第3話噂とイケメン
とある昼休み。僕と亮太は購買でサンドイッチを買って外のベンチに2人で座る。
「お前ほんとそれ好きだよな」
亮太が指さすのは卵とチーズとマヨネーズを挟んだサンドイッチ。僕はほぼ毎日これを食べている
小さい頃に1度これと似たようなサンドイッチを食べていこうこの種類があると食べてしまう。そういえばあの時も愛衣の家族とお花見をしてたっけな
「まぁねだけど亮太だって毎日カツサンドじゃん」
「俺のは部活のための栄養だよ。丁度良いくらいに腹にたまる最強のサンドイッチなんだよ」
「ふ~ん」
「なんだよ」
「素直に好きって言えばいいだろ」
「へいへい、カツサンドが大好きなだけだよ」
たいしたこのない日常的な話。友達と昼間にするには丁度良い。
「そういえばさお前と小林さんって付き合ってんだろ」
「え?」
「いやぁ~俺は嬉しいよ中学の頃から1度も誰かを好きになったことのないお前に彼女ができるなんてさ。お前はあの
「待って、待ってどうゆうこと」
「いやクラスで話題になってるぞ毎日一緒に登下校して休み時間とか仲良さそうに話してるから付き合ってるってそれに違う中学なのにお互い名前呼びだって噂になってるぞ」
「確かに愛衣とは仲が良いけど付き合ってはないよ」
「なんだそうなのか、ざ~ねんまだ初恋に未練を持ってるのかお前は」
「もう未練なんてないよ」
亮太は目を見開いて意外そうな顔を見せるとそうかと言ってカツサンドを口に入れる。僕もチー卵マヨサンドを口に入れてお茶で流す。2人の座るベンチに風が吹いて枯れ始めた桜の木が揺れる。
「戻ろっか」
「そうだな」
5時間目の国語は少しだけ、愛衣を意識してしまっていた。噂が彼女の元に届いていなければ良いなとありえないことを思う。だって彼女は可愛くて美人の人気者だから
今日は
「青山さんレクリエーションの案思いついた?」
「う~ん私あんまりそうゆうこと考えるの苦手で思いついてないんだ~大宮くんは」
「俺も……正直クラスの人達のことまだよくわからないからさ何をやったら仲良くなれるのかさっぱりで」
「だよね」
全員が集まるまで青山さんと話す機会をえら得た
学級委員になれて良かったと心底思う。だから少しでも彼女のことを知れるように質問しよう
「青山さんこの前本読んでたけど本好きなの?」
「本を読むことは好きなんだけどあんまり読めてないかな部活も、勉強もあるから」
「青山さん頭良いもんね」
「そんなことないよ人一倍暗記は苦手だよ。それに大宮くんが言うと皮肉だよ」
冗談めいた様子で微笑む姿に脈打つスピードが加速する。顔赤くなっていないかなと不安になる
「僕は勉強しかできないからスポーツもできて性格も良くてかわ……」
「かわ?」
「え~とその、そう!カワウソが似合う」
「どうゆうことなのそれ」
「可愛い物が似合う的な意味だよ」
苦しい言い訳……恥ずかしいぃついうっかり可愛いって言いそうになっちゃったよぉ……セクハラにならないよね、嫌われないよね、大丈夫だよね
頭の中がオーバーヒートしたようで顔にも熱が帯びる。
「よ~し全員集まったな」
気づくと全員集まっていて滝沢先生が説明を始める。といってもほとんど丸投げ、やりたいことを話し合って決めろだと。2週間も経つとだんだん気づいてきたことがある。滝沢先生めちゃ適当
青山さん以外初対面の相手との話し合い。上手く進まないそれぞれが同じクラス同士の学級委員で話しているだけで誰も全体に提案しない。これは長引くな……僕もその1人なんだけどね
「お前ら時間は有限なんだぞ。とっとと決めろ」
「先生去年は何をやったんですか」
「あ~確かクイズ大会だって言ってたな」
「じゃあそれ……」
「クソほど盛り上がらなかったとか言ってたぞ」
まじか~それはさすがにできないな。失敗するとわかっててやるのは誰も納得しないだろうからな
滝沢先生がしびれを切らして頭を掻くとはぁ~と深いため息の後
「大宮お前が決めろ」
「え?ちょっとなんも思いついて……」
「良いから何か言ってみろ話し合いってのはな誰かが口を開けば次から次にアイデアが出てくるものなんだよ」
大人の先生が言うならそうゆうことなんだろう
「え~とじゃあドッチボールとか、、、なっちゃって」
このあとアイデアは出ることなくドッチボールに決まった。おい先生騙したな、恨むぞ……と睨むとクスクスと笑われた。嘘でしょ先生もう2度とそうゆうことはやらないからな、多分……………
最悪な話し合いが終わるとどんどんと教室から人が去っていく。今日はさすがに愛衣も帰ってるだろうから一様青山さん誘ってみるか。
「青山さん一緒に帰らない」
「ごめん、このあと部活あるんだ。また、今度って……大宮くんには愛衣がいるでしょ。他の女の子誘うなんていけないんだぁ」
以上撃沈……っていつの間に呼び捨ての仲になったんだ愛衣はズルい……俺も晴人って呼ばれたい。
うん、僕なんかが……きもいな。いちよう付き合ってないよと言ったら亮太と同じような反応だった。どんだけその噂信用性あったんだよ、まぁいいや帰ろう。教室を出て、玄関で靴を履くと愛衣が1人で待っていた。どうして、僕なんかに……30分以上話し合いしてたんだぞ。ほんと、ずるいよ
愛衣は僕の姿に気づくとパッと笑顔になって手を振ってくれる。少女のような幼い姿にふと昔と重なる。愛衣の家ってたしかこの学校から結構距離あるよな。なんでこの学校を選んだんだろう
「晴人帰ろう」
「待ってなくて良かったのに暇だったでしょ」
「ううん。私がそうしたかっただけだから」
「なら良いけど」
こうしてまた、たわいのない話をする。クラスの女子と仲良くなったとか、青山さんのことを春風って呼ぶようになったとか!亮太は今日もカツサンドだったとかそんなことばかりここ2週間はそんな感じだ。少なくとも話題を出すのは僕だけじゃなくなった。でも今日は愛衣が何か言いたげで何かが変わってしまうような気がした。
「ねぇ、晴人……噂のこと、知ってる、、、」
やっぱりか予想はしてた。
「あ~亮太からきいた、きいた、ごめんな嫌だったよな」
わかりきった嘘をつく。
「そんなことない!!……私は、私は………」
待ってくれ、今その続きは聞けないし答えたくない。今の関係で答えたらもう幼馴染みでも、友達でもいれなくなってしまう。約束にまだ完全に僕も解き放たれたわけじゃないんだ。だから
「私は!……」
「お~い晴人」
この声は亮太!助かったと思った僕はやっぱり最低だ。まだ人の好意に気づけない鈍感のままでいさせてくれ
「ってごめん取り込み中だった?」
「ううん。そんなことない。私こっちだからじゃあね」
逃げるように去っていく愛衣の背中をただ眺める
「良いのか何かあったんだろ」
「良いんだよまだこのままで」
「お前が言うなら信じるぞ、よく知りはしないがむやみに傷つけるなよ」
「わかってるよ」
「ちょっと俺らは遠回りしようぜ」
「遠回り?」
亮太に連れてこられた場所は質素な公園だった。
砂場とブランコ、小さい滑り台だけで子供は誰1人いない。きっとゲームしてるんだろうなと小学生の頃の自分を思い出す。亮太はブランコに座ってゆっくりとこぐ。真似するように僕もまたその隣でブランコをこぐ。
「あのさ、約束に時効ってあると思うか」
「お前やっぱりまだ初恋相手とやらの約束に縛られてるのか」
「違うとは言えないけど少なくとも変わりつつあるよ」
「俺は約束に時効なんてないと思う。」
「だよな……」
「でもな絶対に破っちゃいけないものでもないと思ってるよ。約束は嬉しいとか楽しいとか幸せになるためのものであって、辛いとか嫌だとかって不幸になるものは約束じゃなくて束縛だよ」
「イケメンだなお前は」
「なんだそれ」
笑い合って、大きくブランコをこいで、高く、できるだけ高く空に向かって跳ぶ。
あぁ、ほんと亮太と友達で良かったよ。イケメンでかっこいいこいつは僕をいつも救ってくれる。
「親友だよお前は」
「今更かよ、ずっと俺は思ってたよ」
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