第75話 裏切り者の片桐

小清水信行こしみずのぶゆき、高谷耕介たかやこうすけは小山内清の側近の主力メンバー。この二人は朝からブラブラと残り少ない夏休みをただ無駄に住宅街を歩いていた。


「高谷、今日は川で釣りでもしながらバーベキューでもやるか?」


「おっ!それいいな!じゃあみんな集めて準備していっぱい魚釣って肉も買い込んでやろうか?」


「良いねぇ!先ず、きよちゃんに聞いてみるか」


と、その時後ろからいきなり小清水の頭にガツーンという衝撃が走った。

小清水はクラっと目が回り倒れこんだ。

高谷は6人の見知らぬ男達に殴られ気を失う…


「た…か…や…」


小清水はぐるぐると目が回り身動きが取れない。高谷が連れていかれるのを目で追ったがすぐに意識を失ってしまった。


しばらくして小清水は目を覚ました。


高谷…やべぇ…高谷が拐われちまった。きよちゃんになんて言やぁいいんだよ…

アイツらもしかして…そうか…俺達の行動は監視されてる?他の仲間達にも早く連絡しなきゃ更に被害が拡大するかも知れねぇが…頭がメチャクチャ痛ぇ…

しばらく小清水はその場に座り込んだ。

きよちゃんの話では原の奴がまたトラブル持ち込んだとか言ってたが…きっとそれは口実の一つだろう…これは多分…裏切り者の片桐の策略に決まってる…

ただの女絡みの嫉妬やそんなのなら俺達を単独で狙う理由がねぇからな…




「なぁ片桐、次は誰を狙うんだ?」


「そうだな…とにかく小山内の側近は手当たり次第に行くぞ。アイツの仲間全員潰してたっぷりと俺を捨てた恨みを晴らしてやらなきゃ気が済まねぇ」


片桐は元々小山内の仲間だったのだが、仲がこじれて片桐は仲間を抜けた。そしてずっと虎視眈々(こしたんたん)と復讐する機会を窺っていた。片桐はプライドが高く蛇のようにしつこい性格だ。二年から転校して自分の手足となる兵隊を集める為にはどんな労もいとわなかった。頭はキレ者で全てを自分の思いのままにしたい支配欲が非常に強い男なのだ。当時は小山内の元で右腕として権力を振るってきたが、小山内との方向性の違いから決別し裏切られたという逆恨みによる復讐に燃えることになったのだ。

橋本達也(はしもとたつや)という番長的な男と打倒小山内で意気投合し側近まで登り詰めた片桐が原とのトラブルを口実にして全面戦争をけしかけることになった。

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