第69話 nirvana

「でも、魂ね、ニルヴァーナかな。

それ磨くって、何かいい事あるのかな」と

アメリカの神様は、いかにもそれらしい。


体感できる事が幸せだと思う、物質文明っぽい感覚。



美味いもの食ったり、恋したりって言う

外からの刺激で幸せになる、そういう感覚。




「分かるな。極東の感覚は物質じゃないのさ。

ほら、ブルース・リーは強いけど精神が強くて謙虚でしょう。ああいうのっってカッコイイじゃない。

強かったら威張る、んじゃなくて

強いんだから、非道を許さない、弱い者を守る、みたいな」と、ドイツの神様はカンフーも好きそうだ(笑)。




「それは分かるわ。弱い者守るって

人間らしいじゃない」と、フランスの女神は

庶民のために戦ったジャンヌダルクのように(笑)。





「それが、今は強いから、弱い者は

負けていい、そういう人間以前みたいな

侵略者が多いんじゃな。

さっきのハンバーガーの経営者だって

命令でチェーン店を一杯閉店したんじゃ。

それで赤字が減るのは当たり前じゃ。

でも、働いてたひとの幸せは?



そういうのは遺憾と思う訳じゃな。わしは。




大昔、この日本のな、経営者、例えば松下幸之助は

そういう時、首切りなんてしなかった。


共に苦しもう、がんばろう。


そうする事で、会社と言うものを

家族のように大切にしたんじゃな。




そういう社員は、お客さんも大切にするから

付き合いが続いていく。



それが日本じゃったんじゃな。




目先の金儲けのために、人の心を失うと

ダメなんじゃよ。




もともと、金儲けって幸福になるための道具じゃろ?




金のために心貧しくなったら、無意味じゃ。



威張るのは心貧しい行為じゃ。



」めぐの国の神様は、達観である。

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