第2話 理久くんの朝②
「はーい、今行くから〜」
急いで飯を口に詰め込んでから、鞄を持って席を立つ。
「お兄、行ってらっしゃい!」
「おう!」
駆け足で玄関まで行き、やっと足に馴染んできたローファーを履く。
扉を開けるとすぐそこに、そいつは立っていて、
「理久、おはよう!学校行こっ」
満面の笑みで俺に挨拶をするのは幼なじみの優里。ショートカットの茶髪は、まだ幼くも見える優里の顔立ちによく似合う。
優里とは幼稚園からの中で、高校も優里が「理久は1人だと面倒くさがって、サボりがちだもん」と言って、俺の第1志望に合わせたのだ。
「あぁ、おはよう優里
今日も今日とて学校行きますか〜」
コイツは頭がいいから俺なんかに合わせないで頭いい学校に行けばよかったのに・・・とずっと思っている。
「なぁ、優里?」
「ん?どうしたの理久?」
「やっぱりお前、頭いい学校に行けば―」
「いーの!」
よかったのに・・・そう言おうとして、優里の言葉に遮られた。
「理久と一緒の方が私も安心だし・・
それに理久の選んだ学校だって、レベルが低いわけじゃないでしょ?」
「そりゃ〜そうかもだけど」
「うん、だからいーの!
はい、この話お終い!!学校行こ?」
優里はやっぱり面倒見がいい。
うっかり惚れそうだ。
昨日の夜の番組について話しながら歩いていたら学校に着いた。
「チーっす!朝からおアツいね〜」
「理久!イチャイチャ見せつけてんじゃねーぞ!」
校門を通った辺りで同級生の冷やかしが凄く、俺は毎朝うんざりだ。
「はぁ・・・全くアイツらは・・・
こんなんじゃ優里も困るだろ?」
「え?なんで?」
なんでって・・・
「俺と付き合ってるって勘違いされるんだぞ?」
「あ〜、ふふっ、そーいうこと?いいじゃん!それだけ仲いいってことだよ?」
全くそんな可愛い顔でなんてことを言うんだ。キュンキュンしちゃうぞ!
すると、いきなり背後から叫び声が聞こえてきた。
「ちょっと!!あんたコレわざとねぇ〜!!」
そんな雄叫びと共に俺の背中に衝撃が走った。
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