第15話 第一印象最悪です
俺様とナナニアはテネトス国を目指して、異世界より購入した大型トラックで向かっている。
道なりは険しくなく、道なりに進んでいたりしていた。
ときおり山賊がやってきたので引き飛ばしておいた。
モンスターの大軍を引き飛ばし無双をしてヒャッハーしたりもした。
「レイガス、時折あなたが弱気な性格である事を忘れそうだわ」
「何を言うか、俺様は間違って人をひき殺してないか心配しているのだぞ」
「あんた引き飛ばしてるわよ」
「死んでないからいいじゃないか」
「いいわけないでしょーが」
「ナナニアは山賊の肩を持つのか、薄情者め」
「あなたは薄情者以上よ」
「ふ、ありがとう」
「褒めてません」
「それに説明書通りに運転すればいいし、ブレーキってさ、これかな」
俺様はペダルのような板のようなものを取り出す。
「ああ、それね」
「これさっきさばきって音がなってさ」
「うんうん?」
「だからブレーキねーんだわ」
「ちょおおおおおおお、何してんのおお」
「で、アクセルを緩めたらいいのかと緩めたら、取れた」
「どこを緩めてるのおおおお」
「ちなみにこっちがブレーキの板で、こっちがアクセルの板ね、なんかかっこいくね」
「あんた、この車止まらないわよ」
「はは、冗談だろ、ナナニア、めちゃくちゃ暴走スピードで走らせてるぞ、このキロメーターていうケージが300キロになってるんだが、周りの景色がすげーな、また山賊飛ばした」
「その人山賊じゃなくておばあさんだからああああ」
「お、ぎっくり腰がなおったみたいぞ」
「よくこのスピードで把握できるな」
「特殊なコンタクトレンズは高かったのだぞ」
「はぁ、それでどうすんの」
「とりあえずテネトス国に突っ込むぞ」
「それこそ最悪印象だわ」
俺様の冒険は始まったばかりだ。
元々はサーカス団のような所で働いていた。右足に大けがを負って、道化師としての役割を終えた。
そして俺様の中にはもう一人の自分がいる。
多重人格なのかは知らないが、イメチェンみたいな感じだ。
そっちは平気で人を殺す。
だから俺様の名前はレイガス・トッド・ニーアスなんだ。
殺人鬼の名前はピエロ・トッド・ニーアス。
俺様が本体かピエロが本体か、最近分からなくなっている。
そんな事を夢想しながら。
遥か前方、平原が途絶えて、見上げるような城壁が見えてくる。
城壁の遥か向こうには壮大な城が見えてくる。
あの城を売ったらどのくらいするのかとか邪な考えが脳裏をよぎる。
俺様とナナニアはその光景を見ながら。
目の前のテネトス国の重装備部隊を跳ね飛ばしていた。
「俺様さ、もう現実逃避していい」
「あはは、あははは、あっはっははは」
俺様は空を見て、トラックは重装備を跳ね飛ばす。
ナナニアは空を見て、辺りを見てただ笑う。
「そこのものとまれいい、どこの国の所属だあああ、ぎゃああああ、た、たすけてくれええええ」
隊長クラスをトラックで追い回しています。
「こっち止まらねーんだよ」
「こっちにきたああ、ぎゃあああ、てかあの人王様だああああ」
「ふぉふぉふぉ、民の気持ちになるのも大事じゃ、散歩ものお、あれは新しい乗り物かのう、そこのもの、こちらへ、こっちにきすぎじゃ、ちょ、まて、ふ、余も騙されたものじゃ、ぎりぎりで止まるやつだろう、肝を貯めそうとは、余もまだまだじゃ、ふ、がぎゃあうがうがうがううが」
俺様はテネトス国の王様を引き飛ばした。
王様の名言みたいなセリフの途中で吹き飛ばし、遥か空を舞い上がった王様は馬糞の山に頭から突っ込んだ。
「に、逃げるのよ、レイガス」
「当たり前だ。さっきの人確実に王様だろ」
「あれはどっかの乞食よ」
「現実逃避するんじゃねーナナニア」
「全てあんたのせいでしょーが」
「おめーは俺様の用心棒だ、色々と迷惑をかける」
「いまさらそれを言うのおおおおお」
「てか、周り囲まれたし、もう城壁に突っ込むぞ」
「あなたはバカなのですかかああ」
「ああ、バカだおおおおお」
俺様の相棒であるトラックは頑丈な城壁を粉砕した。
辺りに瓦礫が吹き飛ぶ中、トラックは稼働停止した。
ピクリとも動かない。
「このトラック高かったんだぞ」
「仕方ないでしょーが」
俺様とナナニアが文句を言っていると、いつの間にか辺りを取り囲まれていた。
「そこのもの、動くな、この国の反逆罪として逮捕する、この魔法の乗り物はこちらで預かろう。学者ともが研究してお前達の国を暴いてやる」
兵士の1人がそう叫び、周りには無数の兵士達がいた。
俺様はめんどくさくなったので。
「じゃ連れてってください、牢獄にね、テネトス国の牢獄の素晴らしさをとくと味わってやろう」
「てかなぜにそこの商人風の男、偉そうなんだよ、おめーらは豚箱だ。先ほど馬糞まみれの国王が笑っていたぞ」
「そっちの国王のほうが頭大丈夫か」
「今ので不敬罪だ。ただで済むと思うなよ、つれていけ」
俺様とナナニアは腕に枷を付けられて牢屋がある城の地下に運ばれていった。
運ばれている最中は基本的に馬車に乗せられている。
大勢の野次馬達が馬車の隙間に出る俺様の顔とナナニアの顔を見てにこりと微笑んでいた。
不思議とそのほほ笑みには嫌味がなかった。
なんだろうか、やったな坊主と褒められている感じだ。
一体どういう事なのだろうかと、俺様とナナニアは考えていた。
城の中は本当に地下施設という雰囲気だった。
周りにはいかめしい男と女が個別で収容されていた。
彼らはにかりとキラースマイルを浮かべる。
あれか禿頭のおっさんがキラースマイルしてもこえーだけだよ。
女性にいたってはモヒカンだし、ここはどこかの破滅の世界なのか。
「そこに入れ、お前はこっちだ」
「はいさ、ナナニア、大人しくしててね」
「あなたがいいますかあなたが」
俺様はにかりと笑う。
こういうほほえみをキラースマイルと言うのだよ。
俺様は再びにかりと笑った。
「てめーはこっちだっつってんだよ」
なぜか地下牢から地上に上がる階段を上がらされる。
「あの、俺様だけビック待遇ですか」
「るせー馬糞まみれの王様の依頼だ」
「はあ」
なぜか俺様は玉座の間へと案内されたのであった。
そこには馬糞まみれの王様が玉座に座っていて、周りにいるメイドさんや執事さんが鼻をつまんでいる。
「ふふふ、はっはっはははははは」
王様は突如笑い出した。
どうやら頭に問題を抱えているようだ。
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