第126話 madonna
「でも、根本的な事を言うと、攻撃性が高まるのは他の人間が近くに来るからさ。人間は
殖えすぎだから、もう、昔に戻る事なんて出来ない。
だから、競い合って殺し合おうとするんだよ。
」と、ドイツの神様は生態学的な常識を述べる。
「だから、女の子でも闘争的になってしまうと言うの?」と、フランスの女神は
やや、哀しむように。
「確かにそうだね。母親からどんな動物も生まれるけれど。
その母親が、愛を持っていなくて、
子供を攻撃していたなら、始めから愛なんて感じた事はないだろうし。そうなれば、女の子だって
性と暴力しかないだろうな」と、アメリカの神様は言う。
「だが、人間は動物じゃないさ。知性があるんだ。
弱い者を助けるって文化だし、他ならぬ
授乳ホルモンと言われる、プロラクチン、オキシトシンが作用すれば、心穏やかになるじゃないか。
生物として遺伝的にある構造は、まだ変わってないんだよ。
ただ、ここ数年の日本人はそれを忘れているだけさ」と、アメリカの神様は
いかにもマテリアリズムの国らしい言葉を述べた。
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