~転生後 ジル⑨~

 長い、長い……、実に長く感じられたバカンスを終えて街へと戻った僕らを待っていたのは、特急の依頼だった。しかも、ギルドから直となる、かなり重要なもののようだ。

 ……正直、あのまま島に居続けたら身が持たなかった。

 心なしか肌艶の良い皆と対照的に、僕はかなりの疲労を感じていたが、次なる冒険への渇望は高まっていた。

 内容としては、急ぎ神都へ向かい、そこで更なる詳細を確認した上で、任務に当たられたし、というものだ。要するに、中身は行ってみてのお楽しみ、という事。ただ、受け取った書簡にはギルド上層部の封緘がなされており、かつ今ではAランク冒険者となった僕らを指定しているところから推測するに、かなりの難度が予想される。ようやくここまで到達した、という実感とともに燃えてくるものを感じる。


「神都かぁ……!一回行ってみたいと思っていたのよね!」


「ちょっと不安はありますが……、でも興味はあります。」


 好奇心に掌に収まるくらいの胸を膨らませるセリーヌと、信徒たちの総本山へ行くことに対して若干不安げな顔のエヴリーヌ。冒険者としての身分もあるので、半魔だからどうこうという事は流石にならないとは思うが、その心配も理解できるところだ。


「大丈夫さ!僕や皆もいるんだから、ね?」


「そうですわ!貴女は今では栄えあるAランク冒険者、胸を張っていればよろしくってよ!」


 僕のフォローにステファニーも同調する。種族はバラバラだが長い間生死を共にしてきた絆、というものは皆共有できているように感じられる。


「そうなのです。変なちょっかいを掛けてくるようなら、僕らがお仕置きしてやるのです。」


「……群れ(家族)を守るのは当然。任せる。」


そして、新たな家族が加わる日も近いと小声で加えるリリアーヌ。

何か気になるワードが……!?

 皆の結束を確かめつつ、僕らは急ぎ神都へと向かう事とした。Aランクに昇格して最初の依頼でもあるし、十分な準備をして万全な状態で挑みたいというのもある。

 通常の街路で僕らに危機が訪れるはずもなく、順調に旅は進み、いつもよりも早いペースで移動を終える事が出来た。

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