第10話

ほんと今日で何回目だ。

俺はすっかり見慣れたこの景色を見て心の中で嘆いていた。

彼女が俺に用事がある時に必ず屋上に呼ぶのはなぜなんだろう。これも彼女との記憶になにか関係あるのだろうか。

そんなことを頭の中で悶々と考えていると、背中を思いっきり彼女に殴られた。

「いってーな。なんだよ」

「なんだよじゃないわよ。思い出した?ねえ!」

「いや、まずは謝れよ」

俺の背中が死んでしまう。

しかし彼女は俺の言葉を無視し、続けた。しかし彼女は今日は一段と焦っているように見えた。

「謝っているひまはないの!とりあえず早く思い出せ!それとも何?本当に記憶が消されたの?」

「だーかーらー、何度も言ってんじゃん。そんなこと言われてもわからないものはわからないって」

本当に彼女はどうしたんだろう。いつもはもうちょっと落ち着いているのに。

「お前どうしたんだ?なにかあったか」

俺は親切心でそう聞いてあげた。しかし彼女は少し目を泳がせたあとまたこっちを見てきた。

「うるさい。早く思い出せこの鳥あたま」

急にキャラ変わったな。

俺はそこに少し戸惑ったが彼女が世紀の大魔王のような顔で睨みつけてきたので何もいえずに思考回路が停止した。

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