第14話順調はむしろ不安にさせる

家に帰ってLONEを開くと通知が何件もきていた

相手は全て愛衣だった。やべ、放課後そのまま案内してたから連絡してなかった。これは明日怒られるな、とにかく返信して謝っておいた。


***


次の日家の最寄り駅には同じ制服をきた女子が足を止めてキョロキョロと誰かを探していた。

あれは……


「大宮くん~一緒に学校行こ」


やっぱり星川さんだった。


「もしかして僕のこと待ち伏せしてた」

「何言ってるの」

「だ、だよね」

「待っていたに決まってるよ」


これはさらに愛衣を怒らせてしまう

2人で電車に乗って学校の最寄り駅で降りる。

いつもの場所で愛衣と会う。最初は笑顔で手を振っていたのにだんだんと怒っているような、不機嫌になっているような表情に変わった。


「どうして星川さんがいるのかな晴人」

「それは星川さんが待ち……」

「たまたま偶然会って一緒に行こうってなっただけだよ」

「ふ~んそうなんだ」


登校中の雑談はとても気まずく、お互いなんだか牽制してるって言うか燃えてるって言うか……とにかく肩身が狭かった。救いを求めるように教室のドアを開けて亮太のところに逃げる。


「亮太これから僕大変な日々を過ごすことになるよ」

「良いじゃねぇかよモテ期だろ」

「それじゃ亮太なんて常にモテ期でしょこの前だって告白されたんでしょ」

「まぁな断ったけどさ」

「亮太なんやかんやで彼女いたことないよねどうして付き合わないの」

「お前と同じ理由だよ」

 

僕と同じ理由?それって……


「亮太好きな人いるの!?」

「声がでけぇよ」

「誰?誰?」

「教えねぇよ。お前は女子達の相手でもしてろ」

「火に油だよ」


実際、星川さんはとにかくすごい。愛衣は可愛いしモテるだろうけど女子に好かれるタイプで春風は美人だし、モテているだろうけど控えめな性格から裏で人気が高いタイプそれと比べ星川さんは誰よりも人気で裏も表も関係なく好かれるタイプで中学の頃は男子共が振られに振られまくったとか聞いてた。


今日は体育祭の個人競技の割り当て発表とリレーの順番をとりあえず決めないといけない。6時間がくると滝沢先生は例のごとく実行委員に丸投げした。つまり僕に


「では、僕らが考えた個人競技の割り当てを書いた紙を黒板に貼っておくので忘れたら見てください。次にクラス対抗リレーの順番を決めたいと思うので各班ごとに考えてください。」


リレーの順番は1番批判を受けやすいものだ。僕も文句を言われるのは嫌なので皆に決めてもらうことにした。こっから多数決をとってどの順番にするか決める。練習する時間もあるので変更はできるので、正直形だけでもみんなで選んだ決めたようにしたかった。数十分が経ってそれぞれの班が考えた順番をスクリーンに映す。些細な違いはあれど足の速い人達を最初にもってくるか最後にもってくるかの違いだ。僕は速い人達は後ろの方が良いと思う派だ。


「では多数決をとります。良いと思うものに1つ手を挙げてください。」


伏せる必要はないと思うけどいちようやってもらって手を挙げてもらった。結果は速い人達が最初に走ることになった。今日はそれで終わりだったけど、滝沢先生に止められた。


「大宮、不登校の代わりに2回走るやつを決めないのか」


そうだった。このクラスは2人足りてないんだ。


「すみません。このクラスは人数が足りてないので、2回走ってくれる人いますか」


シーン……いないのね。


「仕方ないなやってやるよ晴人」

「ありがとう!亮太、あと1人必要なんですけどもしいなければそこまで足の速くない僕がやります。ただし、絶対に文句を言わないでください」


シーン……絶対文句言うなよ。僕は中の中だからね

体育祭の準備はおおよそ順調に進んで行った。

ただ、世の中そんな甘いことはないと知っているだってまだ、練習は始まっていないのだから。


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