第124話 石田 遼(いしだりょう)

俺達はビルの廊下、部屋の前で一呼吸おく。


「たかと、小山内、玄関入ったら思いっきり暴れて!一気に奴等を撹乱してかき乱す…チマチマ一人ずつ相手にするより、とにかく手数でどんどん中へ進んで行って!」


「わかった」


「はぁい、かおりちゃん!」


「了解ッス!姉さん!」


「じゃあ行くよ?」


そう言って薫はドアノブに手をかけた。


ガチャ


「オラァ~~~~~!」


一気に中へなだれ込み、全員が一気に入り乱れた。


「お前ら!この状況わかってんだろうなぁ!女はこっちの手の内だぞ!」


石田陣営から怒鳴り声が響く。


「黒崎~!どこだ黒崎~!」


石田遼(いしだりょう)が黒崎の姿を探す。


「石田さん!黒崎は居ねぇ!」


「何?じゃあ、こいつら誰だ?」


「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇよ!俺の女に手を出したこと…死ぬほど後悔させてやるよ…」


天斗はもはや怒りで理性を失いかけている。


「あ?誰だてめぇ」


「黒崎天斗だよ!」


「何言ってんだ?お前が黒崎なわけねぇだろ!俺は何度もアイツとやりあって来てんだ…てめぇみたいな雑魚に興味はねぇよ!」


「んなこと知るか…俺が黒崎天斗なんだよ…」


「フン…女人質に取ったが…どうやら人違いだったか…興ざめだ…お前ら、あの女好きにしろ!あと…この雑魚殺っとけ!」


「オッシャア~!」


天斗は相手を容赦なくぶっ飛ばし、あっという間に石田陣営は崩れ残り4人となった。

石田を除く3人が一気に天斗に襲いかかる。


ドッ、バキッ、ドスッ、ドガァーン…


それは…一瞬の出来事だった…天斗は3人を秒殺で倒していた。


なんか今日の黒ちゃん…危ねぇ…キレ方が半端ねぇ…こいつらめちゃくちゃブッ飛んだぞ…生きてるのか?


偽物の黒崎のくせに…めちゃくちゃ強ぇ…こいつ…既に名実共に本物と肩を並べるんじゃ…

それは薫の仲間の心の声だった。


「おい、てめぇ…女人質に取られてよくそこまでやれたな…」


もはや石田一人しか居ない…


「返せやコラ!理佳子返せ!!!」


「フン…調子に乗るなよ…雑魚がどれだけ束になってかかってこようが所詮雑魚は雑魚…あんなブスな女には興味はねぇ…が…なかなか良い味だったぜ…」


「……………てんめぇ!!!!!!」


天斗は完全に理性を失い石田に殴りかかる!


「たかと!!!」


ピタッ


薫の気迫こもった声に天斗が止まった。


「たかと!理佳は無事だよ!大丈夫…何もされてない…」


「たかと…君…」


理佳子は安堵して泣きじゃくっていた。


「たかと…冷静になりな…」


「これが…落ち着いていられるわけねぇだろぉ~がぁーーーー!!!!!」


部屋中に怒鳴り声が響き渡り、全員鼓膜が破れんばかりだった。


「理佳子…悪かったな…お前をこんなに怖がらせた奴は…俺がぶっ殺す!!!!!」


「あぁ?お前、何か勘違いしてねぇか?俺はあの黒崎を何度も追い込んでんだよ!お前とは格が違うんだよ…」


「たかと…そいつは石田って言って、そうとうヤバい奴だよ。気を付けな…」


薫は正直不安だった。いくら天斗が強くなったとは言え、果たしてこの男に敵うかどうか…石田という男はそれほどまでに強かったのだ…

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