第27話 静寂が問いかける夜

「二人とも、やっと寝たわね……」

 ぐったりとした表情で、アカリとヒナタの眠る寝室から出てきたレイナ。同じく二人の相手をしていた家政婦達も少し疲れたのか、足取り重く寝室から出てきた

「レイナ様、大丈夫ですか?」

「ええ、でも少し休むわ。二人のこと宜しくね」

 一人、休むために自室に戻っていくレイナ。その後ろ姿をお辞儀をして見送る家政婦達。廊下の角を曲がり、姿が見えなくなると顔を上げ、ふぅ。と一つため息をついた

「じゃあ、アカリ様とヒナタ様を見守る係を決めましょうか」

 と、すぐ半分ずつ休む人と二人を見守る人を決めていると、少し緊張感もほぐれてきたのか、家政婦達にも笑顔が戻ってく

「では、お二人をお願いします」

 話し合いが終わり、静かになった廊下に、今度は、家政婦達の歩く音が響いてく







「あら、お帰りなさい」

 家政婦達の話し合いが終わったその頃、疲れを癒すため、のんびりと休息をしていたレイナ。部屋の扉が開いて現れた人物に少し驚いた様子で、その人に挨拶をした

「ただいま。アカリとヒナタはどうしてる?」

 レイナよりも疲れた表情で部屋に入ってきたクロス。レイナの側にあった空いていた椅子に座ると、はぁ。とため息をついた

「さっき眠ったばかりよ。大分歩いたはずなのに、どこから元気が出てくるのかしら……」

「そうか。元気なのは何よりだ」

 レイナから紅茶を受けとりながら、苦笑いで答えるクロス。紅茶を飲むクロスを見ながら椅子に座り直して、レイナも紅茶を一口飲んだ

「それより、これからどうするの?」

 レイナが問いかけた言葉に、緩んでいたクロスの表情が険しい表情へと変わってく

「まだ……」

「もう少し様子を見ようと思う。止めるというのは無理であるが、可能な限り、二人に無理はさせないようにせねばな」

 レイナの話を遮り、話し始めたクロス。その話の内容に、あまり浮かない表情のレイナに気づいたクロスが、不思議そうに首をかしげた

「どうした?」

「……本が見つからないのに、進めて大丈夫なの?」

 不安そうにレイナがそう言うと、クロスが、ふぅ。とまた一つため息をついた

「そうだな。あの本があれば、大分安全ではあったが、どうにかするさ」

「きっと、二人のためになるのよね」

 カチャンと音を鳴らして置いた、レイナの空っぽのティーカップを見たクロスが、自身の持つティーカップに残っていた紅茶を一気に飲み干した

「もちろんさ。本がある限り、二人のために、僕らは動くんだ。だから、きっと大丈夫さ」

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