!第一、初対面だし!」


「初対面!?はああっ!?」



両頬を摘ままれた。



「…何…」

「てめー…いつ、こっち帰って来た?」

「…は?…今…てめーって…言いました…?」


「あー、言ったよ!つーか、何の連絡もなしに男あさりの合コンか!?それがお前の最初の登場かよっ!? 」



摘ままれた両頬から手を離す。



「さっきから何?本当、失礼な…」



言い終える前に遮られる。



「深沢優華… 20歳」



そのまま話を続ける。



「3人の幼なじみがいるはずだけど?」

「…えっ…?」

「共通点、多過ぎなんだよ!」

「…ちょっと…待って…ごめん…なさい…話が…」

「だーかーら!俺、幼なじみの志伸!」

「えっ!?」


「高2の時、転校して以来だからな」

「…本当に…あの…志伸…?記憶…戻って…」

「ああ。お前が転校した、その日、記憶が戻ったんだよ」


「…そっか…良かった…いや!つーか、あんたの先輩は本当に大丈夫なの!?」


「ああ!マジ大丈夫だから。で?アイツらには連絡したのか?」


「してないよ。日本に帰って来てもバタバタだったし…それに随分と年月経ってるし」


「へぇ~…バタバタなわりには合コンの暇はあるんだな」


「いやいや!私も合コンなんて知らなくて美波さん、さっき一緒に参加していた人から誘われて来たから」


「じゃあ今度みんなで会おうぜ。俺から2人には伝えておくから」

「うん、分かった」

「日程決まったら連絡するから、お前の連絡先教えろ!」

「えっ?ちょっと!もっとましな頼み方ないわけ?」

「ねーな!」



私達は騒ぎつつ連絡先を交換をした。

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