第42話 この道へと進む目的

「あっ、いた!」

 その頃、クロス達と同じくアカリとヒナタを探していた家政婦達が二人の姿を見つけていた

「なんだか楽しそうね……」

「本当、心配無用かしらね」

 二人がお菓子を取り合い、はしゃぐ姿を見てクスッと笑う家政婦達。みんなで微笑み二人を見ている内にお菓子やケーキを分けあって食べはじめた姿に、またクスッと笑う


「どうしますか?お二人のもとに向かいますか?」

 ふと、二人の様子を見ていた家政婦の一人が問いかけるように呟くと、その場にいた人達の笑顔が一変して困った顔になってく

「二人のいる場所が分からないし。もしかしたら、戻ってくるかもしれないから、ここで待ちましょ」

 と誰かが言うと、側で聞いていた家政婦達が納得したのか頷いて返事をしていると、二人の様子をずっと見ていた家政婦がポツリと呟いた

「レイナ様やクロス様も、お二人を見ているのかしら」

「多分そうだと思うけど……」

 二人の会話に、目を背けていた家政婦達がアカリとヒナタの映る本にまた目を向けた。二人が楽しそうに一緒にお菓子を食べお喋りをしている姿を見つめていると、誰かがパンと大きな音をたてて手を叩いた。みんながその音のする方に振り向くと、手を合わせてニコッと笑っている家政婦がいた

「お二人を見つけたことだし、紅茶でも飲みながら二人の様子を見守りましょうか」






「もう、お腹いっぱい」

 お腹を擦ってエヘヘと笑うアカリ。たくさんあったお菓子やケーキを半分以上はアカリが食べ終え、ヒナタが呆れながらアカリを見ている

「もう……。アカリ、食べすぎだよ。歩けそう?」

「うん。もう少し休んだら歩けるよ」

 うーんと背伸びをしながらヒナタに答えると、そのままペタンと寝転んだアカリ。その姿を見ながらイチカを手に取り、パラッと本を開いた

「ねえ、ヒナタどこに行こうとしてるの?」

 イチカを読むヒナタを見つめ、ふと問いかけたアカリ。その問いかけに一瞬アカリを見たヒナタ。だが、すぐまたイチカを読みはじめた

「お家も見当たらないし、誰も通らないし……どこに行くの?」

 空を見上げながらヒナタに問いかけるアカリ。その隣にいたフタバがお腹の上にふわりと移動した


「イチカとフタバのお家」

 イチカを読みながらポツリと呟くヒナタ。うっすら聞こえたその声に、お腹に乗っていたフタバを横にコロコロ転がしながら、アカリがガバッと体を起こした

「イチカとフタバのお家を探してるの」

 また、呟くように言うヒナタの言葉に、アカリのさが不思議そうに首をかしげた

「フタバのお家?でも、お母様とお父様の本だよ」

「そうだよ。でも、元々あった場所に返すの」

「場所分かるの?それに、お母様に聞いた方が早いんじゃないの?」

 ヒナタの言葉にそう言うと、パタンとイチカを閉じる音が響いた。一瞬、その音でアカリがビクッと驚いている間に、ヒナタがアカリを置いて少し前を歩いていた。その事にも驚いて呆然とアカリがヒナタの後ろ姿を見ていると、ついて来てないことに気づいたヒナタがアカリの方にクルリと振り返り声をかけた

「そろそろ行くよ。早く見つけなきゃいけないからね」

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