第二章-2部 修正人の能力

 大賢者さんの家は、村の東側にある村唯一の学校の隣にある。

 そこは、教会の前の通りをずっと東に向かうとあるので、道に迷うこと無く行くことが出来るのだ。

 しばらく、レイナと話しながら歩いていると、自分も通った学校が見えてきた。

 そして、その隣にある古い家は、学校の存在感がすごいせいか、そこにあることも忘れてしまう程、存在感が薄いので、自然と学校に目が向いてしまう。

 すると、レイナは俺の手を思いっきり強く握り、大賢者さんの家の玄関に向かって走り出した。

「んちょッ...レイナッ⁈」

 俺がそう驚いている事には見向きもせず、レイナはそのまま走る。

 よくよく見ると、大賢者さんが杖を携えて、中庭の花を眺めているのが見えた。

 そして、大賢者さんの家の敷地に、入りそうなところで、レイナは思いっきり振りかぶり、中庭に向かって俺を放り投げた。

「うヘェッ⁉︎」

 俺は変な叫び声と共に空中を舞った。

だが、俺は少し余裕でもあった。

 何故なら、大賢者さんの家の周りには、大賢者さんが許可した者しか入れない、侵入者を跳ね返す結界が張り巡られているので、中庭に落下する前に跳ね返されるので怪我はしないだろうと思っていた。

 しかし、大賢者さんは飛んでくる俺に気付いたのか、こちらを向きニヤリと笑っている。

 俺は、何か嫌な予感がしたので、少し身構えると、結界があるはずの場所を通り過ぎたことに気が付いた。

「えっ⁈ちょっ..待っ...」

 俺はそう言いながら、成す術無く大賢者さんの足元に回転しながら、ヘッドスライディングする様に落下した。

「んゴヘェッ!」

 顎を、落ちる際に打ったせいか、変な声が出てしまった。

 すると、大賢者さんが「フォッフォッフォッ」と笑う声が、頭上から聞こえてきた。 

 それに対して、レイナが「ちょっとお爺さん!ちゃんと受け止めてよね!」と、顔を膨らませて怒っている。

 それに対して、大賢者さんは「フォフォ、すまんのぉ」と笑いながら答えた。

 そんなやりとりが頭上で行われ、俺は少々空気になっている感じがした。

「あの〜、俺空気になってません?」

 俺が耐えられずに、話に割り入った。

 すると、レイナと大賢者さんは、2人とも時止まったかのようにこちらを向いた状態でになり、俺の話を聞くや否や思いついたかのように、わざとらしく「あはは...」と笑った。

「あ〜、ごめんねお兄ちゃん、すっかり忘れてた。」

 レイナは、半分反省してない感じで謝ってきたが、まぁ、可愛いから良しとしよう。

 それに比べて大賢者さんは、そっぽを向いて別に上手くもない口笛を吹いて、逃れようとしている。

 歳は100は軽く越しているのに、それで口笛を吹くのも凄いんだが。

「して、お主達、ここに来るとは珍しいが、どうしたのじゃ?」

 大賢者さんは、さっきまでのことが無かったかのような口調で聞いて来たので、僅かながらしてやられた気持ちになったが、これで俺の能力について聞けるので、見逃しておく事にした。

「さっき職業を授かったんですが、俺の知らない特別職を授かったので、大賢者さんなら知っているかなと思ったので。」

 俺はそう言いながら、その場に座り込んだ。

 俺が特別職を授かった事を聞いて、大賢者さんは少し驚いた顔をしていたが、真剣な顔になって、俺の目の前に座り込んだ。

「ほおぅ、どんな職業になったんじゃ?」

 大賢者さんにこう聞かれた。

「えっと、<修正人>っていうものです。」

 俺が、すかさず答えると、大賢者さんはその答えを聞き、この世のものべかざるものを見たかのような顔をしたので、それには俺も驚いた。

「いや...まさか..本当に..」

 大賢者さんは、動揺しながら何か呟いているのが聞こえたが、俺には聞こえなかった。

「あの、どうしたんですか?」

 俺がそう聞くと、大賢者さんは我に返ったようで、先程座ったばかりなのに、スクッと

立ち上がった。

「その話は中で話そうかの...。」

 大賢者さんは深刻そうな顔をしながら、俺達より先に歩き、こちらに手招きして来た。

「あ...はい..。」

 俺はこれから何を話されるのか、不安と緊張の状態で返事をし、後ろについて行く。

 これから告げられる話を聞く為に。










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