第5話

学校に着くと、彼女はまだ来ていなかった。

俺は、いつもと変わらずに本を読み始めようとした。が、昨日のことがあってか、クラスメイトからの視線が痛い。

しかもこころなしか噂をされているようにも聞こえる。

俺はそんなことを華麗に無視し、本に没頭した。

俺が本を読み始めて何分か経ったとき、クラスのガヤガヤが大きくなった。

なんだろうと思い少し顔を上げると、目の前に彼女がいた。

「おまっ、何だよ!朝からびっくりさせるなよ」

「おはよう」

俺は驚いて椅子から落ちそうになった。しかし彼女は悪びれもせず挨拶をしてきた。

「いや、その前に言うことあんだろ」

「?」

「うんわかった、おはよう。そして周りを見ろ!」

彼女は俺が言ったように周りを見た。

彼女は気づいていなかったようだが、周りでは、クラスメイト全員がこちらを見ていた。

彼女が周りを見て沈黙している間に、運良く予鈴がなった。

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