第24話 佐々木VS重森

次の日の放課後も佐々木は何事も無かったかのように俺の所へ駆けて来た。


「たーかやん、かーえろ」


「あぁ…」


俺は佐々木の闇を知って完全に冷めている。

二人で学校を出て歩く。

佐々木はいつものように一人喋りまくるが俺のテンションは低い。

佐々木が俺の顔を覗き込んで…


「タカやん今日何かあった?」


そう言ってきた。

俺はどう切り出していいかわからない…


「なんか今日は心ここにあらずって感じだね。あっ!そうだ、今日これからウチ来るぅ?」


昨日の件が無ければ俺は完全に佐々木の誘いに乗っていただろう…

そして俺もこの女の餌食にされたのだろう…


「あのさ…俺…昨日見ちゃったんだ…お前の本性…」


佐々木は一瞬眉をひそめ目を反らした。

そしてすぐに


「えー?何のことぉ?タカやんどうした?」


おどけて見せる。


「お前…薬売ってんのな…」


本題に切り出したが佐々木は全く悪びれた素振りもなく


「なーんだ、知ってたんだぁ~。タカやんも薬に興味あった?今日家で一緒にやらない?」


こいつ…ほんとのクズ女だ…俺は…俺は…最低な男だ…

こんなバカにたぶらかされて…理佳子の気持ち踏みにじってしまった…もうあいつのこと考える資格もない…

俺は…俺が一番バカだ…


「お前…俺を利用しようとしてただけだろ?」


佐々木はキョトンとした芝居をして


「やだぁ、どうしたのタカやん…何か怒ってる?」


「悪ぃけど俺…お前のこと守ってやれん…お前…もうあんな輩と関わるのよせ…」


そう言った瞬間佐々木は人目もはばからず俺に抱きついて来て俺の唇に自分の唇を重ねようとしてきた。

俺は咄嗟に佐々木を突き飛ばしていた。

佐々木は後ろによろけて倒れそうになったところを俺が腕を掴んで何とか持ちこたえた。


「ごめんね…私…」


そう言って目に涙を溜めている。


「タカやん…私…私…あなたの力が必要なの…」


俺はその涙を見た瞬間心が揺らいでしまった。

凄く申し訳ないことをしてしまった。

きっと佐々木もあのヤクザな男に利用されて…なのに俺は…俺が何とかしてやらなくちゃ

そう思って佐々木に声をかけようとした時


「何、都合良いこと言ってんだお前は」


俺は目を疑った。

俺の後ろから声をかけたのは重森だった。


「し…重森…」


「あーら重森さんこんにちは」


またもや俺は目を疑った!

さっきまで泣いてたはずの佐々木が笑いながら重森に


「何か用?今私忙しいんだけど」


開き直ってやり返している。


「お前のお陰で私の可愛い仲間たちが薬付けにされてんだよ」


「ハハハハハ、それは私のせいじゃないわ~。私は無理強いなんてしてない。自分達が決めたことだもの。逆恨みもいいとこね」


俺はこの二人のやり取りを不思議な気持で眺めている。

なんか現実離れした光景…

重森の仲間!?

薬付け!?

重森のことがますますわからなくなってきた。


「お前、地獄の底ってやつ見せてやるから覚えておきな!」


凄い目付きでそう言って重森は行ってしまった。

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