第9話休日デートの口実

僕はあれからしばらく愛衣と帰るふりをして別れたところで学校に戻って青山さんの帰りを待つ。

変な噂が立つと迷惑がかかるので他の部活の人と

別れたところで合流して守るってことをしていた


「青山さんもしよければ話を聞かせてくれない休日にでも」

「大宮くんは良いの?ここまでしてもらってるのに」

「今は解消できてるけど解決はできてないから色んなことを知りたいんだ」

「わかった。それなら土曜日空いてるかな」

「大丈夫だよ」

「それなら1時にこの駅に集合ね」


電車に乗った後はスマホではなくて会話をしていつもの寂しさがなくなっていた。やっぱりだ。どうしても視線を感じる。なんだか、その視線は青山さんに向けられるいやさらしいものではなくて僕に対する憎悪や嫉妬のようなものな気がする。


***


土曜日僕は駅に向かい青山さんと会う。初めて休日に会うのがこんな訳ありなのは残念だけど、僕は正直かなり楽しみにしている。なぜって?珍しく30分前に来てしまったからだ。どうしようかなこの場から離れるのはすれ違いになりそうだから動けないし、やっぱりスマホでもやるか


「大宮くん早くない」


声の正体はもちろん青山さんって早くない?スマホやろうとした瞬間だよ。もしかして、両想い?青山さんも僕のこと………勘違いは良くないな青山さんはそうゆうところ真面目だからなありえない

うん?ありえない?それはそれで


「大宮くんー聞こえてるー」

「え?あぁごめんちょっと考えてた」


青山さんは不思議そうな顔をして僕の顔の前で手を振る。


「どこで話そっか」

「あんまり女子の気に入る場所わからないんだけど」

「そうだな~じゃあカラオケ行く?」

「か、ら、お、け?」

「いや?」

「そんなことないよ」


良いの?密室だよとか言うわけにもいかない。意識してるとか思われるのは嫌だもん。意識はしまくってんだけどね


「行こっか」

「うん」


やっぱりさっきから何か視線を感じる。気のせいだと信じたい……

カラオケは良い選択だったかもしれない

でも、カラオケって歌を歌うの?僕はあんまり上手いや、素直に音痴です。


「どうする歌う?それとも話す?」

「僕音痴だよ」

「あ~なんか想像できるかも」

「青山さんはどうなの?」

「私は音痴ほどではないよ。普通くらい」

「何か歌いたいなら歌ってもらっても」

「じゃあ話す内容は少し暗くなっちゃうから歌おっか」


フリーで入ったから時間はたくさんある。僕も音痴なりに頑張って一生懸命歌ったたら一生懸命って良いねって言われてしまった。嬉しい……一方で青山さん歌上手すぎ普通に聞き入っちゃったよ。そしたら頬赤くして照れるの可愛すぎでしょ

そんな感じで2時間くらい2人で楽しく盛り上がったと思う。


「休憩も含めてそろそろ話そっか」

「じゃあ色々教えて」

「何から言えば良いかな」

「聞きたいこと聞いていくけど大丈夫」

「うん、私のためにしてもらってるんだから」


そっから僕は色々なことを聞いた。始まったのは僕と帰る1週間ほど前から、行きの電車は平気だとか、原因とかはわからないらしく、怖くて顔を見れていない。気になったのは時間をずらしても次の日にはその電車で起きるとゆうことだ。それでも違和感を感じるくらいだったけど試したい


「ねぇ青山さん今日も視線を感じたんだ」

「大宮くんも?」

「うん。僕の予感が当たってるかもだったら解決できるかもしれない」

「ほんとに」

「確証はないけど聞いた限りだとこれが1番かもしれないだから協力してくれない」

「何をすれば良いの?」

「僕の彼女のふりをしてください」

「え!」

「詳しく話すのはさけたいから今日かもしくは月曜日あの男がいるときにお願いしたい」

「うん、の彼女のふりをすれば良いんだね」


晴人くん呼びの破壊力は僕の思考を一瞬で崩壊させかけるほどだった。青山さんの意図をくんで僕もそれに従う。


「うん、よろしく春風さん」

「恥ずかしいね……」


お互いに思ってた以上のダメージがあったみたい


「それと春風で良いよ。そっちの方が恋人ぽいから」

「それなら春風も晴人って呼ぶ?」

「私だったら彼氏はくん呼びが良いかな」

「わかった」

「なんか変なテンションになっちゃったし歌おっか」

「そうだね!」


お互いの恥ずかしさを隠すように歌ってテンションを上げた。まだ慣れない呼び名はそれはそれで恋人同士に成り立てな感じがして良いってことにした。時間はもうそろそろ18時になりそうだったので、帰ることにした。カラオケを出て駅のホームに入ると嫌な視線をまた感じた。お互いに目を合わせると春風は腕を組んできた。これで恋人感は出ただろう。男の嫉妬と憎悪の視線はさらに増した。これなら目的通りいくだろう。男の視線の中で僕らは恋人同士だと存分に見せつける。電車に乗って今日は僕が春風を送らずに電車を降りても男の視線は感じた。


「成功した」


聞こえない程度に呟いて僕は車の通りが盛んな場所を歩いた。信号機に捕まり僕は車道のギリギリに立つ。1つの車が信号を走り抜けようとしたとき僕の体は車道へと押し出された。そう、後ろの男に突き飛ばされたのだ。体は車道に投げ出され走る車のフロントガラスに衝突して鈍い音がなる。僕の体は地面に落ちて体から赤い液体が流れる。周辺にいる人の絶叫と共にそのまま意識を失った。

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