~転生後 ジル⑩~

 神都に着いた僕らは、圧倒的な熱気によって出迎えられた。建国記念祭、しかも何百年周年という節目だとあって、住人たちは張り切ってその準備を進めているようだ。また、各国の要人たちも招かれているようで、お堅い講演から大衆向けの公演まで、建国記念日に向けて毎日のように催されている。


「依頼の内容にもよりますが、私たちも色々と見て回りたいものですわね。」


「……旨そうなものいっぱい。食べたい。じゅるりっ。」


 久しぶりの都会に目を輝かせるステファニーと食べ物の匂いに涎を垂らすリリアーヌ。対象と反応は異なるが、二人とも楽しそうで何よりだ。


「活気に溢れてますね……!皆さん忙しそうにしていますが、とても楽しそうです。」


「こういうのって、なんだかワクワクしてくるわよね!」


 来るまでに感じていたエヴリーヌの不安もそれなり薄らいでくれたようで何よりだ。セリーヌは何も考えずに祭りの雰囲気を楽しんでいるだけのようだが。


「まずは冒険者ギルドに行って詳細を聞くのですよ。街を楽しむのはその後なのです。」


 皆を窘めるクロエの声も心なしか弾んで聞こえる。皆のためにも、さっさと依頼を果たして祭りと街を満喫しよう。


「そうだね。まずは面倒臭い事を済ませに行こうか!」

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