第6話 理久くんの日常③

午前の授業は終わって昼休みになった。

この学校には購買も学食もある。

ん〜、迷う!

絶賛金欠中の俺からしたら、昼飯抜きが最善策だが、購買や学食のメニューを全種類食べるという男子高校生の夢も捨てがたい・・・・・

あぁ〜・・・・・どうする俺?!

なんて事を俺の席に座りながら考える。教室だから周りに人はもちろんいて、一人悩んでいる俺に声がかけられた。


「なに?あんたうるさいんですけど。

お昼ご飯くらい奢ってあげようか?」


えっ、しまった。声にでてたらしい・・・・・死ぬほど恥ずかしい、


「って、いいよいいよ。

女子に昼飯奢らせる男とか嫌じゃね?」

「そのくらいいいでしょ

ってか、私が学食で食べたい気分だから、あんたも学食に来なさいよ」


なんで命令形なんだよ・・・・・


「俺の話聞いてたんじゃないのかよ、学食食べたいけど金欠なんだって!」


うちは両親がいないから、一般家庭みたいに月のお小遣いがもらえるなんてことはない。

父親の方の両親である祖父と祖母が毎月、生活費を振り込んでくれていた。

俺の祖父は昔、推理小説家として売れていたらしく、子供が二人暮らすだけなのに余裕をもって毎月50万も振り込んでくれている。

毎月、俺は2万、舞音は1万を月のお小遣いとしてその中から貰っている。

ただ今月は高校の準備やらでたくさんのお金を使ったため、お小遣いは抜き、ということにしていた。

渚はこっちを見るとため息をついた。


「学食くらい奢ってあげるって、

じゃあ、今度あんたが奢りなさいよ。そしたらおあいこでしょ」

「そうか?うーん・・・じゃあ・・ありがと。なんだかんだ渚って優しいよな!」

「はっ?!なによ急に?!きもいんですけどー?!」


そいうと渚はスタスタと一人で食堂に行ってしまった。

うん、こいつに感謝なんてするべきじゃなかった。

ん?後ろから袖が引かれている。


「理久、渚ちゃんと二人で話してるなんて珍しいね。どうしたの?」


後ろにいたのは予想通り優里だった。

どうやら、俺と渚が二人で会話してるのが珍しかったらしい。


「あぁ、今日の昼どうしようかと思ってたんだけど、渚が奢ってくれるって言うからさ」

「まぁ、今度奢らせるけどね」


おい、いつの間に帰ってきたんだよ


「そうなんだ!もう、言ってくれたら理久の分もお弁当作ったのに!」


優里は家庭的なところがあり、ほとんど毎日お弁当は自分で作っているのだ。


「そこまで迷惑かけるわけにはいかないって。

ってか渚、学食に行ったのかと思ったのに帰ってきたのか?」

「どうせ一緒に学食で食べるんだからいいでしょ!!」


そりゃそうか

じゃ、優里も食堂で弁当食べるだろうし、みんなで一緒に行くか。

俺たちは食堂へ歩きはじめた。


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理久くんとクロッカス にゃん助 @TAKOkun07

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