第37話 最後の忠告
「カウントは、ゼロよ――大延長して、ゼロにまできたから、サナカさんには悪いけど、危なさそうだったから、わたしの判断で、始末させてもらいました――」
彼女は申し訳なさそうに言う――でも、あのままではきっと、わたしは死んでいただろうから、彼女はわたしの、命の恩人なのだ……。
だから、ありがとう、ございます、とお礼を言ってから、ガクガクと震える足を、無理やりに、動かし、体を立たせる。
「……その死体は、わたしが片づけておきます……もう、見たくもないでしょう?
過去、共に行動していた、仲間として」
……はい、と弱々しく頷いてから、わたしは、彼女の体に弱り切った体を任せた。
彼女の体を背もたれとして、脱力させる――、これで、終わったの? しいかさんは、あれで、終わり? なんだか不完全燃焼のまま、終わってしまったけど、しいかさんには、もっと秘密があったのではないか――。
そんなことを考えていると、いつの間にかわたしの意識は、ふっと途切れて、視界は真っ暗に――暗転する。
そして。
意識が暗転する寸前、最後に聞こえた声は。
――サナカ。
という。
――逃げて、サナカ。
という。
しいかさんの声だった。
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