第7話 クリスマスイヴの約束

ある日の学校帰り─────




「もうすぐクリスマスイヴだな?」



志伸と肩を並べて帰る学校帰り。



「そうだね」

「今年は彼氏とラブラブクリスマスイヴデートか?」

「えっ?あー、どうかな?まだ言われてないから」


「ふーん…そうなんだ…その日の当日、ドタキャンされてフラれたりしてな」



イタズラっぽく笑う志伸。



「ちょ、ちょっと!縁起でもないこと言わないでよ!」

「アハハ…で?どうよ?何かしらの進展はあったのか?」

「何の進展?」

「進展っつったら進展だろ?流石にチューはしたっしょ?」


「は?えっ?ええっ!?そ、そんな事、あんたに話す理由ない!」「おっと!そんなムキになる所って進展なし的な感じ?」

「うるさいっ!関係ないでしょ!?」

「怪し~~っ!」



私達は騒ぎながら帰る。



実は彼・晃人とは付き合う事になり、あの日のデート以来、デートらしきデートをしていない。


メールとか電話のやり取りはしているもののデートのお誘いないのだ。





そして、その日の夜─────





♪♪~…


【愛する優華へ】

【今度クリスマスイヴ一緒にすごそう】



メールが入ってきた。



「晃人からだ!待って…まし…」




「……」


「…………」


「…………………」




「あの野郎ぉぉぉーーーっ!!」





その直後、電話が鳴る。

私は電話に迷う事なく出た。



「ちょっと!あれ!酷くない?」

「えっ?」


「えっ?じゃないから!彼氏のふりしてメール送るなっつーの!!」


「えっ?いや…俺送ってないけど…」

「トボけるなっつーの!」

「優華…?俺…晃人だけど……」

「…えっ…?」





大体の予測はつくだろう。


メールが送られたきたのは幼なじみの志伸からだったのだ。


その直後、電話が入り、画面を確認しないで出た私も悪いけど、まさか幼なじみと思う相手が彼氏の晃人で


メールを送った幼なじみの志伸じゃないという飛んでもない大失態をしてしまった────




《ヤバイ…どうしよう…?》



「ご、ごめん…」


「いや、大丈夫。幼なじみの事は聞いてたし。で、話は変わるけど、クリスマスイヴ、一緒に過ごそうかなと思って…都合大丈夫かな?」


「あ、うん!大丈夫だよ」

「良かった。じゃあ、当日現地に待ち合わせな」

「うん」

「後で、日時送るよ」

「うん、分かった」

「それじゃ、それだけ伝えたかったから、また連絡する」

「うん」



電話が切れる。



その直後、日時など記されたメールが届いた。






だけど正直嬉しさは半減している。


志伸が送ったメールで


志伸と思った電話相手が


まさかの彼氏で


ほとんど出さない


志伸とのやり取りの性格がバレたのが痛い


完璧嫌われた


そう思った瞬間だった


きっと引いただろう…





しばらくして再び電話が鳴った。


画面を確認せず出た。




「はい…」

「あ、優華?俺だけど」

「誰…ですか?」

「おいっ!なあなあ彼氏からクリスマスイヴの誘いあった?」

「あー…」





イタズラ仕掛けた張本人


すぐに分かった


コイツの声は嫌でも分かるし聞き慣れてる。


怒る気にもなれず



「お陰様で誘いはあったよ。飛んでもない状態でねっ!!さようならっ!」




私は電話を切った。



「えっ…?…飛んでもない状態…?もしやそれ…俺絡んでる?」




なんとなく


そんな気がした俺は部屋を飛び出した。




「優華ん家行って来る!」

「こんな時間に?」




俺は家を飛び出した。


優華ん家までは、そう掛からない。


30分も掛からない距離にある。




そして────



「あら?志伸君?どうしたの?」

「優華は?」

「いるわよ」

「すみません!ちょっとお邪魔します!」

「ええ、どうぞ、どうぞ!」



俺は階段を駆け上がる。



「優華っ!」



ビクッ



「えっ?志、志伸!?やだ!どうし…」



抱きしめられた。



「えっ!?ちょ、ちょっと志伸!?」

「悪い!」

「えっ?」


「俺が、からかってイタメ(イタズラメール)をしたばっかりに…嫌な思いさせてごめんっ!」


「志伸…やだ…大丈夫だよ。きちんと誘われたし約束出来たから」

「だとしても、お前の事だから俺だと思って怒鳴ったんだろう?」




ギクッ



「…そ、それは…で、でも、きちんと約束出来たから大丈…」

「いや!大丈夫なわけねーだろ?」


「いや、本当に大丈夫だから。幼なじみの話は彼氏にしてるし納得してくれたから」




抱きしめた体を離す志伸。


そして両頬を優しく包み込むようにする。



ドキッ

何故か胸が大きく跳ねる中、私を見つめる眼差しに胸がざわつく。




「だったら…良いけど…マジ…ごめん…」

「…志伸…」




かなり反省しているのか


シュンと落ち込んでいる志伸が可愛く見える。




《やだ…こういう一面初めて見るかも…》




私は志伸を見つめるも、ハッと我に返り志伸を押し退けた。




「ほ、ほら!分かったなら帰りなよ!」


「あ、ああ…じゃあ帰るよ。何かあったら連絡しろよ!まあ、そうでない事を願うけど。じゃあな!」


「う、うん」




志伸は部屋を出て行き始める。




「志伸っ!」


呼び止める。



「何?」


振り返る志伸。



「ありがとう…」

「えっ…?」

「心配してくれて…」


「あ、当たり前だろう?幼なじみなんだから!それに…俺がイタズラしたばっかりに仲悪くなったら俺の責任だから。じゃあな!」


「うん…ありがとう。気をつけてね」

「ああ」



志伸は帰って行く。






幼なじみなんだから


その言葉が変わる時あるのかな?


特別な存在になる


そんな日はくる……?


お前が大事な存在だから


今は まだ


本当に幼なじみだけど


私達の未来は


どうなってるのかな……?






~ shinobu side ~



幼なじみ


何かあった時


人は人に助けを求める


例え どんな関係だとしても


人は支え合う



幼なじみだから


そう言った俺だけど


99%が幼なじみだとしても


残りの 1%は


特別な思いがあったかもしれない



それとも……


もう少しだろうか?


100%中に値して


残りの%テージは


もしかすると


気付かない思いが


隠れているのかもしれない


自分も知らない思いが……








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