~転生後 ジル⑤~
最初の冒険での事がトラウマになり、誰かとバーティーを組む気になれなかったため、その後はずっとソロで活動した。
その分用心深く、確実にこなせそうな依頼を、入念に準備をした上でこなしていった。
そのお陰で、着実に力をつけて行く事が出来たと思っている。前世でもコレクター気質だったため、RPGに出てくるクエストは、攻略できるようになった段階で全て虱潰しにクリアしていた。そういったところは今世でも相変わらず、という事なのだろう。
また、遺品として貰った魔剣が非常に役に立った。あれが無ければ厳しかったであろう難局が幾度となくあった。託してくれたガスさんの恩に報いるためにも、僕は生き抜かなければいかない。
ランクも着実に上がっており、気付けばガスさんたちと並ぶBランクへと到達していたのだが……。
「ジ・ル・さ・ん!いい加減にして下さい!
あれだけお願いしていましたよね?パーティーを組んで下さいと?」
僕は受付のお姉さんに怒られていた。
最初の冒険時から、基本的に拠点は変えていない(多少、各地を回ったりはしたが)ため、今では顔なじみとなった彼女だったが、最近では会うたびに小言を貰う。その理由は……。
「……いや、ちゃんと考えているんですよ?本当に。
でも、中々ですね……。」
「もうっ!いつもそれじゃないですか?
ジルさんは優柔不断過ぎるのです!もっとちゃんとして下さいよ!
Bランクにもなる冒険者がずっとソロで……何て、新人たちが真似でもしたらどうするのですか!」
「いやいや、それは……。ギルドがちゃんと言い聞かせれば……。」
「そういう問題じゃありません!
大体、ジルさんだって、仲間がいた方がいいに決まっているでしょう!
ソロプレイヤーとパーティーとでどの位死亡率に差があるか分かっているのですか!
私もジルさんの事を思ってですね――。」
と、いつものお説教を延々と聞かされる。慣れてきたため、半分以上聞き流しているが、そろそろパーティーを、というのは確かに考えている事ではある。ただ、選り好みをしている訳ではないが、踏ん切りがつかないだけだ。
人探しという観点では、やはり世界中を回ってみた方が情報も得られ易い。だが、未知の領域へ積極的に足を踏み入れるとすると、ソロではリスクが高すぎる。ある程度の人数を揃え、あらゆる局面に対応できるようにした方が良いだろう。頭ではそう理解しているのだが……。
「中々、ね。」
「……私もジルさんに何かあったら、と思うと心配で心ぱ――。
って!ちょっとジルさん!聞いてますか!!」
聞き流しているのがばれ、従来対比1.5倍位の長さで説教し続けられる事となってしまった。
心配して貰えるのは嬉しいが、やはり気が乗らない。結局はこのままソロプレイを続ける事になるのだろう。そう思っていた時期もありました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます