第4話 First Contact

First Contact

その、リサの回想は

ひょっとすると、ミシェルの言った事を

リサが伝え聞いた、イメージだったかもしれなくて。



そういう事、幼い記憶にはあったりする。


ずっとずっと昔の事、リサとミシェルのふたりが

おじいちゃんのところへ遊びに来た夏休み。



夜行列車で着いた朝、おじさんとミシェルは

一緒に、このお風呂へ。



たぶん、リサは

ひとりで、こちら側のお風呂場にいたの

だろう。



たぶん、エレメンタリースクールの

最高学年くらいだったハズだから

リサは、こちら側だったろう。





リサ自身が、もっと幼い頃に



夜行列車で、ここに旅した事もあるハズ

なのだけれど。



そんな、昔の記憶は


残念な事に、はっきり覚えてはいない。



でも、そういう頃の記憶が

ずっと、その後の生き方に影響したりするもので



それは、例え話で言えば


コンピュータの基本ソフトの構造が


アプリケーションの動作を抑制するようなものだ。




andoroidが、リアルタイムOSでないから

DTMアプリケーションが作れなかったり

するように。



this is Tom Jones

そう、誰でも記憶が積み重なって

行動の様式が決まるけど


ずっと、幼い頃

自分が経験した事って、夢の中と



少し似てて。



まだ、自分の見方が決まってないから


積み重ねは、直接心に入ってて




それが後で、性格になったりする。



コンピュータなら、OSを作ってる時に


プログラムを作る人の考え方が影響したり。




ハードウェアの扱いが決まってしまったり。





そんな感じに近い。




スマートフォンでも、iOSやandroid、

それに似せたlinux、いろいろで



似ていても、それぞれ性格が違ったり。




人間は、自分で経験して学習するから


もう少し、自由さがある。





もちろん、神様がしたように



記憶を変えたり


めぐや、魔法使いたちがしてるように

時間旅行をして、過去の自分を変えてしまえば


その、性格を変える事もできるから


神様は、この世界の人々を、争いから救った。



人々の数が増えれば、当然に争う事も増えるんだけど。









リサは、ふと


お風呂場で、温泉に浸かってて



おじいちゃんの事を思い出してて。






「そう、トム・ジョーンズ!」と


独り言を大きな声で言ったので、


naomiも驚いて、(笑)。






「あの、イギリスの歌手の?」と、めぐが言う、。






「ダイナミックだよね」れーみぃ。






そうか、と

リサはひとり合点。




自分が、駅前でイギリスのロックを聞いて

懐かしい、と思って




悩み事が吹っ飛んでしまったのも。




おじいちゃんの好きな、トム・ジョーンズに


似てる、力強いイギリスの歌だったから。






リサの音楽好きは、おじいちゃんの趣味だったんだ。



愛と目的

男湯は、おじさんとミシェルが

のーんびりと、温泉につかっていた。



男同士だから、気遣いをする事もなく、賑やかでもなく。





「おじさんは、どうして国鉄に入ったの?」



そんな事をミシェルは聞く。





「おじいちゃんがいたしな。他にこれといって」と


おじさんは、言う。




本当はカメラが好きなので、写真やさんを

しても良かった、とは言うものの



田舎なので、そういうもので



生きていくのは難しい、そういう事。





「人間は、なんで生きてるんだろね、おじさん」と


ミシェルは、中学生らしい尋ねをする。




おじさんは、にこにこして「なんで、って言うか



もう生きてるから、そう考える頭があるんだべ」と




ひいじいちゃんが


お坊さんだから




おじさんは、、さっすがに達観だ。




生きる事に意味はないけれど



前の世代が、生きて来たから

次の世代が残った。




その程度の理由はあるけど




もっと具体的な目的は、別にない。





せいぜい、恋して愛するのが目的。




そんなところだろう。


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