第76話 重森薫の情報網

俺達がバカな言い合いをしてるとき小山内の携帯に着信

それはクラスメートの小清水、小山内の側近に当たる男だった。この男も小山内に比肩されるほどやる奴だ。


「もしもし、きよちゃん?高谷がアイツらに捕まって…どうしよう…」


かなり動揺してる。高谷は小山内の側近の一人でうちの学年で5本の指に入る強者だ。


「どこ連れてかれたかわかるか?」


「いや、それが俺達二人で道を歩いてたらいきなり後ろから何かで殴られてよぉ…5~6人で高谷を強引に拐われたから…」


「で、お前は大丈夫なのか?」


「あぁ、俺はそのまま意識失ってただけで大丈夫だったんだけど…恐らくアイツら少しずつ戦力削いでくる作戦なんじゃないかな?」


「なるほど…それでうちの主力ばかりやられてんのか…これはあまりもたもたしてらんねーな」


「小山内、奴らの溜まり場とかわかんねーのか?」


「んー…アイツらちょくちょくアジト変えるからよぉ…なかなか特定すんのは難しいんだわ…」


その時俺は閃いた!そうだ、重森この前佐々木日登美の件であの繁華街まで突き止めてた。

もしかしたらあいつに頼めば意外とわかるかも知れねぇ…


「小山内!ちょっとお前の女借りるぞ!」


「はぁ!?何でお前理佳子ちゃんいる分際で俺の女寝取ろうとしてんだよ!」


「だから何でいつもそういう発想が生まれるんだよ…」


「俺だってまだキスしかしてねーんだよ!」


「悪ぃ…モンスターには興味ねぇわ…」


「だから誰がシュレックだこらぁ!」


誤解を招きかねない為に特筆しておくが、決して重森薫はシュレックのようにソーセージのような指でもなく、ちゃんと赤い血が流れていてナメック星人のように緑の肌でもない。背は157センチ、スタイルはやや細身、髪型は刈り上げショートのバランスの取れた普通の女子高生。オマケで胸はCカップの美乳…因みに顔は上の下くらいのやや平均を上回る。意外に女なんです!


「いや…言ってないし…それお前の心の声だろ?」


「で、かおりちゃん巻き込む気か?」


「いや、ちょっと頼みたいことがあるだけだ」


俺はそう言って重森に電話をかけた。


「もしもし重森、ちょっと頼みたいことがある」


「あぁ、来ると思った。高谷のことでしょ?小清水と高谷、奴らのリストに入ってたって」


いきなりズバリ言い当てた…やっぱりこいつただもんじゃねぇ…


「さっすがかおりちゃん!俺のテレパシーが届いたんだね?俺達通じ合ってんのかなぁ~」


小山内がまるでお花畑の中で花の香りに包まれているような幸せそうな顔をしてる。

このアホ面を俺は放っておいて


「わかるか?アイツらのアジト」


「それは今調べてる。近々ウチと一戦交える為にかなり綿密に計画して行動してるね。奴らの中に参謀の片桐ってのが居るんだけど、こいつがかなりの策士!気を付けた方が良いよ…油断してると足元すくわれかねない」


「わかった、サンキュー!」


重森との電話を切って


「と、言う訳だ。ま、アジトがわかるのも時間の問題だろ…」


「なぁ、黒ちゃん…かおりちゃん…何で全部お見通しなんだ?もしかして…俺に盗聴器しかけてる?」


「んなわけあるか!」


小山内の妄想力に俺は脱帽する…

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