第3話 理久くんの朝③

背中に衝撃が走ったので、後ろを振り返る。

そこには金髪を腰までなびかせてネイルされた爪を俺に向けているギャル・・・新海 渚がいた。


「あんたァ!ホントにあんたねぇ・・・!

わざと1巻の最後にネタバレしたわねぇ!」

「え?理久?どういうこと?」


ふむふむ、それはおそらく


「俺が1巻の最後に最終巻のネタバレを書いた手紙を添えたことだろうな」

「え?!酷い!!」


ちがう、違うんだよ優里


「コイツが、俺の好きな作品をバカにしたから!仕返ししてやっただけだよォ!」

「だからってあんた!10巻以上でてる作品を1巻でネタバレする?!普通!!」

「俺は常にイレギュラーなんだよ!」

「黙れ!あんた一生黙ってろぉ!」

「あはは・・・」


優里が苦笑いでこちらを見ている。

しまった・・・取り乱してしまった。

全く、コイツはいつもこうなんだから


「まぁまぁ落ち着けよ、渚。朝から、うるせぇぞ」

「ふん!あんたに付き合ってあげてるんだから感謝しなさい!」


そう、コイツとの出会いは




―2週間前、クラスでの自己紹介の時、


「ども!黒瀬理久です!高校では青春しよーと思ってるんでみんな話しかけてくださーい!よろしく〜っす!」


と言ったら、その時間の放課に、廊下側の席のソイツは、わざわざ窓際の俺の席まで来ると、


「あんた、なんか本読むの?」


って聞いてきた。

俺が好きな作品をひとつ言うと、


「はぁ?マジで言ってんの?ウケるんだけどwそれSNSで評判悪いやつじゃん」

「はぁ?マジで言ってんのかギャル女?」

「何あんた、誰がギャルだし!ウザいんだけどぉ?」

「ハッ!じゃあ読んでみろよ!帰りに渡してやるから」

「分かったわよ!帰るんじゃないわよ?!」




―って感じか・・・


「どこら辺が俺に付き合ってくれてるの?」

「はぁ?本気で言ってる?

私と仲良くしてたらもう陽キャに簡単になれるじゃない、陽キャは青春への第1歩よ」


いや意味わかんねぇよ。

そうこうしてるうちに靴箱に着いた。

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