第25話 重森の強さの理由
重森が去ったあと、俺は佐々木の方を一度振り返ったがすぐに重森の後を追った。
「なぁ重森~」
俺はスタスタ歩いていく重森の背中から声をかける。
「………」
「重森、ちょっと待ってくれよ。なぁ、佐々木のこと悪かったな…」
「別に謝られることじゃないから」
重森は振り返らずそう言った。
俺も重森の後を追いながら
「重森…なんかいろいろ事情があるみたいだけど…何か手伝えるか?」
「………あんた…理佳子どう想ってるの?」
ドキーン!!いきなり核心を突かれ俺の心臓を射ぬいた。
「……………も、もちろん理佳…清水のこと好きだよ…でも、清水に電話かけたけど………全然かけ直しても来ないし…」
「理佳子待ってんだよ!?ずっとあんたのこと想い続けて…ずっとずっとあんたのこと待ってんだよ!?ほんと情けないなぁ!」
重森は真剣に俺に説教した。
「ほんと女心のわかんない奴だなぁ。何あんなクズにたぶらかされてんのさ…」
俺はぐうの音もでない。
「すまない…」
「ま、目が覚めたんなら別に良いけど…今度理佳子裏切るような真似したら理佳子の代わりに私が許さないから」
「わ…わかったよ…」
重森が恐いからそう言ったのではない。
理佳子の気持ちを踏みにじってしまった反省からだった。
やっぱりあいつ俺のこと待っててくれてんだよな…もう…二度とあいつを悲しませるようなことはしない。
重森は無言で歩き続ける。
「重森ってさ、強い男好きなんだろ?小山内のことはどう想う?あいつ強いと思うぞ。心も…」
言ってやった。言ってやったぞ。
重森は
「それって…あの時偶然装って実は偶然じゃ無かったって?」
やっぱり女の直感は恐い…鋭すぎる…
「い…いやぁ…あれは偶然だよ!」
「じゃあプレゼント選びは理佳子の?」
「ん…んん~…まぁ、そうかな…」
歯切れの悪い言い方になってしまった。
また誤解を招きかねない…
「あんた…どんなことがあっても理佳子を守れる力付けなきゃ」
えぇー…そりゃわかってんだけど…俺喧嘩自体したことないからなぁ…
「この前の相談ってあの女守りたかったからでしょ?強くなりたいんでしょ?それで私に鍛えて欲しかったんでしょ?」
えぇー!いや…俺はそういうつもりじゃなく、重森に助けて欲しいなーって思っただけで…
俺は全然度胸が無いんだよなぁ…
「私、合気道と空手やってたから。それに私の兄貴にめっちゃ鍛えられたから。これから私がきっちり鍛えてあげる」
し…死んだ…俺絶対死んだ…骨すら残らないかも知れない…
いや、この世に存在すらしないかもしれない…
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