第47話 その光は道を灯すもの
「ノアはまだ来ないか……」
「ええ。今、家を出たみたいだから、二人が今、本を使ったら間に合わないわ」
アカリとヒナタの映る本とは別の本からノアの様子を様子を見てみると、まだ家の門を過ぎた辺りを歩いているノアの姿が映し出された。クロスもノアの様子を見て、ふぅ。と一つため息をついた
「なら、仕方ない。レイナ」
名前を呼ばれてクロスの方に振り向くと、困ったような笑顔でレイナを見ていた
「うたを唄えるかい?」
「もちろんよ。そのために私はここに来たもの」
「フタバ、どうしたの?イチカも何だか……」
すぐに家に行くと決まってから、何だか落ち着かないイチカとフタバ。二人の頭の上でグルグルと回り続けている
「ねえ、ヒナタ……」
「今、楽しいから、お家帰りたくないんだよ」
不安そうなアカリの言葉を遮りヒナタがそう言うと、イチカとフタバがグルグル回っていたのを止めて、アカリとヒナタの手元に戻ってきた。フタバを抱きしめるアカリの姿を見て、クルリと背を向けたヒナタ。アカリと同じように、イチカをぎゅっと抱きしめ、アカリに聞かれないように呟いた
「会えなくなるかもしれないし」
そう言っている間、フタバを空に掲げて何やら話しかけているアカリの方に振り向くと、さっきまでと雰囲気を変えてニコッと笑って話しかけた
「じゃあアカリ。イチカとフタバのお家に行こうか」
「……うん」
さっきまでとは違いヒナタの笑顔を見て戸惑うアカリ。側をスタスタと歩いてきたヒナタの姿を目で追いかけ見ていると、またアカリの方に振り向いてイチカをパラッとめくった
「私も行ったことないから、ちゃんと行けるか、わかんないけど……」
ヒナタがそう言うと同時に、開いたページから光が溢れた
「すごい……」
イチカが放つ光を見て、アカリがフタバをぎゅっと抱きしめると、イチカがヒナタの手から離れて、二人の間にふわふわと浮かんだ
「アカリ、唄うよ」
「う、うん……」
ヒナタに誘われてイチカを囲うように唄いはじめた二人。すると、アカリが抱きしめていたフタバもイチカの側に飛び、ふわふわと浮かび、イチカと共に光を放つ。昨日見た時よりも強い光にアカリが目を瞑ると、ヒナタがアカリの両手をぎゅっとつかんで、クスッと笑うように話しかけた
「それじゃあ行こう。お父様もお母様もきっと待ってる、イチカとフタバのお家に……」
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