第26話 公開処刑
学祭の準備も大詰めを迎えていた。
それぞれのクラスのイベント準備も終わり既にみんなお祭り気分だ。
バンドマンのリハーサルやら何やらでそこら中ワイワイ騒がしい。
俺も一応参加しているが、だいたいは小山内と一緒にサボっていた。
俺と小山内はいつもの屋上の柵にもたれながら
「なぁ小山内、あれから重森と何か話したか?」
「いや…何も…やっぱりどこか近寄り難くてなぁ…」
「そっか…でも、あの重森を選ぶお前ってやっぱりハート強いよなぁ…」
「どういう意味だよ?」
「いや…別に意味は無いけど…」
俺はあの恐ろしい光景を思い出して身震いする。
「明日学祭だな」
「あぁ、俺…重森ちゃん誘おうと思ってる」
「そっか。お気の毒に…」
「あ!?どういうこと!?」
「あぁ…いやいやゴメンゴメン間違った」
「重森ちゃん、あぁ見えてきっとか弱い女の子なんだよ…乙女で…」
いやいやいやいやいや!それは無いって!
悪いけど乙女なんて微塵も無いって!
ありゃ男の中の男だよ!
つーかバケモンだから!
「私を守ってくれる強い男とか言ってよぉ…フッ、可愛いぜ!」
いや…誰にも守ってもらわなくても十分一人で生きていけるぞ、アイツは…
「あぁ~、俺と付き合ってくんねーかなぁ…」
「もしかして…告る気か?」
小山内は照れながら自分の頭を撫で回している。
「が…頑張れよ…」
俺の顔はひきつっている。
「ところで佐々木とはどうなったんだよ?あいつの良い噂は聞かねーけどな…」
「………俺さ、実は惚れた女居るんだ」
「え?でも、佐々木と付き合ってんだろ?」
「フリだよフリ。暇だからそういうフリしてただけだよ」
「そっか」
その時どこからか悲鳴が聞こえた。
女子複数の悲鳴だ。
男子達も騒いでる。
どうやら喧嘩か何かでトラブルになってるらしい。
「小山内、行ってみよう!」
「おう!」
俺達は騒ぎの聞こえた方へと駆けて行った。
騒ぎは校舎の中庭だった。
沢山の人だかりの中、渦中に居たのは…佐々木日登美と上級生の男子10人ぐらい…そして…
やっぱり重森だった。
重森が上級生男子に囲まれている。
俺はどうしていいかわからず立ち尽くしている。
そして流石の小山内も出ては行けない。
「重森さん?地獄の底を見せてくれるんだっけ?」
重森は至って冷静だった。
「お前、この状況わかってんの?」
重森は凄んでみせた。
いや、やっぱりこいつは恐い…
目が座っている。
きっと沢山修羅場を潜って来たに違いない。
「状況が見えてないのはあなたの方でしょ?重森さん。ここで公開処刑してあげるわ。私をなめないでよね!」
上級生男子達がジリジリと詰めていく。
その時
「何やってんだお前ら~」
誰かが呼びに行ったのだろう。
この学校で最も恐れられている三木先生が駆けつけて来た。
取り巻き連中は一斉に逃げたした。
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