第17話 違う女との一夜で無くした恋人



強引で人の良さそうな叔母さんは

博多っ子な感じがした。


昔こんな感じの元気な明るい

おばちゃん達に昔は、可愛い

がってもらったなぁ。

凄く懐かしい気がした。


彼女の叔母ちゃんは本当に残念

そうに諦めて帰って行った。


その夜、紬に東京へ戻って

俺の辞令が降りたらまた九州へ

こようと提案したが紬はあと1ヶ月

待ってと頑なに譲らない。


仕方なく論が折れる形になる。

モヤモヤしながらまたまた一週間

もう一度説得するが

なかなか ”うん”と言わない‥




10月、ロンの出場する秋祭りが

神社でとり行なわれた。

紬も悠人も清代乃も咲姫も蒼介も

応援に出向いた。

お囃子が流れる中沢山の人で賑わった。


神社を3周する若者が境内で紹介

される。

皆、若武者姿で現れ、一際目立つのが

論だった。


女の子たちはたちまち

(๑♡ᴗ♡๑)になり︎💕︎💕キャーキャ

ーキャーキャー❤

叫び出した。


そんな若い子の応援に答えるように

若武者達は一斉に馬に乗り

駆け出した。


土埃と声援で神社は勇ましさと

活気に溢れた。


馬に乗る論もカッコイイ!❤


結局2位で、賞金と顧客を

ゲットした。

祭りは夜通しつづいた

ロンはホッとしていた。

猛練習を終え、紬に会いに行き

一晩泊まり

また練習のため帰るとゆう、生活に

正直限界を感じていた。


その生活も秋祭りと共に終わった。



やり切った充実感があった。



大役を終えたロンは紬達と合流し

屋台や、秋祭りを楽しんだ。


咲姫の体を気遣い、

蒼介達は先に帰って行った。



それからまた1週間が過ぎた日の

事....。




紬に直談判‼

「週末、こっちにくるのは

 正直しんどい。

 疲れもあるし、休みがあって

 ないようなものだ。


 紬の為に頑張ってるし

 紬も少し折れてくれても

 いいんじゃないか?」

そんな俺の発言に、紬は軽いノリで

 ↓   

「ウ~ン、そ‼

じゃあ月1か2でいいよ。」


「ええー。」

俺はアッケラカンと言った紬を

ポカーンと見てしまった。


「1か2?」


俺はあいたくて側にいたいのに

紬はそうじゃないと言われたようで、


そのままバックを持ちUターンした。

紬からはライン、メール、電話が

来たが、話す気すらなくなった。



同期や先輩達にぐちる。



「お前、最初が肝心だぞ。

 甘やかしてどうする。」


 「暫く無視して様子を見ろ!! 」



 「お前結婚したら奴隷になるぞ

  今からしつけろ!! 」



  「よしっ、通い夫は

   暫く休め!!甘い顔色するな、

   いいな!」

先輩達は夫とはなんたるかを

熱弁する。



俺もモラハラには成りたくないが

もう少し紬からの愛情を

感じてみたい。


どこをどう回ったのか次の土曜日

合コンが設定された。


「論の為に先輩達が五月蝿くて

 お前の為の合コンだかんな。

 ぜーったいにコイ。」


同期からの誘い断るつもりは無い。

もう紬の部屋に通うのは辞めだ‼

通いカレシを休む決断をする、

紬にナメられてるのは

分かっている。

クッソ


週末、久し振りの合コン。

たまには紬以外の女の子達との

交流もいいんじゃない。


何て甘い響き。

紬に悪いと思う気持ちがブブーンと

吹き飛んだ。




なんと今日のおあいては、

東南大病院の医療秘書の皆さんでーす。



オオオオオー男等から大歓声があがる。

俺は一人、見知った顔があった。

彼女も気ずいたみたいだ。


    並立友紀27歳


彼女はにこにこ笑顔で


「あのときはありがとう

 御座いました。」

と人なつこい笑顔をみせた。‐


やはり24になったばかりの紬とは

少し違っていた。

俺を見る顔には優しさや

思いやりみたいなモンがある。


俺たちは年がそんなに離れて

いなくてまあ 飲みも彼女の、

おかげで楽しく飲めた。


それから、みんな

別行動しようという話になり

極めて楽しくしていたと言う理由で

俺と友紀はカップル認定されてしまった。



「まあ、そう言うことなら

 まだ飲める?」

論は友紀に尋ねると

友紀はニッコリ笑いまた二人で

飲み歩いた。

気づくとかなり友紀は酔っていて

仕方なくマンションにつれて帰った。


これは意味も無く友人としての

行動だった。


マンションに着いたとこまでは

覚えている。



目が醒めると俺と友紀は

おれのベッドに抱き合って寝ていた。

肌と肌の温もりがここちいい。



って・・・か、アレ?アレ?


友紀は下着姿

俺はパンツだけはいていて‥


    まさか?


    まさかなのか?


ずっと思いを巡らせ考えて見たが

記憶がない。


友紀が起きるのを待って

確かめるしかない。

もう昼を回っていた。


シャワーを浴びて朝食の

用意をしようとキッチンへと向かう。




   «««« il||li (OдO`) il||li»»»»

    げっ!!


俺の目に飛び込んで来たのは

お、お、おぉぉ

 

お、誕生日ケーキに刃を上にして

突き刺さった

      刺身包丁


その刃の細い先端には🔪✧︎、

温泉でプロポーズしたとき、

紬が喜んでくれた指輪が✧︎

光っていた。


ガクガク・・・ブルブル・・・・・・


      見られた。

      紬にみられた‥。



全身の血が何回上下しただろう。

ザージューザーザーザー血の上がり

下がりが確認出来る。



ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ


我にかえった俺は携帯のブロックを

ハズした。紬に電話するも

繋がらない!たぶん着拒、ブロック。



バタバタバタと友紀を置いて

マンションの

回りをはしりまわった。


駅にも、空港も探し回った。


いっ、いっ、いな"ーい"

焦りとはがゆさと、涙が出て来た。


もう東京には居ない‥。

明日は休めない。

大口の取り引きがある



仕方無くマンションへと帰る。

「なんでっ、何でこんな日にくる‥?

あ、まさか、まさか前の日から来てた‥?」


ラインを開いてみた。


「まだおこってるの?

 行けなかったのはね、実は‥


 まあ、お誕生日ケーキ食べながら

 話そうね。



 初めて作ったんだよー♡

 論がスゴーク喜ぶ

 プレゼントもあるからねー

 期待してイイヨー。


 じゃ夜ね。

 早く帰ってね」


泣きながら読んだ。


”終わった━━━━━━━‼

俺はヘナヘナと腰がぬけた。


涙が乾いた頃はもう夕方だった。

俺、通いカレシを辞めた報いか

どうしたらいい!


マンションに帰ると友紀が夕飯を

作って待っていた。


友紀は本当にすまなそうに

謝ってきたが、

友紀のせいでは、無い事を伝えて

昨日の事覚えているか

聞いてみた。


下着を確認したが何もなかった。

あんなに飲んだからあるはずがない!

出来る訳がない!

と、安心する言葉を聞いた。



今度の、休みしっかり話を

しようと思った。



「紬大丈夫かい、身体大事に

 シナイとぉ。


 今が一番大事な時期だし。」



  「大丈夫‥

   ふみさん。4カ月になるまで

   我慢したんだから

   彼、頭に来て帰っちゃったケド

   きっと大喜びするっしー。

   待っててくださいね。」


紬は初めて作った自慢のケーキを持ち

タクシーで駅へむかった。


それはもう上機嫌で、

論の喜ぶ姿を思い浮かべながら‥。



久し振りの東京はやはり懐かしく

足早に論のマンションに向かった。


もう夕方になっていて、少し

ソファーで横になった。

ずっと待つも論は帰らず、もしかし

てと思い三田さんに電話してみた。



  「ん、真っ暗だよ。

   誰もきてない

   彼に連絡してみなよ。」


どうやら論はいない様子。

論の会社に連絡してみた。


誰もでなかった。


近くのカフェで、軽い夕食をとり

もしかしたら飲み会か?

何て色々考えた。


喜代乃も、結婚したばかり

咲姫は子供を生んで忙しい毎日

を送っているはずだ。



「ああ、暇だな。

 こんな事ならこの間話しとけば

 良かった。」



ここ何ヶ月かバタバタバタ回りも

忙しく、大変だった‥


妊娠に気づいたのはフミさんだった。

世間一般で言われている悪阻もなく

何ら変わりもなかったが



フミさんは気づいた。


ガツ、ガツ食べてたのが普通になった。

酢の物を要求してきた。


ポン酢をやたらとつかう。

よくうたた寝をしている。


果物をしょっちゅう欲しがる、

まだまだ有るがまあ、

このくらいかな。

と、フミさんは、笑いながら

呟いた。



ベテランの女は凄いと思った。


「ちっ、論のヤロー

 早く帰ってこい!」

紬は、論のマンションでゴロゴロ

しながら論を待つていた。


ビデオを借りて、お気に入りの

SFモノを見る。


1作2作3作ぐらいからソファーで

グッスリ寝てしまった。


気づいたら太陽が登りだした。

シャワーを浴びて、洗濯を回す。

寝室を覗いたら

論はぐっすり寝ていた。


洗濯が終わり

流石におなかも空いた。


論を起こして買い物行くかと、

軽く化粧をして寝室に入った。


   ん?ナンダ?


   論の寝返り打った背中に?

   背中に?✋手がみえる

   論の肩甲骨をナデナデ?


   枕あたりにフンワリとした

   巻き髪。


   スースース

   すーすーす

ん?どうみても二人分のコーラス。


静かな戦場の後。



こんな時は言い逃れが出来ない程

証拠撮ったがいいんじゃ?


連写

パシャパシャパシャ

初めて使った機能だけど凄いな!!

二人も起きない‥凄いな?

そんなに‥

ああ、そーだ論だからね。

なれてるか、普通か!!



ふらふらふらと寝室を出た。


「あ、あああ、そ‼だった。

 論の誕生日ケーキ!ケーキ

 ケーキが有ったんだ。」

 テーブルに置いたら


 蝋燭、

 蝋燭、

 蝋燭、


あったーやっぱりながーいのがいい?


   ねぇ、ローンだもんね。


ああ、何か物足りない!

ソッカソッカ、要らないから丁度いい。


HAPPY Birthday 論。

指輪返すコレが誕プレ、包丁に


・・・・・・刺しとくワ‼。



もう、いらない・・・や。

アンタも要らないや!


   

 また九州へ帰る。


紬の実家は東京に有る。

父親と母親はいるが兄夫婦が同居

可愛い姪っ子も

甥っ子も要るけど、今は

泣いちゃいそう。


帰るべき所は今の生活圏。


「どこで間違ったかなぁ。」


今日はロンに東京に帰り論と暮らす事

そしてBabyの存在を発表。


ロン驚く、喜ぶ

私どや顔。

二人で盛り上がり祝杯。

        ノンアルも買った。

咲姫夫婦

喜代乃夫婦


6人+咲姫ムスメで急遽集合

楽しく食事会。





     予定は未定

     皆サヨナラ。


九州につく頃には、涙も枯れていた。

a○に行って

機種変と新番号ゲツト。



フミさんに駅で買ったお菓子を

持って行った。


フミさんはビックリして

「え、え、早くない?

 ど、どうした一。紬、紬

 シッカリしなさいっ!"」


「え、え、何々なんですか?」



フミさんはヘナヘナと座り込んで

ホッとしたように紬を見た。



「紬なにがあった?

 目が死んでたよ。

 然もどこ見てるか分からない位

 ぼーっとして!!


良く帰れたね。

 尊敬するよ。プフ」


紬はフミさんに合ってはじめて

涙が流れた。


赤ちゃんのように高い声を出し

泣きじゃくった。

フミさんは静かに頭を撫でてくれて

紬はそのまま寝てしまった。


グツグツ、グツグツ、グツグツ

暖かい光の中で湯気が上がる


フミさんは鳥鍋を作ってくれた。


「起きたね。

 さあご飯だよ、食べよう。」


   「‥でも。」



「何があったか分かるよ。

 話さなくていいから。


ホラホラお母さんになるんだろ!!

しっかり食べて赤ちゃんも

おなかすいたー

って泣いてたらどうするの?


赤ちゃんにご飯をたべさせるのも

母親だよ。


もう、生きてるんだから、

好きな男の子供だろう。」



紬はハッとして顔を上げた。


   「もう、母親

    私は母親?」


「そうだよ。

 生まれてからが母親じゃなく

 お腹にいるときから母親だよ。

 育てないとママさん。」



フミさんの鳥鍋は後を引く美味しさ

三つ葉が沢山入れてあり

サッパリ、おかわりした。


そうだった。

何にも食べてなかった。

そう気づいたら究極にはらへった。


熱いお茶を入れながらフミさんは

「ねぇ紬、マンション暮らしも

 良いけど


 私の家にすまないかい?」


      「え。?」

「もう少し行った町外れに

 一軒家をもっててね、

 田舎なんだけど子供育てるには

 凄くのんびりして良いところだよ。

 

 孫も夏休みとか来ててね、

 手放せ無くてね。


 紬が住んでくれないか?

 家賃何て要らないし‥。」


    「本当ですか?。」


「うんうん。私も元気なら

 住みたいけど

 血圧があって病院がよいが

 難しくて

 あきらめていたんだよ。


 息子と、嫁は海外だし、

 孫は東京に要るし

 最近良く帰ってくるけど

 直ぐ居なくなるんだよハハハ

 男の子なんてツマラン。」


 

 紬は車を買い30分位の距離の

フミさんの実家に住む事にした。


暫くフミさんも一緒に暮らして

くれる、紬が子供を生んだらまた

考える事にして

フミさんはマンションと、

一軒家を行き来する事になった。


「孫はね、スポーツがすきで

 スノボーと、空手やらサッカー

 をしていたんだよ。」


フミさんは彼のものを片っ端に

かたずけたが

紬がそのままにしときましょう。

と、止めた。


多分だろうけどその頃

フミさんは生きがいを感じていたの

だろう。



フミさんが大事にしてたのが良く

分かったから‥


ゼロからのスタートをきりたかった。

子ども達と、フミさんとの生活。

街から30分進んだらこんな楽園に着く。


出産予定日は4月15日

頑張って、冬をこす。



紬は此処で子供を産む、もう浮気の

心配はなくなったと思えば、

気持ち楽だ。


我が亭主女房妬くほどモテもせず‥


論の場合は

我が亭主、女房泣くほどモテまくり

だな。



喜代乃も男の子を産んだと

フミさんつてで聞いた。

たまたま病院で三田さんとこの

二番目ちゃん2歳が予防接種で偶然

合ったとかで聞いたらしい。






話をしょう、謝ろう。そう思い紬の

マンションへと向かう。


部屋はもぬけの殻だった。

俺はへたり混み、どう弁解したら

良いのかも分からない。


三田夫婦には実家に帰ると言って

いたらしい。

しかし、実家には帰って

いなかった。


紬以外の、女と一夜を過ごしたのは

事実。



何もしていないと言っても、

誰が信じる?

抱き合って寝ていたのは、

紬も見ている。

弁解するだけ苦しいだけだ。


紬も、俺も・・・・・・。



論はもう紬を探さなくなった。

鬼課長は健在で、仕事はバリバリ

こなし部長の椅子も目の前にある。



しかし飲み会には全く応じなく

なった。

部下が失敗しても、何も言わなく

なりその埋め合わせを一人残業を

してこなすようになった。


前と比べれば不健康で、

凄くやせていた。


部下は益々震え上がり

ミスをしないように慎重になる。

そして


寝室にあったベッドは姿を消し

ていた。

論も掃除以外寝室には入らない。


其処に寝ろうとすると

紬が泣いてる声が聞こえてくる。


あの日紬が寝ていたであろう

ソファーに毎晩寝ている。

紬の温もりを感じれる気がする。


食事もサプリメントが多い。


夢の中の紬は良く泣いている。

論が近寄り声をかける。


「紬、何で泣くの?」

と聞けば、何も言わず悲しい目をして


    「嘘つき!!」

と声にださず責める。





蒼介も悠人も何も言わない。

紬の気持ちもよくわかる

二人とも似たような経験をしている。



ただ紬の怒りの鎮まる時を待つだけだ

気の狂うほど長い時間。


その間に紬も論も違う人と付き合う

かもしれない。


それは縁がなせる技で

運が運んでくる縁でもある。


誰も止められない。


日曜日、ぼーっとしていると

紬が現れる。


ニコニコして

「ねえ、マク○○○ド、いこうよー

 あそこの朝マフイン美味しいの

 パンの外がボサボサカリカリで、

 フンワリ美味しいの。

それに‼ アップルパイのアツアツ

お気に入りなんだー

 大好き!たべたーい♡。」


    「じゃあ俺作ろうか?」


「やだぁ、何でも作ったら

 日曜日の朝の楽しみがなくなルー。


朝の散歩も好きなの

お店まで手を繋ごうよ。」



紬の、押せ押せに負け店まであるく。

店の前の横断歩道が見えると紬の姿は

霧のように消えてしまう。


毎度の事だ・・・しかし

紬が笑っているからついそうして

しまう。


そう紬は、何処にもいない。

 

 


 








    


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