第179話 人探し
先週からお休み頂いておりました黒崎天斗、また再開させて頂きますので、またお付き合いのほど宜しくお願い致します。
小説本文
夏休みも終盤を迎え、学生達は夏の最後の思い出作りに励む中、理佳子にフラれた石井裕太は理佳子が惚れた男を徹底的に調べて回っていた。そしてやっと信憑性が高い情報に辿り着く。そして、その男を一目見ようと更に情報収集に躍起になっていた。
「いつもこの辺で見かけるって聞いたんだけどなぁ…、めちゃくちゃ喧嘩が強い人だとか…理佳子先輩はやっぱり強い男に惹かれるのかなぁ…」
その時、学生らしい若者数名を見かけ声をかける。
「あの~、すみません…この辺によく黒崎って人を見かけるって聞いて来たんですけど…知りませんか?」
若者達は、石井の弱々しい風貌を見て、伝説の黒崎に何の用があるのかと不思議そうにジロジロ見た。
「何で?なんであの人探してる?」
「あの~…えーと…凄く有名な人なんで弟子入りしたいと…」
「あ?お前が?」
そう言って一斉に笑った。
「あの!知ってるなら居場所教えてください!」
一同顔を見合わせて
「じゃ、ついてこい!」
そう言って石井は若者達の後をついていく。しばらく歩いて人気のない路地裏で若者達が立ち止まった。
「なぁ、案内したんだから金出せよ!これはカツアゲじゃねーからな。手数料だよ!」
「え?でも…黒崎って人は?」
石井は周りをキョロキョロ見渡すが、それらしい人物は見当たらない。
「良いから出せよ!ここで待ってりゃ黒崎に会えるよ!」
「そんなの…信用出来ない…」
「テメェ…せっかく連れてきてやったのに恩を仇で返す気か!」
そう言って石井の胸ぐらを掴み殴りかかるふりをする。石井は顔を背けて目を固く閉じる。その時
「だーれかなぁ?弱い者いじめしてお金取ろうとする輩は?」
突然石井の背後から声が聞こえてきた。
「あ?弱い者いじめ?んなわけねーだろ!遊んでるだけだよ!行くぞ」
そう言って石井の手を引き若者達がこの場を去ろうとする。
「ちょっと待て?なぁ君?大丈夫か?」
石井はこの窮地を救ってくれようとする見知らぬ人物に助けを求める。
「いや…カツアゲされてます!ちょっと人探してただけなのに金出せって言われて…」
「ほーら、カツアゲされてますって言ってんじゃねーか」
「うるせぇなぁ!してねーつってんだろ!」
若者達がこの救世主に襲いかかる!
バタバタバタッ
目にも止まらぬ速さで五人の若者達が地面に倒れた。それはまるで映画のワンシーンのように見えた。石井は生で喧嘩を見るのは人生初だった。
す…凄い…カッコいい…こんな人が実際に世の中に居るんだ…超カッコいい!もしかして…理佳子先輩が惚れた人って…この人?
「あ…あの…ありがとうございました。もしかして…黒崎さんですか?」
「いや、赤坂…」
なんだ…人違いか…残念…
「あの!赤坂さん!黒崎って人探してるんですが知りませんか?」
「ん?まぁ…知らないことも無いけど…」
「教えて下さい!探してるんです!僕の大好きな女性が…黒崎って人と付き合ってるって…どんな人か一目見たくて…」
「んー…そうか…がんばれ!」
「ちょっちょっちょっ…待ってくださいよ!教えて下さい!知ってるなら…」
「そう言われてもなぁ…」
その時赤坂と名乗る男に声をかける男が現れる。
「天斗、行こうぜ。あいつら来たわ」
「おぅ!少年…がんばれ!」
石井の方を振り返ってそう声をかけた。
たかとって…えぇ!やっぱりあの人が黒崎天斗だったんじゃないか!
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