第二章-1部 修正人の能力
「お〜い、ベル兄〜。」
俺は柵を修正して、気持ちが昂っていると、不意に後ろから声をかけられた。
振り返ると、そこには3つ年が下の妹レイナが、何やら知りたそうな顔をしてこちらに走り寄って来た。
「レイナ、どうしたんだい?何故そんなにソワソワしているんかな?」
俺は少し嫌味口調でレイナに聞いてみた。
「もぉっ!ベル兄ったら、分かってるのにそんな事聞かないでよねっ!」
俺の質問に対して、レイナは少し怒ってしまった。
「ハハハッ、ごめんごめん。職業の事だろ?
ちょっとからかっただけだから、そんなに怒らないでよ。」
俺はつい笑ってしまったが、先程の発言については謝った。
「それで、どうだったの?もしかして特別職だったりして?」
俺が謝ると、レイナは目を輝かせながら答えを含んだ質問をして来たので、俺は「心を読まれた!」と思ってしまった。
「そのまさかだよ...。俺は大賢者さんみたいな特別職になったんだよ!」
俺は少し間を空けてから特別職になった事をレイナに告げた。
「えっ⁈本当にお兄ちゃん特別職になったの?おめでとう〜!」
レイナは俺の答えを聞き、まさかとは思わんばかり目を見開き、同時に俺を祝ってくれた。俺は、自慢の可愛い妹に祝ってもらい、少し照れ臭くなってしまった。
「いやいや、特別職になる事は良い事ではないんだから、そんな風に祝わないでくれよ。
それよりも、俺が成人になったことを祝ってくださいよぉ。」
俺はあまり特別職に対しては良いイメージは無かったので、そんな事よりも村の皆にあまり祝って貰えなかった成人になった事に対して、祝って欲しいと強請った。
「も〜お兄ちゃんったら、そういう意味じゃなくて、誕生日に成人になって特別職を授かるっていうのは、何か縁起が良い感じがするから言ったんだよ。」
レイナは少し微笑みながら、先程の発言を訂正した。
これはいいように流されてる気がするが、まぁ、可愛いから良しとしよう。
「じゃあ、ありがたく受け取っておこうかな。...何を聞きたそうにしてるの?」
俺がそう言うとレイナは何か聞きたそうにしているのでどうしたものかと聞いてみた。
「いや、お兄ちゃんが特別職になったのは分かったんだけど、どういう職業になったのか知りたくて...」
レイナは俺に気を配るような口調をしながら、目を輝かせて、上目遣いで見つめて来た。
俺は、村一番の娘と言われるレイナの頼みを断る事が出来ず(断るつもりは無かったが)
、その気持ちに応えようと思った。
「俺のなったのは<修正人>っていう職業なんだけど、こんな職業は聞いた事ないんだよね。」
俺がそう言うとレイナは「ん〜」と何か考え出したが、急にハッとしてこちらを向いた。
「分からないや。だけどこんな時はお爺さんに聞くのが一番だね!」
レイナが言うお爺さんは、大賢者さんである。
「あ〜、なるほど。その手があったな!」
俺は考えてもいなかった案を、提案されたので少し驚いたが、すぐに納得した。
「それじゃあ、お爺さんの家に行こっか!」
レイナはそう言いつつ、俺の手を引っ張って、走り出した。
俺の知る限りでは、最強の職業を持つ者の元に。
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