Middle03―食いしん坊のリカント

 マグノア草原国の道中の日常パートにおいて、ドジソンとベルク以外のPCは環城線周回での反省点を活かし、技能の習熟に努めることとした。


タービン:ボクは信号士(シグナルマン)の知識不足で助けられるシーンがあったからね。今度はちゃんとできるようにしておくよ。

テオドール:こっちはやたらと料理をせがまれることが多かったんだよな。そして、セッション前に危惧していた通り、料理ができる者が一人もいない。

GM:ほんとだよ。

テオドール:それどころかメシマズが二人もいる。これはよくない。

ベルク:悲しいかな。

タービン:ニコチンさえあればなんとか。

ドジソン:やっぱりテオさん、笑ってなかったんだ(笑)。

エルゼン:こちらは部品の修理ができるようになりたいかな。そういった場面が多かったから。そうなると、鍛冶師(ブラックスミス)かな。

シア:鍛冶師(ブラックスミス)はちょっと違うんじゃない。

GM:修理ではないかな。

エルゼン:まあ、部品を作れたら結果は同じだから。

GM:シアさんはどうしたいかな。

シア:ドジソンに負けないように復元師(リペアラー)を勉強したい。真面目にやらないと怒られる。

GM:お、ついに勉強か。だからドジソンと交流しなかったんだね。

シア:対抗心を燃やしてる。私の仕事を取るなって。

GM:じゃあ、それぞれ判定をしていただきましょう。


【判定結果】

タービンが出目9で達成値11。

テオドールが出目8で達成値12。

エルゼンが出目3で達成値3。

シアが出目9で達成値14。


【GMからの評価】

・タービンの「信号士(シグナルマン)Lv2」が1レベルアップ。

・テオドールの「料理人(コック)Lv4」が1レベルアップ。

・エルゼンは変化なし。

・シアの「復元師(リペアラー)Lv5」が1レベルアップ。


エルゼン:で、出目が悪かった。センスがない。

GM:これじゃ技能レベルは上がらないね。

エルゼン:うーん、次どうしようかな。

GM:ともかく、これで日常パートは終わり。ここからソードワールドらしくなるよ。

テオドール:今まではソードワールドではなかった?

GM:いや、これまで列車の運用ばかりだったからね。

テオドール:なるほど。電〇でGOか。

PL一同:(笑)


GM:では、マグノア草原国のとある村に到着しました。ピアが皆さんを集めて依頼についての話をするようです。

ピア(GM):「じゃあ、早速依頼内容について話していくわね。」

タービン:「わかったよ。」

ピア(GM):「簡潔に言えば、蛮族の討伐依頼ね。」

ドジソン:「ば、蛮族……」

ピア(GM):「ここ最近、北の森からフッドという蛮族が来て、この街の物品を盗んだり壊しているらしいの。彼らのねぐらを見つけ出し、フッド達のボスを倒してほしいというのが依頼内容ね。」

ドジソン:「せ、戦闘なんてやったことないよ。」

エルゼン:「でも、冒険者らしい仕事ではあるわよね。」

シア:「ふーん、これが冒険者らしいんだ。」

ベルク:「でも、既に村までやってきてるっすね。かなり危ない状況じゃないっすか。」

ピア(GM):「フッドは蛮族の中でもかなり下級だから、被害はそこまで大きくないわ。だけど、ねぐらに行けばもっと強いリーダー格の蛮族がいるかもね。気を付けて。」

シア:「わー、こわーい。」

ドジソン:そもそもフッドを知らなさそう。

GM:冒険者をやっていてフッドを知らないって早々ないと思うけど。

テオドール:そうだな。

GM:一応説明しておくと、蛮族の中でも妖魔と呼ばれる者達だね。フッドは様々なダガーやサーベルなどの武器を使って多彩な戦い方が特徴で、彼らは常に集団で行動している。フーグルやボルグなどに付き従っていることがほとんどかな。

エルゼン:先生、冒険者初めてです。

シア:私も。

GM:それPCの話だろう(笑)。

ベルク:もういい。この話は終わり!

ピア(GM):「冒険者としては初仕事の方がほとんどだと思うけど、逆に経験者もいるだろうから、そこは教えてもらいながら頑張ってね。依頼としても、初仕事としては丁度いいものを選んだつもりだから。」

タービン:「丁度いい依頼なんだ、これ。」

エルゼン:「蛮族を相手にするのは初めてだから、上手くいくかしら。」ちらっちらっ。

GM:誰に向かって目配せしてるんだ。というか、蛮族じゃなかったら何を相手にしたことがあるんだ。

テオドール:「フッド程度なら苦戦をすることはないだろう。統率している蛮族がどのようなものなのかは分からないが。」

ベルク:「皆で頑張れば何とかなるっす。」

タービン:「六人も居ればきっと大丈夫だよ。」

エルゼン:「じゃあ数の暴力でボコるということで。」

ドジソン:「不安だ……」


ピア(GM):「では、準備ができ次第、北の森に向かってくれるかしら。」

GM:村だけど、最低限の買い物はできることにしましょう。

ピア(GM):「期限があることも忘れないでね。キングスフォールに戻るまでが試験だから、かなりギリギリになるかもしれないわよ。」

テオドール:「あまり捜索に時間を掛けてはいられないというわけだな。」

ピア(GM):「そういうことね。」

シア:「じゃあ、さっさと行ってさっさと帰りましょ。」

テオドール:「いや、待て。北の森と言っていたが、この辺りで北の森に土地勘がある村人はいないだろうか。蛮族以外にも厄介な動物などがいたら面倒だからな、なるべく問題なく迅速に事を済ませたい。」

ピア(GM):「そこは自力で探してもらうしかないわね。」

エルゼン:「そうね、そういうことならあそこにあるカフェに入らない?」

テオドール:村にカフェなんてあるのか。

エルゼン:ないか。じゃあなんかこう、飲食店とかないかな。

GM:線路が通ってるなら喫茶店ぐらいありそうだけどね。

タービン:「へぇ、あるんだ。でも、ボクお金ないよ。」

テオドール:「カフェも含めて、村の適当な場所で聞き込みをしてはどうだろうか。」

エルゼン:「私は賛成よ。」

シア:「こっちも賛成かな。」

GM:では、聞き込み判定になりますかね。

テオドール:一般技能を使っても良いかな。

GM:そうだね。一般技能をどうやって使うかをちゃんと説明してくれれば採用します。

ベルク:旅先案内人(ツアーガイド)とかだと、観光名所を聞くのと同時にそういったことを聞けそうだね。

エルゼン:私は判定を放棄してごはんをいっぱい食べます。

ベルク:ええっ!?

エルゼン:わーい、ごはんごはんとか言いながら。

テオドール:ちゃんとお金は持ってるのかい。

エルゼン:大丈夫、200Gはあるよ。

テオドール:それだけあればいいものが食べられるな。

エルゼン:じゃあ、80G使うぜ。

GM:この世界の貨幣価値がかなり大きいからね。一週間分の保存食でも50Gだし、一般的な食事は10Gも満たなかったんじゃなかったかな。

テオドール:問題は食いきれるかどうか。

エルゼン:大丈夫でしょ(笑)。

タービン:やめとけって(笑)。

ドジソン:エルゼンさん、どんな育ちなんだろう。

ベルク:ま、まあ。村で一番高級な食材かもしれないし。

タービン:村の食べ物を一通り持ってこれるんじゃないかな。

エルゼン:じゃあ40Gにしとく。

ベルク:なんでやねん!

PL一同:(笑)


シア:とりあえず私は手品師の技能を使って、北の森や蛮族の情報を調べたいです。

GM:そういえば、シアさんの場合だとアレがあったね。

シア:アレって?

GM:日常パートのときにやった判定へのボーナス修正だよ。

シア:ああ、ボールを取ってあげたときのアレね。

(Opening05―冒険者、勉強をするを参照)

GM:それ込みで判定してみましょうか。


【判定結果】

シアが出目7を出して、ボーナス修正込みで達成値15。


GM:これだけあれば大丈夫だね。では、北の森は草原に囲まれているためにそこまで広くなく、迷うことはまずないということが分かります。ただ狭い分、噂のフッドと出くわす可能性は高い。

シア:ふむふむ。

GM:また、蛮族によって森に何か仕掛けがされているかもという話を聞けます。子供が間違えて鳴子を踏んだらしい。

タービン:その子供、よく無事だったね。

GM:すぐに逃げたから大丈夫だったようです。

シア:じゃあ、その話を皆に共有しよう。御飯食べてる人以外。

タービン:煙草吸いながら聞いてる。

エルゼン:もっしゃもっしゃ。

シア:「……という話を聞いたんだけど、どうかな。」

ベルク:「森についての情報は分かったっすけど、なんか一人足りなくないっすか?」

シア:「そうなんだよね。ここに集まる予定だったんだけど。」

エルゼン:そんなことを言っていると向かいのオープンカフェで飯を食っているエルゼンを見つけることができる。

ベルク:オープンカフェ!?

シア:「なんかご飯食べてるけど。」

GM:なんかそこまでカフェRPするなら、ちゃんとお金減らしておいてね。

エルゼン:減らしたよ、40G。

GM:それは減らしすぎだろ!

ベルク:4000円相当のカフェってなんだよ。

シア:「ご飯を食べるのはいいんだけど、列車の中で出来たんじゃないかな。」

テオドール:「まあ、食事は俺が作ったからな。」

タービン:「いつもありがとう。」

テオドール:「うーん、ちゃんとしたところで食べたいという気持ちは分からなくもないからな。俺は何も咎めるつもりはない。」

ドジソン:「テオさん怒ってるよ絶対……」

エルゼン:め、名物はちゃんと食べておかないと。

シア:「そういえば、テオドールさん。テオドールって呼びにくいからテオさんでいい?」

テオドール:「呼び方は好きにしてくれて構わん。」

シア:「じゃあ、そうするね。」

ベルク:なんか爆速で距離縮まったんだけど。

タービン:そ、そうだね?

エルゼン:「ん、そろそろ出発?」

シア:「出発だよ。情報も集め終わったから。」

エルゼン:「あ、じゃあ行くー。」席を立ちます。

ベルク:食べ終わってたのか。てっきり食べるまで行かないものとばかり。

タービン:そう思った。

エルゼン:両手に食べ物を抱えながら。

ベルク:テイクアウトかい(笑)。

GM:喉に詰まらせてしまえ。

エルゼン:ひどい(笑)。

ベルク:あれ、日常パートこんなキャラだっけ。

エルゼン:いや、こういう一面を出すの忘れてたなって。

GM:いや、変なアピールしなくていいから。


(次回は北の森へ蛮族のねぐらを探しに行く場面から始まります。)


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