あの、俺と一緒に死んでもらえませんか?
ruu
第1話
「あの、俺と一緒に死んでもらえますか」
この言葉は俺が人生の中である彼女に行った言葉だ。
プロローグ
ジリリリ
朝、いつも通りの時間にいつも通りの目覚まし音で起きる。
そして、いつも通りリビングに行き、いつも通り朝ごはんを食べる。
いつも通りの時間に家を出、いつも通りの時間に教室に入る。
そんな何も変わらない毎日を、意味もなく淡々と過ごしていく。
それが、俺の日常だった。
そう。あの日、彼女が転校してくるまでは。
あの日、夏休み前のみんなが活気だっていた日、彼女は季節外れの転校をしてきた。
教師に呼ばれ、教室の中に入ってきた彼女はどこか冷たい目をしていた。
黒板の前でクラス全員に自己紹介をするときも、口は笑っていたが目はけっして笑ってはいなかった。
俺の彼女の第一印象はそんな感じだ。“冷たい目をした女の子”、ただそれだけだ。
特に何の関わりもなく、関わるつもりもなく、いつも通りの一日が過ぎていくと思っていた。
彼女の自己紹介が終わり、ホームルームが始まると、教室内はいつもの落ち着きを取り戻した。
いつも通りのホームルームも終わり、休み時間になると、クラスメイトの大半は彼女の周りに群がった。
しかし俺はいつも通りイヤホンで音楽を聴きながら本を読んでいた。
イヤホンは周りの音を全て消してくれるし、本に集中しやすい。
今日読んでいる本は新刊で、心踊らせながら読んでいた。
何分経っただろうか。
急に目の前が暗くなった。
おどろいて前を見ると転校生の彼女がいた。
「何か用ですか?」
正直驚いた。彼女はクラスメイトと喋っているのかと思ったからだ。
「読書中にごめんね」
「いえ」
そうは言ったが、内心早く立ち去ってほしい。こっちはクラスメイトに注目されていて気まずいんだ。
「それで、何か」
「ああ、悪いんだけど校舎を案内してもらえる?」
「それなら学級委員がいますよ」
「君がいいんだけど」
意味がわからない。何で俺に頼むんだ?もっと他に人付き合いが良さそうな女子がいるだろ。
「すいませんがお断りします。他をあたってください」
「そっか、残念だな。光流くん」
そうそう、早く他をあたってくれ。ん?
「あの、何で俺の名前知って…」
俺はクラスメイトに初めて名前で呼ばれた驚きと転校生の彼女が何で俺の名前を知っているのかという困惑の感情で勢いよく立ち上がってしまった。
ガタンガタン
椅子が倒れた音と彼女の息を呑む声が聞こえた。
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