第2話  翌日の朝

ー翌日ー


ガタガタ。何かの物音で俺は目を覚ます。


「あら。起こしちゃった?まあ、朝ごはん食べてもう学校に行きなさい。あれどこ置いちゃったけ・・・?」


母さんは何か探し物をしているようだった。俺ん家は母子家庭で、これまで俺は女手一つで育てられた。母さんはとてもやさしいのだが、少し抜けている。父さんは俺がまだハイハイをしている頃に死んだそうだ。生まれつき心臓が悪かったらしい。無理もない。だからこそ母さんには感謝している。そんな昔のことを思い出しながら俺は階段を下った。


朝食を済ませ、もう学校に行こうとしていたところを母さん止められた。


「康介ー。学校にはもう慣れた?お友達はできた?」


うげっ・・・その質問は今俺に一番聞いてほしくなかったやつ。どうしようか、困った。話を逸らすか?いや、母さんに不自然だと思われてばれてしまったら終わる。じゃあ、正直に言うか?でもそれだと、母さんに心配させてしまう。それだけは絶対ダメだ。ならこれを使うしかない……


「う~んまあまあかな?大丈夫だよ!」


秘儀ッ!"誤魔化す”ばれませんように!


「あ~そう?ならいいけど。じゃあ、いってらっしゃーい!」


「はーい。行ってきます!」


あぶねー!!ばれたかと思ったわ。ひやひやするぜ。


俺は“一人”で高校に向かった。

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