第10輪 魔王は心配してるが私は問題ない!

時間は少し戻り、百合が自爆したのを助けているころ


「ユリ、大丈夫かな、何かされてないかな」


あぁ、もう、声に出るくらい心配...


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「魔王様、人間国から手紙が」

「わかった」


手紙?

何かあったのかな?

もしかしてユリが!

いや、もしかしたらユリが交渉成功したってことを少しでも早く教えて安心させたいのかもしれないし

取り敢えず、見てみよう


前略 魔王様


この度、魔人国から来た使者様が第三王女様の心を盗んだため、窃盗罪で拘束しました。

こちらの法律により裁かせてもらいます。


             早々 マリファネット王国裁判長 アンドレ・エル・ロドン


...


「我直々に人間国に行く」

「えぇっと、つまり...」

「今夜はちょうど満月だからな、人間国へ行ってる間の執務は頼んだぞ」

「はっ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


私のスキル、夜卿

夜に身体能力や五感が強化される

月が満ちていると飛ぶこともできる

今わかっているのはこの2つ

もしかしたら、他にも力はあるかもしれないけど、それはおいおい考えればいい

今は...


「ユリ、今行くよ」


百合視点――――――――――――――――――――――――――――――――――


...

私の感が誰かに勘違いされていると言ってる


「あ、満月だ」


綺麗

...

ん?

人?


「――リー!ユリー!」

「ルナ!?うわぁ!」


ガンッ


あ、頭がぁ!


むにゅ


なんだろうこの感触?

顔に...

もしかして...


ガチャ


「百合、人狼ゲーム...お楽しみ中のところ失礼しました」

(ちょ!違ッ!)


喋れない!


ガチャ


「ユリ、怪我無い?大丈夫?なにもされてない?」

「ついさっきルナのせいで頭ぶつけたんだけど...」

「え!?ごめんね!」

「というか、なんでルナがここに?」

「え?ユリが捕まったって手紙きたから」


あれ?

もしかしてこれ、私の書いた手紙届いてないんじゃない?


「そのことはもう終わったよ?特に問題ないよ?交渉も成功したし」

「え?あ、そうなんだ、でも、無事でよかった」


その声のトーンで抱き着いてくるのは卑怯じゃない?


ドタドタドタドタ

ガチャ

ドタドタドタドタ


「使者様!大丈夫です...か...?」

「あ、大丈夫ですよ」


ある意味大丈夫じゃないけど


「使者様...私という女がいながら他の女性を抱くなんて...」

「なんか意味飛躍してない!?というか、認めた覚えないけど!?しかも、ルナの方が会ったの先なんだけど!?」

「ユリ...さすがにそんな言わなくても...」

「あ...ついツッコンじゃった...」


3連ツッコミをしてしまった

ソフィアさんめっちゃ落ち込んでる


ガチャ


「なんか王女様入ってったけど何かあったの?」

「ちょっと3連ツッコミしちゃった」

「えぇ...」


これソフィアさんどうすればいいんだろ?


この後ソフィアさんを復帰させるのに凄い時間がかかり寝る時間が無かった


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


ね、眠い...

完徹したから眠すぎる...


「百合、眠そうだね」

「美桜...裏切るなんて...」

「さぁ、何のこと?」


他人事のように...


「あ、そろそろ来るっぽい」

「女王帰国祭に魔王がいていいの?」

「ルナ、気にしたら負けだよ」


ワァァァァーーーー!!


「部屋にいて良かった」

「百合はあーいうところ苦手だもんね」

「うん、それはいいんだけどね...なんでみんないるの?」

『てへっ』

「いや、てへっじゃないよ...狭いよ...」


う~ん...なんかいいところ...


「ルナ、ベランダ行こ」

「うん、でも、なんで?」

「いいから」


私は再起不能になるけど...

まぁ、ルナがいるから大丈夫でしょ


「バリアオブエアリアルストロール」

『え!?えぇぇぇぇ!?』

「ルナ、行こ」

「う、うん」


吹っ切れてこんなことしたけど、いざやると恥ずかしい


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「そろそろ終わるね」

「う、うん、そ、そうだね」

「ユリ」

「な、何?」

「おっぱゲフンゲフン胸があたって気持ちいゲフンゲフンるんだけど」


だって...


「こ、こんなに高いのになんでルナは平気なの?」

「なんでって言われても...」


普通こんな高いところにいて落ち着ける?


「はぁ、ユリにそんな傷ついた小動物みたいな顔されたら助けずにいられないじゃん」(まぁ、そんな顔してなくても助けるけどね)

「え!?ちょ!?ルナ!?」

「ほら、足場出して」

「う、うん」


お、お姫様抱っこ...

恥ずかしすぎる...


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「ユリ、着いたよ」

「も、もうちょっとこのままで」

『ヒューヒュー』

「全く吹けてないよ?というか、まだいたの?」

『てへっ』


またてへっって...まぁいいや

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