第78話 奴等の溜まり場
次の日の朝重森薫から連絡が入った。
「もしもし」
「あっ、たかと?あんた知ってる?高谷も含め主力、頭から順番に6人が潰されたの…」
「あぁ!全然知らんかった。いつやられた?」
「昨日の夜だよ。もう小山内は病院かけつけてるけどたかとはどうする?」
「そりゃあ行くだろ、何処だ!」
「たかと、それより先ずはあの男止めないと」
「ん?誰だ?」
「片桐だよ。アイツを野放しにしてるともっと事態は悪化していく。何よりそっちが優先だよ」
「そ、そうか。わかった。で、片桐の居場所はわかるのか?」
「アイツら最近◯◯ってライブハウスで溜まってるわ。今から動ける?」
「うん、俺は大丈夫だけど…足になるものが…小山内も居ないし…」
「今からそっち行くから外に出て待ってて」
「わかった」
外はどんよりと曇り空で今にも雨が降りだしそうな重い空気に包まれていた。
朝の9時に重森から電話が来てすぐに支度をし20分程して外に出た。
ちょうどいいタイミングでバイクの爆音が俺の家に迫ってくる。
バイクが2台、1台は2人乗りで1台は一人で俺の家の前に止まる。
2人乗りの後ろに重森薫が乗っていた。
「そっちのバイクに乗って」
そう言ってもう1台の方のケツに俺は乗せてもらった。
少し走り俺はバイクから降りた。沢山の店が建ち並ぶアーケードの商店街という感じで、辺りは人通りが多く若者がこの大半を占めている。
アーケードの中を歩き二階建ての建物の前で止まり俺達は看板を見上げた。
「ここか…」
「最近毎日ここに溜まってるって情報が入ったから間違いない」
そこは地下に降りる階段がありその地下部分がライブハウス会場として使われてるようだ。
この街の多くの若者の溜まり場として色々な学校の交流もあり、喧嘩も絶えないが裏でのやり取り、売春から薬の売買、暴力団員との繋がりも闇の世界はほとんどここで行われていた。
会場の広さはステージの部分を除いて約100人が楽に入れる程のわりと大きめのスペースでほぼ毎日入れ替わりでライブが開催されるほど盛況している。
重森の情報網もここでかなり集められていると言っても過言ではない。
俺達は階段を降りて入り口のドアを開ける。
中は暗くて目が慣れない内は中の様子がほとんどわからないほどだった。
薄暗い天井からぶら下がる電球のライトが辛うじて中の広さをうかがわせる。
「誰も居ないのか?」
俺達はステージの方へ向かって歩いていく。
その時暗闇の壁の方でガタッと物音がした。
「何か忘れ物でもしたかぁ?」
暗闇から男の声が聞こえてくる。
俺達は声の主を確かめるべく近寄っていく。
その瞬間慌てて出口の方へ走っていく気配がして俺達は足元に気を付けながらその気配を走って追う。
先に声の主が出口を開け出ていく。
俺達はそれに少し遅れて出口を出たがすぐに人混みに邪魔されて見失ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます