~転生後 ジル⑬~
「……そろそろか。皆、準備はいいかい?」
「大丈夫なのです。『ばふ』もばっちりでかつ精神力も満タンなのです。これがお金の力なのですよ。」
各国の要人たちが続々と大聖堂に集合、これから式典が始まるであろうタイミングを見計らい、突入前の最終確認を行う。今回の相手はかなりの大物、そして決してしくじる訳に行かないミッション。念には念を入れて、最初から惜しまずバフを掛ける。幸いな事に、ギルドから金銭的・物品的援助を事前に受けていたので、減ったMPもその場で満タンにする事が出来る。
件のSランク冒険者たちと合流出来なかったのが心残りではあるが、今はベストを尽くすしかない。
「よしっ!それでは――」
僕が突入の号令を掛けんと、いつもより多くの空気を肺へ送りこんだその瞬間。号令の如き爆音とともに、大神殿の壁が大きく揺さぶられた。どうやら、僕らが突入しようとしていた位置とは、神殿を挟んで反対側にて爆発が起きたようだ。
「!!これは!?もしや、Sランク冒険者たちが先に!?」
「考えている暇はありませんわ!こちらも早く突入しなくては!」
機を外されて戸惑っていた僕だったが、ステファニーの声に弾かれて正気に戻る事ができた。
「そ、そうだ!行こう!はああああああっ!」
聖剣の切っ先に全神経を集中させ、上段から気迫とともに全力で振り下ろす。押し出された光刃は壁へと直進し、爆音とともにそれを粉砕した。
「……行ける!」
リリアーヌはすぐさま駆け出すと、そのまま中へ飛び込む。
「続くわよ!ほら!もたもたしないで!」
セリーヌの掛け声とともに僕らも内部へ侵入し、そのまま深部へと突き進む。
「ちょ、ちょうどよく敵が分散できたのではないでしょうか?図らずとも、Sランクの方々と協力した形になりそうです。」
内部には神殿にあってはならないはずである異形の魔物たちが跋扈しており、更にそれと協力して来賓を襲う神官、それから守ろうとする神官などがいりまじり、混沌とした様を呈していた。どうやら、全員が全員魔物たちの一味という訳ではなく、何も知らずに巻き込まれたものもいるようだ。
やはり、対岸からの侵入により、相手方の戦力も分散されたのか、抵抗はそこまで激しいものではなく、そこそこ順調に奥へと進軍する事が出来た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます