第37話 思い出したくない記憶
その日の夜に重森から電話があった。
「もしもし、明日の予定だけど」
「あ…あぁ…明日…な…」
俺はテンションめちゃくちゃ下がってる…
「朝の6時に◯◯のコンビニに来て」
「………はい………」
「じゃあね」
無理だぁ~~~~!死ぬぅ~~~~~!
絶対殺されるぅ~~~~~!
あいつマジでバケモンだもん…
マジでヤバいもん…
あの学祭以来佐々木日登美の姿見なくなったもん…
あれ絶対重森がどこかに埋めたんだもん…
あいつ絶対極道の奴だもん…
そう言えば…あいつ過去に俺と知り合ってる風だったけど…全く覚えが無いけど俺とどういう繋がりだったんだろうな…
理佳子に聞いてみようと思ったけど忘れてたな。
また理佳子に電話で聞いてみよ。
俺は理佳子に電話をかける
「もしもし、理佳子か」
「うん」
理佳子のやつ…めちゃめちゃかわいい声で返事しやがる…なんか俺達付き合ってからあいつ変わったのかな?
てか、俺達付き合ってるでいいんだよな…
「理佳子…」
「うん…」
「俺達付き合ってるんだよな?」
「………うん」
「そか、ちょっと確認だ」
「うん」
「あのさ」
「うん」
「夏休みの予定重森と話したか?」
「うん…」
「そか、いつになった?」
「8月の第一土曜日って」
「おぅ、そうか。すげぇ楽しみだわ」
「うん」
「あのさ…重森のことだけど…」
理佳子はキューっと胸が締め付けられるような感覚になった。
「うん…」
少しトーンが下がった。
「重森が自分とのこと覚えてないだろうけどみたいなこと前に言っててさ…全く覚えて無いんだけど、でもなんかトラウマがあったような気もしてさ…理佳子…何か知ってる?」
やっぱりたかと君は全部忘れてるんだな…
私との思い出も全部…
「たかと君…」
「ん?」
「私達ね、もう随分前に会ってるんだよ…」
「え?マジで?」
「うん…」
「え?いつ?」
「もう随分前…でも…思い出せないんならいい…だって…私もたかと君と再会したとき忘れてたもん…」
俺は何のことかまるっきりわからない…
こんなにもスッポリと記憶って飛ぶんだろうか?
「なぁ…いつだったかな?俺、幼い頃の記憶が飛んでるんだよな…」
「そうなんだ…それはきっと思い出したくない記憶があるからだよ…きっと…」
「思い出したくない記憶?」
「多分そういうことだと思うよ…」
俺はその理佳子が言う思い出したくない記憶が何となくわかるような気がする。
きっと俺の奥底に眠るトラウマが記憶を遠退かせているのだろう…
「そか、そうかも知れないな。多分思い出さない方がいいような気がする」
「ほんとは思い出して欲しいことがあるんだけどな…」
「理佳子?」
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