第79話 小山内の家襲撃事件
「クソッ!取り逃がしちまった…」
そう俺が言った。
「姉さん、これでウチらが近づいたことが向こうに知れてしまいますね」
「どのみち大きな衝突は避けられないさ。むしろアイツらにとってもプレッシャーになるはずだよ。情報収集力は何もアイツらだけの特権じゃないってわかったはずだ」
そのとき薫の携帯に着信
「姉さん、小山内って奴の家に片桐達が向かってるらしいっすよ。今小山内って病院行ってんすよね?」
「そうか、ありがとう。私達もそっちに向かうよ。下手に近づくなよ、あんた達を巻き込むつもりは無いんだ。これはウチの問題だから今回あんた達に怪我させるつもりは更々無いんだから」
「なーにみずくさいこと言ってんすか!これまでに受けた姉さん達のご恩はどんなに返したって返しきれねぇんだ。地獄の底まで付いていきますよ!」
「気持ちだけ受け取っておくよ。今回はちょっと嫌な予感がするからほんとにこの山は関わらなくていい」
薫は電話を切って仲間と小山内の家に向かうことにした。
俺はすぐに小山内に電話してその話を伝える。
「もしもし小山内!気を付けろ!奴等は小山内の家に向かってるって情報が入った。俺達も今からお前の家に向かうけどくれぐれも用心しろ!」
「黒ちゃん…これは…この落とし前は俺に付けさせてくれ…この件は片桐が俺に対しての恨みなんだよ。俺はあいつと相棒としてやってきた。あいつのことはよくわかってる。そしてこの仲間殺し(実際には死んでいないが)はどうしても俺があいつと決着付けなきゃならないんだ…」
「小山内…だけど俺も狙われてるからなぁ…」
「黒ちゃんはあいつにとってはついでみたいなもんだ…本当の狙いは俺なんだよ…ずっと口実が欲しかったんだろ…大義名分の」
「わかった。とにかくお前一人でいるのは心配だから一度合流しよう」
「わかった。俺も一度戻るわ」
小山内の家を20人程の集団が取り巻いている。それぞれ鉄パイプや金属バットを仕込んで完全に殺る気で来ている。
「片桐、居ねぇんじゃねーのか?」
「あぁ、多分な…アイツの愛車が無い。また出直すか。とりあえず置き土産でもしておくか」
そう言って小山内の家の小さな窓ガラスに大きな石を投げつけた。
ガシャァーン!
石は窓ガラスを突き抜け家の中に落ちた。
その日小山内の家は留守でその惨状に気付く者は居なかった。
「小山内…お前は絶対許さねぇ…」
そう言って片桐達は引き上げた。
それから天斗達が駆けつけるのはおよそ10分後だった。
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