第三章-1部 修正人以外の職業
俺が安心していると、大賢者さんが「やれやれ」と言うような顔をした。
「老人会の者達と昔一緒に、この村を守るように森を作ったんじゃが、あれはただの壁に過ぎんじゃからの。決して安全だという保障はできんぞよ。それに、外と内通していそうな者には多少いるから気をつけなさい。」
大賢者さんが、何か知ってそうな顔をしながら言ってきたので、少し気になったが、この言葉を頭の隅に置いておこうと思った。
「はい、心掛けておきます。色々と教えてくださりありがとうございました。後、授かった職業の能力がどんなものなのか試したいので、北の森に行ってもいいですか?」
俺はお礼と共に、<修正人>や他に授かった職業の能力がどんなものなのか試したかったので、外界では<魔の森>などと言われる森の中で、比較的安全な北の森に行ってもいいか聞いてみた。
「ふむ、北の森か。あそこならお主の力だけで充分じゃと思うから、大丈夫じゃよ。後、収穫祭が本格的に始まる前には戻ってくるんじゃよ。お主が特別職を授かったことを、皆に伝えなくてはならんからの。」
大賢者さんは躊躇う事なく許可をしてくれた。しかし、俺が特別職になった事を村の皆に伝えるのは、少し恥ずかしい。
「ありがとうございます。だけど、村の皆に伝えるのは恥ずかしいので、俺がいない間に言ってください。」
俺は礼を伝えるとともに、要望も伝えた。
「それじゃあ、今から行って来ますね。色々と教えてくれて、ありがとうございました。それとレイナの相手をしてあげてください。」
俺は再度礼を言い、ついでに、興味本位でついて来そうなレイナを、見守ってもらうよう伝えた。
「フォフォフォ、安心せい。レイナちゃんはすぐ付いてくからのぉ。帰ってくるまではちゃんと見張っておくから、安心して行きなさい。」
大賢者さんは、レイナが俺に付き纏うことがよくある(兄に好意でも抱いているのだろうか)ことを知っているので、<修正人>の能力と北の森の危険度を考慮して、快く受け入れてくれた。
「はい。ありがとうございます。レイナ、大賢者さんの言う事をちゃんと聞くんだぞ。」
俺が、レイナに軽く忠告すると、レイナが頬を膨らませて、言ってきた。
「もおっ!もう私は子供じゃないんだからね!」
少し怒られてしまった。
「いやいや、レイナはまだ成人にもなってないんだから、子供じゃないか?」
俺が笑いながら伝えると、レイナはついて行きたいという欲を堪えている様子だ。
「だって私12歳だから、ほとんど大人だよ!だけど...今回だけは危なそうだから、ついて行くのはやめておくよ。」
レイナにしては、珍しく人聞きが良かったので少々驚いたが、俺は安心すると共に、レイナと大賢者さんを後ろにして、手を振りながら家をでる。
家を出ると、少し小腹が空いているからか、酒場から仕込み中の料理の良い匂いがするので、急激にお腹が空いてきたが、いつもならここで少し食べたりするが、今日は特別職の能力を試したいという興味に唆られて、そんな事は気にせずに、北の森へ全速力ではしる。
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