第8話 クリスマスイヴ~運命の当日~

クリスマスイヴ当日、映画館の前で待ち合わせをしていた。


待ち合わせ時間になるも、晃人は現れない。


連絡しようか迷うも様子見中────




数時間後────




そして電話が晃人から入ってきた。



「もしもし?」


「もしもし。ごめん…今日は急用が入って…」

「えっ?…あ…そうなんだ…」




その時だ。



「晃人」



電話口から女の人の声が聞こえた。



「…女の人…?」

「…悪い…実は彼女とは…一年前から付き合ってて」

「…えっ…!?…遊びだったって……事…?」

「いや!それは違う!本気だった!」




「もしもし?ごめんね?私達付き合って身体の関係もある仲なんだ」



女の人が晃人の携帯から話してくる。



「晃人、可愛い子とか、すぐに告白したりして…だけど今回は本当、晃人マジ(本気)だったから信じてあげて!彼女の私が言うのもあれだけど…本当ごめんね…それじゃ…」



プツ… プー プー……

そして電話は切れた。




一気に脱力感だ。


彼女いながら告白?


まさかの状況に私は何も言えなかった



×××××××××××××××××



「悪い…」


「本当呆れた…今回マジ(本気)だったんでしょう?今回ばかりは本当に別れる事になるかもって私、思ったんだからねっ!」


「…朝香…」

「晃人…もうしないで!お願い…」

「…朝香…」

「分かった」

「約束だよ…二度としないって約束して…」

「ああ。二度としない」




×××××××××××××××××××


幸せになるはずだった


クリスマスイヴ


だけど神様は


味方になってくれなかった……




私は 一人


幸せで溢れかえっている


クリスマスイヴの街中


1人トボトボと帰る






その途中─────




ドンッ

誰かとぶつかる私。



「きゃあっ!」




ドサッ


道端に転倒。







「あー、ゴメーン!悪気はなかったんだけど大丈夫?怪我しなかった?」



私はゆっくりと立ち上がり去り始める。




「シカト(無視)かよ?」



グイッ


肩を掴まれ振り返らせた。




「なあ、大丈夫?って聞いてんのに、シカト……あれ?やっぱ何処か怪我した?」


「つーか、この子イケてね?」

「泣いてる感じだけど、どうかしたの?」

「あー…もしかして彼氏にでもフラれた?」





ドカッ ドカッ スタッ


相手の足に蹴りを入れると走り去る。




「……ってぇーーっ!」

「図星ぃっ!?ムカつくっ!」




私は2人に追われる。




ガクッ ドサッ


つまづき体のバランスを崩し転倒。




「ったぁ~~っ!」


「ほら!バチが当たったんだよ!」




グイッと腕を掴まれ立たされた。





「離してっ!私、ブルーなんだからねっ!!」


「はあっ!?人に蹴りを入れておいて?」

「元気有り余ってんだろっ!?」

「俺達が付き合ってやるからさ~遊び行こうぜ」


「や、やだ!」



連れて行き始める。




「ちょ、ちょっと!離し…っ!」





私から相手が離れる。




《えっ…?》



「兄さん達、彼女に何か用?」




ドキン


「…志…伸……?」



「あ?何だよ!失せろよ!」


「お前らが失せろよ!彼女が何したか知らねーけど、彼女に手ぇ出したら俺が許さねーからなっ!」




ドキン



「テメー、やんのか?」


「やるなら相手するまでだけど?警察沙汰なる覚悟の上でなんだろ?公共の場で。つーか…既に警察向かって来てたりしてな?」




2人は悔しそうに走り去った。





「全く!何したんだ?」


「…それは…つーか、もし本当に手出されて怪我したらどうすんの!?ナイフとか持ってたら大変な…」




頭をポンとする志伸。



ドキン…




「そん時は、そん時…お前が無事なら…女を守るくらいになんねーとな」




ドキン…




「…志伸…あり…」




グイッと抱き寄せられた。



ドキッ



「デートは…どうしたんだ…?」



私は志伸を抱きしめた。





「…っく…最悪…だよ…」


「…そういう事か…」




そして私は志伸の家に行く事にした。



「両親、明日迄いねーから、ゆっくりしてな」

「…うん…」



私は二階に行く。



「…部屋…変わってない…そのまんまだ…あっ!これ…海外にいる時の写真…可愛い…彼女かな…?」



異性と2人で仲良く写っている写真だ。




「砂糖とミルクは、お好みで…って…あっ!」




パタンと写真立てを伏せる。





「あっ!実は彼女いたんじゃん!もうっ!そういう話は、一切してないから~。可愛い彼女だね?クリスマスイヴ一緒に過ごすんじゃなかったの?私の面倒見てる場合じゃ…」



「彼女とは別れたよ。つーか…彼女じゃねーし!」


「えっ?彼女じゃない…?モテモテだから…うまくいかなかった?」


「違うし!」


「じゃあ何?話聞きたい!」

「話す必要ねーし!」

「ええーーっ!」



私達は騒ぐ。



そしてなんだかんだ言って志伸の話を聞く事にした。



「片想い…?」


「ああ。2人は付き合ってて2人に良くしてもらってて…だけど…彼氏は俺の気持ちに気付いてて、写真を撮って貰ったのが…あれ…」



写真を指差す。



「…そう…だったんだ…羨ましいな…普通に恋愛が出来て…」

「えっ?」



「私に恋愛…これから…出来るのかな…?…告白しても、告白されても結局フラれて…うまくいったかと思ったら遊びとか…男運ないのかな…?…やっぱり性格の問題もあるのかな…?」



「優華、自分責めるのよせよ!」

「だって…」





スッと片頬に触れる。




ドキン



「人には、それぞれ性格も違うし価値観だって違う。でも、それがあっての1人の人間。男女がいて、男女問わず沢山の出会いがあって別れての繰り返しなんだよ」




私は志伸の手の上に自分の手を重ねる。




「私…今後どうなるのかな?都合の良い女にしかならないのかな?…普通に恋愛がしたいのに……何も変わらないなら…私…」



キスされた。



ドキン



まさかの突然の出来事に驚くも瞳を閉じた。


唇が離れる。




「…だったら俺が、その相手になってやろうか…?」



ドキッ



「…えっ…?」



「…………………」





瞳の奥からのぞき込む真剣な眼差しに


胸がざわつき戸惑う



だけど


幼なじみの関係だからこそ


お互い色々と知りすぎてる




でも─────




幼なじみだからこそ


良いのかな…?




深い絆で繋がれてるからこそ


長く続きそうな気がする



「1人の男と女として幼なじみ以上の関係になるか?」


「…えっ…?…いや…つーか…キスした時点で幼なじみじゃなくなる!」


「いやいや、身体の関係になってからだろ?キスは挨拶みたいなものだし!」


「あ、挨拶って…わ、私ファーストキスなんだけどっ!返して!」


「返してって……じゃあ!返してやるよ」


「は?返すって…な…」



再びキスされた。




「返したけど」



ドキッ



至近距離で言われ、胸が大きく跳ねる。




「…か、返し…」



再びキスをされ、唇を割って入る熱に驚くも戸惑う中、首筋に唇が這う。




「や、ちょ、ちょっと!志伸っ!」



ピタッと止まる。



「なーんて♪」

「…バ、バ、馬鹿ぁっ!マジ焦ったし驚くじゃんか!」




クスクス笑う志伸。



「もうっ!本当っ!信じらんないっ!」

「幼なじみだからこそ意地悪したくなるんだよ!バーカ!」




私達は騒ぐ、




そして夜も更けた頃、私達は寝る事にした。


何するわけでもなく私達は一緒の布団で眠る。






次の日─────




「あら?あなた見て」

「あれ?優華ちゃんじゃないか」

「こんな2人の光景見るの小さい時以来じゃない?」


「そうだなー。4人で寝てたりもあったけど、2人の姿は本当懐かしいなー…見ない間に成長したな。優華ちゃん変わらないなー」


「本当。でも、ちょっと可愛さ倍増してない?女らしくなった気がするけど」


「そんな志伸は男らしくなったな」


「そうね」






幼い頃の思い出は


大きくなっても


思い出に過ぎない




だけど────




私達の間には


過去の出来事でも


現実化してしまう



どんなに雰囲気が変わって


成長してたって


幼なじみという絆は


変わりはしない




─── そう ───



父親 母親 の中でも


一生の宝物だね




























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