Middle04―初めての戦闘

 蛮族のねぐらがあるとされる北の森へと向かう冒険者達。罠が仕掛けられているという事前情報を聞いており、周囲に気を付けながら慎重に進んでいく。


GM:では、PC1のベルクさん。ダイスを振ってくれるかな。イベントを決定します。

ベルク:あ、了解。えーっと、1の目です。

タービン:幸先いいなあ(笑)。

GM:じゃあ、幸先がいいから目の前に蛮族達が現れたぞ。

エルゼン:はえー。獣変貌を咄嗟にやっておきます。

タービン:いきなりすぎる。

GM:なんで開幕から1なんだ。ともかく戦闘だ。準備よろしく。


(戦闘準備は特になかったので省略。)


GM:次は魔物知識判定だ。三種類で計四体。

ドジソン:いきなり多いなぁ。


【魔物知識判定】

・タービン

①出目9、達成値15

②出目8、達成値14

③出目7、達成値13

(その他、平目につき省略。)


GM:うん、全部弱点まで抜けてるね。

ドジソン:この時点で+5は強い。

エルゼン:さすがタビット。って、ドジソンさん自動失敗してるじゃん。

ドジソン:僕都会育ちだから分からなかったよ。ははは。

GM:では、情報を開示します。ダガーフッドが二体、サーベルフッドが一体、アローフッドが一体。これぐらいなら軽く倒せるでしょう。

ドジソン:ほ、ほんとかなぁ。

テオドール:いけるいける。先制さえ取れれば。

GM:じゃあ、問題の先制判定だ。

テオドール:一人しかいないんだ、このパーティ。

ドジソン:エルゼンさん……!

エルゼン:えっ、一人?

ベルク:頑張ってね。


【先制判定】

目標値:10

・エルゼン

出目5、達成値9で失敗。

(その他、平目勢も10に届かず失敗。)


GM:先制できてないじゃないか。

エルゼン:だから駄目なんだって。出目よわよわ勢が先制役。

テオドール:私は悪くない。キャラクターシートだって最初に出したし、それに敏捷ボーナス1じゃ無理だよ。

GM:日頃からスカウトは多いに越したことはないと口を酸っぱくして言っているのに。

ドジソン:でもGM、皆のステータスを見たら敏捷が凄いんだよ。

GM:いいから何mに配置するか早く決めなさい。上級戦闘ルールで始めます。


【1ラウンド目先攻(魔物陣営)①】

サーベルフッドとダガーフッド二体は同座標にあり、アローフッドはその後方5m座標に配置。

エルゼン、ベルク、テオドールが三体から6m離れた座標に配置。そこから他PCはさらに5m離れた座標に配置。


サーベルフッドが6m通常移動を行おうとするが、テオドールが3mの移動妨害で阻止。

サーベルフッドがそのままテオドールへと武器で近接攻撃を行う。

サーベルフッドの命中は固定値を使用し、回避力判定の目標値は11。

テオドールの回避力判定は出目11で達成値14となり、回避成功。

彼らを中心として乱戦エリアが形成される。


GM:なんだこの出目。ここで出す?

テオドール:サーベルフッドの攻撃を華麗にいなす。


【1ラウンド目先攻(魔物陣営)②】

乱戦エリア内に入っているため、ダガーフッド1は手番開始時に乱戦状態となる。

ダガーフッド1は独立状態のベルクに対して武器での近接攻撃を行う。

ダガーフッド1の命中は固定値を使用し、回避力判定の目標値は10。

ベルクの回避力判定は出目5で達成値9となり、回避失敗。

ダガーフッド1のダメージは出目2で物理ダメージ4。ベルクの防護点が2なので、2点のダメージとなる。近接攻撃が行われたのでベルクも乱戦状態に。


エルゼン:1ゾロ。

ベルク:い、一応2点入るから。


【1ラウンド目先攻(魔物陣営)③】

同じく乱戦状態となったダガーフッド2がベルクに対して武器での近接攻撃を行う。

ダガーフッド2の命中は固定値を使用し、回避力判定の目標値は10。

ベルクの回避力判定は出目6で達成値10となり、回避成功。


続いてアローフッドがテオドールに対して武器での射撃攻撃を行う。

アローフッドの命中は固定値を使用し、回避力判定の目標値は10。

テオドールの回避力判定は出目11で達成値14となり、回避成功。

魔物陣営のキャラクターの手番は全て終了となる。


GM:めっちゃ避けるね君達。では、魔物側の手番は終わりなので、そちらの手番だね。

ベルク:後衛から攻撃してもらおうかな。


【1ラウンド目後攻(冒険者陣営)①】

タービンがサーベルフッドに対して真語魔法『エネルギーボルト』を行使。

サーベルフッドの精神抵抗力判定は固定値を使用し、魔法行使判定の目標値は11。

タービンの魔法行使判定が出目3で達成値10となり、抵抗成功。

ダメージは出目8で11だが半減されてしまい、6点の純エネルギー属性の魔法ダメージとなる。更にここから弱点の魔法ダメージ+2で合計8点。


ドジソンがサーベルフッドに対して妖精魔法『スネア』を行使。

サーベルフッドの精神抵抗力判定は固定値を使用し、魔法行使判定の目標値は11。

ドジソンの魔法行使判定が出目10で達成値15となり、抵抗失敗。

『スネア』の効果でサーベルフッドは転倒する。


シアはテオドールに対して賦術『ヴォーパルウェポン』のBランクを補助動作で行使。

テオドールは18ラウンドの間、与える物理ダメージが+1される。


タービン:あれれ、おかしいなぁ。

テオドール:なんだその出目は。

GM:出目5以上で抵抗抜けるのに。

ドジソン:「い、今のうちだよ。」とこちらは転倒させたサーベルフッドを指差して言おう。

GM:そっちは出目が良いな。

テオドール:さて、どれから削っていこうか。こっちあまり火力ないんだよな。

エルゼン:このレベルじゃ火力の差なんて出ないよ。

テオドール:残り5点のサーベルフッドでいいか。まあ、リカント両手利きフェンサー(笑)が火力出してくれると思うので。

GM:プレッシャーが。


【1ラウンド目後攻(冒険者陣営)②】

テオドールは補助動作でキャッツアイを使用。命中力判定に+1のボーナス修正を受ける。

テオドールがショートソードでサーベルフッドに攻撃を行う。

サーベルフッドの回避力判定は固定値を使用し、回避力判定の目標値は9。

テオドールの命中力判定が出目4で達成値10となり、回避失敗。

ダメージは出目7で7点の物理ダメージ。サーベルフッドの防護点は2点なので、5点のダメージとなる。

サーベルフッドはHPが0以下となり、気絶する。


ベルクがエストックでダガーフッド1に攻撃を行う。

ダガーフッド1の回避力判定は固定値を使用し、回避力判定の目標値は8。

ベルクの命中力判定が出目7で達成値12となり、回避失敗。

ダメージは出目8で11点の物理ダメージ。ダガーフッドの防護点は1点なので、10点のダメージとなる。


エルゼンがレイピアでダガーフッド2に両手利きで2回攻撃を行う。

ダガーフッド2の回避力判定は固定値を使用し、回避力判定の目標値は8。

ベルクの1回目の命中力判定が出目8で達成値12となり、回避失敗。

2回目の命中力判定は出目2で命中力判定が自動失敗。

ダメージは出目6で10点の物理ダメージ。ダガーフッドの防護点は1点なので、9点のダメージとなる。


GM:あのさぁ。経験点50点上げるから、出直してきな。

エルゼン:ピンがいっぱい。

テオドール:あの、両手利きフェンサーさん?敵減ってないんですけど。

ドジソン:は、初めての冒険の初めての戦闘だから。


(その後、フッド達の攻撃をほとんど凌ぎきり、何事もなく戦闘は終わった。)


エルゼン:「ワンワン。」

ベルク:犬じゃん。

エルゼン:「バウバウ。」

タービン:どっちも変わらないよ。

GM:駄目だ、何を言っているのか全く分からない。早く獣変貌解除して。


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※獣変貌

 ソードワールド2.5で追加された種族、リカントの種族特徴のこと。

 使用すると暗い場所でも物が見えるようになる暗視と筋力ボーナス+2点を得ることができるという強力なものだが、代償に頭部だけ獣のものに変貌して唸るような独特な発声以外できなくなり、リカント語以外喋れなくなってしまう。

 リカント語以外を喋ることができなくなると、詠唱が必要な魔法も行使できなくなるというデメリットが一番重くのしかかってくる。しかし、二番目に辛いデメリットはリカント語が話せるメンバーが居ないと何を言っているのか一切分からなくなってしまうことだろう。

 それを嫌ってか、セージで新規の言語を取得する際はリカント語を取得するキャラクターがとても多い。頭の良いはずの学者がいきなり唸り声で喋り始めるのは中々シュールな光景である。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


タービン:「困ったねぇ。ボクもリカント語の勉強をしたほうがいいのかな。」

ベルク:「あー、これから一緒にやっていくならしたほうがいいかもしれないっすね。」

テオドール:「戦闘で連携を取るために重要だからな。」

GM:戦闘も終わったし、気を取り直して次に行くよ。まだ森を全然進むことができていないからね。


(次回は森を走破し、蛮族のねぐらへと突入していきます。)


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