第2話

一気ににクラスメイト全員から視線を集めた。しかし俺はそれ以上に彼女の言葉に困惑していた。

しばらくして彼女はゆっくりと声を発した。

「何でだと思う」

「何で」

俺は彼女の言葉などおかまい無しに質問を続ける。

すると彼女は俺の手を取り、教室から出て屋上に向かった。

「ハアハア………ッ」

俺は急に走ったせいか息切れがすごかった。

「君、私のこと覚えてないの?」

「は」

息を整えて深呼吸をしていると、突然そう言われた。

「いや、覚えてるもなにも君とは初対面で…」

唐突な質問に何を言っていいのか分からず、歯切れの悪い返答になってしまった。

「そっか、覚えてないならいいや。ごめんね急に」

彼女はそう言うと、屋上をでてこうとした。でも、出て行かなかった。

正確には、俺に腕を掴まれて出て行けなかった。

「何」

彼女は顔だけこちらに向けてきた。

「教えろよ、その、俺との関係?的なこと」

「その前に離して」

その言葉で我にかえった。

「ごめんっ」

俺は勢いよく彼女の腕を離した。恐る恐る彼女を見ると、少し痛かったのか掴まれていた腕をさすっていた。

「ほんとごめん。痛い?」

「大丈夫」

彼女はぶっきらぼうにそう言い、今度は体ごとこちらに向けた。

「君、覚えてないんでしょ。だったら私からは言えない」

「何でだよ」

「いちいち質問が早いな」

「うるさい」

俺は気づくとムキになっていた。

「覚えてないなら思い出して。自力で。少しでも思い出せたら教えてあげる」

「は」

彼女はそれを言うと今度こそ屋上から出て行ってしまった。

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