~エヴリーヌのターン~

「トリは私です。このシチュエーションなら私の方が有利なはず……。これで、決めちゃいますね!」


 普段とは打って変わった明るい口調でエヴリーヌが話しかけてくる。あの遺跡での冒険以来、仲間たちとの触れ合いも経て、徐々に活溌さを獲得してきた彼女。それは喜ばしい事であるが、今はその中に若干不吉なものを感じてしまう。


「さあ、ジルさん!これでどうですか?まさにフルラインナップです!今ならより取り見取り、どれでも摘み放題で、とてもお買い得ですよ?」


「……な、何を言っているのかさっぱり分からないのだけど。」


 と、言いながらつい、彼女の肢体を嘗め回すように見てしまう。やめろ!そんな目で仲間を見てはいけない……!

 セパレートタイプのビキニの胸元は大胆に開いており、パーティー随一の大きさを誇る双丘は惜し気なく曝されている。腰にはパレオが巻かれているものの、片腿は露出され、スタイルの良さと合わさって妖艶さを演出している。これはまずい!このままでは色々と大切なものが失われてしまう!


「どうですか?似合いますか?ちょっと大胆かとも思ったのですが、ジルさんに見て頂きたくて……。」


「……に、似合っていると思いますよ。ええ。とても。」


 どうにか称賛の言葉を絞りだし、悟りの境地へ達せんと『無心』という言葉を脳内に繰り返す僕に対して、エヴリーヌは更なる追い打ちをかける。


「そうですか!?それは良かったです!頑張った甲斐がありました。」


 更に近づいてくる双丘――、ではなくエヴリーヌを前に、修行僧のような心持ちで僕は忍耐の時を過ごし、陥落寸前で開放されることとなった。

 探し出せたとしても彼女とどの位年齢差があるのかも分からない、し……。

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