第180話 奇妙な出会い
石井君…あのときあんなこと言っちゃったけど…大丈夫かな…ファンクラブとか言われて…新入生達とも会うことになるし…はぁ…
理佳子はもうすぐ新学期が始まろうとしてる中で、再び石井と顔を合わせることに気が重かった。
タカ、おいで…
ミャアオ
タカが理佳子の足元に体を擦り付けて甘える。
タカ…どうしたらいい?なんか学校行くのが嫌になっちゃう…
理佳子はタカを膝の上に乗せて優しく撫でる。タカは気持ち良さそうにおとなしくしている。
天斗の写真を手にして
「たかと君…どうして転校しちゃったの…俺の女だ!手を出すな!って追っ払ってくれたらいいのに…はぁ~…」
理佳子は深いため息をついた。
「黒崎さーん!やっぱり黒崎さんですよね?黒崎天斗さん!」
赤坂と名乗った男が振り返り
「赤坂だっつーの!」
石井はバッグから理佳子の写真を取り出して
「この女性と付き合ってるんですよね?」
石井が写真を見せた瞬間
「誰これぇ!超可愛い!」
黒崎を呼んだ男が言った。そして黒崎も理佳子に一目惚れしてしまう。黒崎が
「少年!この女性は?」
「え?黒崎さんの彼女じゃないんですか?」
あの野郎…こんな可愛い女と付き合ってんのか!羨ましいぜ!
「えーと…君名前は?」
「石井です!石井裕太!」
「石井君…この写真を俺にくれ!さっきのでチャラで頼む!」
「え?無理無理無理無理!!!苦労して撮ったんすから…」
「プリントすればいいだろ!頼む!」
「わ…わかりました。じゃ、今度で…」
「今度ってなんだよ!」
「あの!黒崎さんの付き人にしてくれたらあげます!」
「はぁ?付き人?」
「僕…黒崎さんの強さに惚れました!お願いします!」
「うーん…しょうがねえな…」
黒崎は理佳子の写真欲しさに適当に安請け合いしてしまった。その時はこの少年がスッポンのようにしつこいとは知らずに…
「黒崎さん、理佳子先輩と付き合ってないんですか?」
「誰かと人違いしてんだろ?」
「え?でも…確かに黒崎天斗だって…」
「俺の影武者が居るんだよ…同姓同名の…」
「そうなんだ…また一から探し直しか…」
「それより少年!この理佳子って娘は君と同じ学校か?」
「え…えぇ…まぁ…」
「じゃ、もっとレアなもの持ってこい!例えば…そうだな…彼女の使ったリコーダーとか!」
「変態!そんなの手に入れることが出来たらとっくに僕が自分の宝物にしてますよ!」
「バカ!俺は純粋にだな…」
石井は軽蔑の眼差しで黒崎を見つめる。
「ま、忘れろ…俺はそんな変態じゃねーからな…」
いやぁ…十分変態だと思うけど…
「じゃ、何とかもっと写真を集めて来ましょう…その代わり…いざとなったら僕を守ってくださいね!」
「あぁ、わかったわかった…早く写真持ってこい!」
「はい!」
「ところで君、学校はどこ?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます