第14話 悠人の怪しい事情

喜代乃は月四回程派遣の仕事を

している。

本業は、商社の事務


今日は副業ってやつだ  

    ひ、み、つ、

悠人や、咲姫達と遊ぶのは土日だ。

悠人も忙しい部署と聞いていたから

喜代乃は土日以外会えず

彼の仕事なんて気にしなかった。




悠人の職場は 株式会社、梅花堂

新たに洋菓子店も始めたと聞いた。



新会社のナマエ?長ったらしくて 

忘れた。

彼がつとめるのは有名な

お菓子メーカー。

確か…

向日葵がどうのこうのダッケ!!



清代乃には仕事とは別に、

バイトのシフト希望が流れてきた。

デートの確認をする為、悠人にメールで聞いてみる。




「悠人、来月はいつ会える。」



   「来月?、忙しいけど

    なるべく時間を作るよ。


    そうだな

    22日なんかどう?」





「えー!マジってかあ、月1じゃん…。

 あ、あれか?

 アンタは、釣った魚に

餌やらんタイプ?」




    「喜代乃になんかあれば

     何をさて置いても

     飛んで行くから。

     連絡はしてね。な !!」



「わかったー。」



まぁ稼げと、天からのお達しか?

あいてる日は、紬達と遊ぼー!!


紬は、論さんだし、

喜代乃は、嫁にいっちゃったかー。


悠人ってそんな忙しいのかい?

どんな仕事だろ?



ま!!

いいか!!




月何回かのバイトでも出れば

お金になるし助かります。


預金とは別に遊ぶお金も必須。

両親が離婚してから育てられたのは

祖父母。

だからこそ、爺ちゃん、婆ちゃん

には孝行したい。




父親も母親も新しい家族がいる。

別にさみしくはない。




祖父母はしっかりと愛情深く

育ててくれた。


目指すはシルバーウィーク!!!

The!温泉。

てな訳で派遣にも、力がはいる

オー!!





そうその仕事は清掃会社!


ホテルや、飲食店、モールや病院

色々やります。

やる気ありまーす。

かんばりますよ~。


清代乃は、頭は昔からいい方で、

ちゃんと

神様は取り柄の一つは下さった

のだと感謝!!です!


本業の、商社に一度悠人が

見学に来たらしい。

化粧はあまりしなくてリップクリームはつけるかな、何時も目立たなく

してるし、悠人には

何処にいるか分からなかった

みたい。


無理ないかな。

ポーニテールに、ダテメガネ

そばかすつけて白靴下。


だいたい紬と同じ格好。



”派遣会社に22日意外、土日のみ

出勤OK! ”

週4だったけど2へらした。

その訳は本業が繁忙期に入るからだ。

22日以外全部OK

送信。



「あんた、この間もいたね。

 若いのに感心だけど、

 仕事ばかりしてたら

 浮気されないかいカレシ

いるんだろ?。」


「ハイいますよ。

エーまずいですよ。

 やな事いわないでくださーい。」

清代乃は、60過ぎのおばちゃんに

ニコニコしながら言い返した。


「へぇー、あんたに彼氏

 いたんだね!!

 ビックリ!! だ。


 だけど色白だし

 まあ可愛いっちぁ可愛いね。」


この品定めのオバちゃんは、なかなか面白く、思ったことはズバズバ!


今日はこのオバちゃんと

水色の三角巾、マスク、手袋

黄色いポロシャツ、黄色いエプロン


株式会社TOURNESOI (トーネソル。)

の清掃。

大きなビルだった。

ひまわりのオブジェが、どこらそこに飾ってある。


向日葵の銅像?もある。



ハァフキフキも細かく疲れる。

向こうからパリッとした背広の

30代の集団がやって来た。

回りに秘書らしき人物多勢!



先頭を歩く背のたっかーい人物を

見て、グワッ﹏∑(๑º口º๑)!!‼


思わず向日葵の象の後ろに

隠れた。


悪い事してるわけじゃないが…

なんか何時もの悠人じゃなく厳しい

顔をしている。


スルメ 食っちゃべって、ビール

🍺ゴクゴクのダラ~ンとした、

ジャージの悠人では


 無い!

 別人!違うアレ!悠人と違う💦。


こんなソックリな人いるっけ?

いやいや、世の中3人はソックリな人いるらしいし…。

バーちゃんの言う事まちがいない。


  うん。“ソックリ“さんだ!!



「悠人さ~ん。」

      

思わず「悠人さん?」ってたか?

と吊られて呟く。


後ろから駆け寄るその人は

髪サラサラのワンレンヘァー

美人のお姉さん。


顔いっぱい塗って赤い唇

       ツヤツヤしてる~。

耳にはシルバーのピアスがチラチラ


悠人が

「どうした、愛菜」


「よかった。追いついて、

会議の資料わすれてましたよ

 もう~。

 私が見ていないと専務って

 手ぶらでしょ。」



「俺が要らないって言ったんだ。

 脳みそにインプットしてある。」


「😒💢 あなた達、少しは専務の事

 気にしてくださらない?」


回りの秘書らしい男の人達も

頭をさげていた。



    「ウワッ!出た!!

     出来る女。!‥。」


最後にトドメを喰らったのは



「専務。ちょっとコッチ。」

と言いながらネクタイをキュッと

締め直して悠人の胸を

ピンクの爪したキレイな手が

ポンポンと悠人の肩を叩いた。


思わずオレンジのビニール手袋を

した自分の手を見た


  オバちゃんが

「ヘエ~社内妻かい。」


   「社内妻?」

そんな単語がある事を知らなかった。


「ばかだねぇ知らないのかい

会社内で夫婦みたいな関係を

社内妻って言うんだよ

勿論アッチの関係もあると思うよ」

清代乃は不思議な顔をしてオバチャン

を見て

「アッチ?会社内で?

何処でするのアッチ?」


オバチャンはニヤニヤしながら

「会社内とは限らないさ

出張に連れて行ったり、まあ

普通の恋人な関係だけど、彼には

別恋人もいるって感じサ」


ぐ・・・・・

清代乃は一度冷静になろうとする。

えっとココ何屋さんだっけ?

お菓子メーカーって

言ってなかったっけ?

専務ってたか?

専務って、専務の事だよね。



  へえ~専務だったんかぁ。


急いで階段の隅に行き

確かめる為悠人にLINE

高い物をおねだりしてみる。


「ヴィトーの財布幾らくらいかな?」


即LINEが帰って来る   

「欲しいの?」


 「ウンウン。

  くたびれてきたから

  いい財布ほしいかなーって

  思ったんだ。」


商店街のワゴンの中でパッと

見つけた大きな花柄の財布。


ピンクの花とちりばめた青い花の

凄く自分好み。


金欠だった学生時代ワゴンに積まれた

沢山の財布のなかから凄く目にとまった。しかし2千円の売り出しが

買えなかった。



      なのに・・

ビィトーの財布は10万以上

「そっか、わかった。」


 ええ~っな、なにが

分かったんだい?

 と聞き返したかった。


「プレゼントするよ。

 寂しい思いさせてるし、

 罪滅ぼしだよ。」


彼は数十万の財布を

簡単に買ってくれると言う。

 

 

 学生の頃


 一度通り過ぎ商店街を抜けたが

 どうしても頭から離れず

U ターンして駆け寄り買いました。


 値切って値切って¥1500



 その日から3日食パンだけの生活。

 そんな思いで買った財布なのに

 彼は高すぎる財布を、

 即答で買ってくれると言う。

 やはりただ者ではなかった。



「悠人、冗談だよ。

 今使ってる財布がいいの。

 本気にしないでよ。


じゃっ待たねー!

構って欲しくなったら

また驚かしのメールするからね。

ちゃんとかまってね。」


 「なんだ、冗談かよ。

  喜代乃のオネダリ嬉しかったの

に!!。」



私のマンションはセキュリティーを

一番に考えて駅か、

バス停が近ければ

少し遠くても良いと思って

今のマンションに決めた。


そういえば

悠人の住んでる場所ってどこだろ。

いっも6人で合って悠人が此処まで

送ってくれて

次の日悠人は帰って行く。


    どこに帰るんだ?




今更ながら悠人の所在地を知らない。

連れて行ってもらってもいない。


今頃?気づく

バイトと仕事で忙しくそんな事

気にもしなかった。


付き合い始めて一年も、過ぎてると

言うのに。


「ホラ!食べな。」


お昼に、おばちゃんは玉子焼と

ベーコンの野菜巻きを、くれた。



「彼氏と喧嘩でもしたかい?」


美味しそうなデッカいおにぎりを

かぶりつきながら、話し掛けて

くる。


「いえ、彼氏の家に行ったことなくて、今頃気づいたんです。

なんでかなーとか思って、」


ふーん


「・・・・・」




「~そりゃね。

ナルホドね

つれてかないのはつれて

かれないからか…ね。

理由が・・あるんじゃないかね。


彼氏じゃないからわかんねーけど。

なあに、人生もっと大変な

ことあるさ。

若い証拠だよ、私からすりゃ

羨ましい話しさアハハハハ

ドンマイドンマイ‼」


清代乃は苦笑い

オバチャンは握り飯を食べながら

逞しい顔をして


「それぐらいで負けてどうする。

あんたは立派な体があるだろ。

目もあるし口もある。

走れるし、食べれる。

有り難くて涙がでるよ。


自分の有り難さに気ずきなさい。

上を見ればキリがない。

下を見ればキリがない!


     な!! 」



おばちゃんは訳わからない慰め 

をしてくれる。


パッとみて、分かるほど落ち込

んでいたらしい。




咲姫と蒼介さんを見ていて自分も

いっかは悠人との未来を

夢見てたのかもしれない。




御曹司VS生活苦のアテクシ。

家柄も育ちも金銭感覚も全然ちがう。

私の育った環境は



「婆ちゃん。美優ちゃん新しい長靴 

買って貰ったんだって!

喜代乃もホシイ~

買ってよ~」




 「分かった!!

  だいぶきつくなってたからね。

  今度婆ちゃんと休みの日に

  買いにいこうか!!。」




「うん。バーちゃんありがとう。」




それから婆ちゃんは約束通り

赤いウサギの絵柄の入った長靴を

買ってくれた。


その日から

「婆ちゃんご飯食べないの?」



「ああ、ジーちゃんと後で食べるよ。清代乃は沢山たべるんだよ。」


「分かったー」


婆ちゃんはジーちゃんが帰って来た時


ジーちゃんには

 「喜代乃と先にたべたから。」

と言ってた。




後から聞けば、その時の暮らしに

困っていた訳ではない。



これから大学まで出すときに、お金は

多くあった方が良いと思ったそうだ。

1日2日の飯抜きなんか何でも無かった、体は丈夫に出来てるからね

と婆ちゃんも逞しく笑っていたなぁ


それでなんとか決めた金額で、

抑えてくれてたようだ。




私の記憶では3日だったと思う。

多分美優ちゃんよりずっと高い長靴

を買ってくれたのだと思う。

傘も、レインコートも…

身長も体重も成長すれば増えてくる

その度そんな事があったなぁ

感謝しか無い。





婆ちゃんの口癖は

「身の丈に合った生活。

 結婚相手も、家柄が合うような

所に行かないと、後々苦労する

からね

 

 優しい思い遣りのある人を

 みつけなさいね。」




私が婆ちゃんの家に居なかったら

二人は悠々自適な生活が送れたのに、

此からは私が2人を支える番だ。

幼稚園から大学まで出してくれた。


ヨッシャ━( ᐡ •̀‎  ̫ •́ᐡ)و━!!!

気合いを入れて仕事をこなす。

悠人の事でションボリなんかしていられない。婆ちゃんと爺ちゃんを幸せにしたいから。


お昼からは社長室とか専務室とか

重役の部屋の清掃だ!



仕事は仕事、プライベートは

プライベート

給料もらってる以上しっかりと

こなす。




専務室に入ると秘書室があり

その先にデーンと専務室の

看板があった。



  看板ゴールド

にちょっとビックリ‼️


しっれいしまーす。

悠人は居なかったが背広の上着

とか、デスクにはフランス語か、

イタリア語の走り書きと書類が

沢山あった。


論さんも蒼介さんも

頭良いのはよく分かる。

私達には理解出来ない会話で

盛り上がったりしてるし

朋美さんも三田さんも見た感じ

かなり頭がいい。





其れだけでも

生活圏の違いがみにしみる。

英語なら負けない自信もあるが…

なんせ、私も頭だけはよかった。



しかし私って

悠人にはGF、もしくは、S○X 

フレンドの1人かも知れない。

だって、隣からイチャイチャする

声が聞こえる。




「やめろ愛菜!ハハハ、」



 「じゃっキスして。ネツ♡」



「ちゅっ♡」



  「だぁ~めぇ♡Д

   もっと、濃いやっ。」

  ブッチュウ~ウウウウ~ッ♡♡



アホか!!

確かに悠人はキス魔だ。

いっも求めてくる。

手も早かった。


二回目会ったとき、論さんの

マンションで、

ご飯、ご馳走になった日の夜

蒼介さんは何もしなかったらしいけど


悠人は飛びついてきて

あれよ、あれよのまま終わって

しまった。


その時は初めてで

  「悠人は、絶対特別な人と

   思いこんでしまっていた。」


ゴミを袋に入れて床をモップで、

丁寧にふく。


何とも(大人の)ベッドのお供が

ゴミ箱にポイッと捨ててある。




悲しいより騙されて笑われてたかと

思えば情け無くもなる。




観葉植物のユッカやドラセナが

揺れてるのが、見える。

一応少しあいたドアをノックする。




良く理性が働いたと自分を誉めて

あげたい。




パッと離れた雰囲気がある。

喜代乃は、社員も言えない事を

言ってあげた。




  「盛のついた猫じゃあるまいし

   専務様ともあろう方が

   昼からイチャイチャするとは、

   嘆かわしい。



  社内の風紀がみだれます。

  皆さん見てみらぬ振り

  親睦会や呑み会の二次会とかで


  噂の笑い物ですよ、

  見苦しい。


  やりたきゃホテル行けばいい。」



社内妻は清代乃に向かって、


 「あなた、なに意見してるの

  もうアナタの会社使わないわよ。

 社長に掛け合ってクビにしてもらう

わ。」

社内妻は声高く文句言ってくる。


 「でた、でた!! パワハラ! 」

喜代乃は、社内妻に向かっていった。






  「止めろ!!愛菜!!

   彼女の言うとおりだ。

   俺達が悪い。」


喜代乃は今度は悠人に向かって

「専務さん、彼女を愛してるん?」


悠人は 「え、あ、えっ。」


と発した後、頭を掻いて黙った。


社内妻は

「バカじゃ無いの!!

悠人の女は1人二人じゃ

ないわ、知らないのは仕方

ないわね。とにかく

あなたの会社はこんりん

ざい使わないわよ‼




「やめろ!!、悪かったな!! え~と。」


「望月、デッス。!

 私派遣ですから、私が処分の

 対象になりマッス。」



     「ああ、望月さん。

      俺らが悪かった。

     

      これからも宜しく。」




こんな優しい所と自分の非を

認める所は、

やはり私の知ってる悠人だった。



社内妻は、

悠人に意見されしぶしぶ了承した

みたいだった。



 モップを、持ち掃除を、始める、

メガネ、帽子、マスク、てぶくろ

を身につける。

仕事が一通り終わると清代乃は

専務室に向かった。


「失礼します。

専務さん、私仕事辞めますから

 会社は、このまま使ってください。

 迷惑かける訳にも行きませんから。」



悠人は書類を、パンパンしながら

「心配しなくても大丈夫だよ

 君の会社は、

 丁寧で、綺麗にしてくれるから

 心配しなくていいよ。



 僕達も大人げなかった。

 謝るよ、不快な思いをさせて

しまって。」



 「本当に要らぬ世話ですけど

  彼女たち何人いるんです?。」



アハハハ

「ご想像にお任せだなフフ。」

と何とも興味深い笑いを浮かべた。


部屋を出ると、バタバタバタと

オバちゃんが走って来た。


「あ、あんたぁ~やっちゃったって!!!」


    「あ、はい。

     会社には迷惑かけないと

     約束してもらいました。」




「…あ、それはどーでもいいけど

あれ、人目気にしないで

やってるからね。

私はスカッとしたよ。

イチャイチャしすぎ、

みぐるしい‼」




オバちゃんは、

「ラーメンでも食いにいくかー?」


「いいですね。

 ニンニクタップリの豚骨がいいな

ー。」


「おう、おう、イイネー。」


その日はオバちゃんの奢りで

チャーハンと餃子、

追加で、天津飯を半分こ、して


「もう、少し遠慮しなよ~。」

           ガハハ

「いいじゃーん。

 私より時給高いんだからぁ。」




母親の温もりを知らないからか

おばちゃんの優しさに甘えてしまった。

それを話したら

オバちゃんは、ニッコリした後


「私亭主と二人だからいつでも

 おいで。

 私達には子供を、さずから

なかったから

 あんたみたいな

 娘がくれば旦那もよろこぶさぁ~。」




ポロッと涙がでたが、ごまかした。

オバちゃんは、スーパーへ

喜代乃はマンションへと別れた。


悠人からメールが来ていた。

さっき合った事も知らないはずだ。

     




「今日会えないかな?」

急に悠人からの誘い‼


  「あ、ゴメン

   バイト探さなきゃ

   いけなくなったー。」

清代乃も速攻で返す。

      


「バイト?何で?

バイトもしていたの?」

悠人は、不思議そうに聞いてきた


 「実はね、今生活大変なのに

  専務さんにたてついてサー

  怒らせちゃって!

  クビになったんだー。

ウケルでしょう。」


「え、今の仕事で?」


「ううん違う。

部屋代確保にバイトしてたの

副業だよ、副業‼ 」



「エエッ、何の仕事?会社何処?」


「クビ、だから聞かないで!!

 生活の為バイト探さないと。

 私清掃業だったんだ~。」



「ん、あわ、あへ、は?せ、清掃?」


「そうそう」


「き、今日?」

   

「どうせ今日は忙がしいってたやん。

 悠人忙しくなくなったの?」


「ん、あ、@&⊗◐ΩО☆※」


    「どしたーん。」


「ああ、いやその…

 家賃くらいなら援助出来るし

 バイトは辞めたら?」



「やだぁ、そんな愛人みたいなの!!

    む~りぃ。


  悠人は愛人にそんな事してるの?

  ね、ね、ね、

    愛人おるん?」



   

悠人はしばらく黙秘権をつかった。



   「何人おるん?

   私もその中の1人なん?。」


「ち、ちが、違う!いない。」


    「«««««そうかなぁ…!!!」


  「な、何で?そんな事

聞くの?」


アワアワと悠人が聞いて来る。




  「な、ん、で、って。

なんでだろう。」

    

悠人は急に仕事を思い出したらしく

慌てて電話を切ってしまった。



  「これでいい。

   サヨナラ悠人。」





ちいさいマンションからのぞく

町明かりは

静かなものだった。




悠人のビルから見た、たくさんの

ビルや、商社の立ちビル


沢山の看板が小さく見えていた

あの窓から見た風景は街の光で

ネオン街を明るく

照らしているんだろう。



宝石箱をひっくり返したみたいに…。




それから悠人からの連絡はプツツリと

なくなった。




月一度のデートの日の目前にバイトが決まった。



清掃会社は、やはり社内妻の煽りを

受けて社長が平謝りをして

喜代乃がクビで落ち着いたらしい。





 「悠人の嘘つきめ!!(怒)!!」




喜代乃の怒りは収まらなかった。


新しいバイトは土日のみ!

キャバクラのキッチン‼




お茶碗洗い係り。

結構な体力勝負!!


しかしかなり高級な店で客質は

よかった。

女の子も上品さがあり大人の男達

には楽しく飲めて遊べる感じだ。


ゴミ箱をかたずけていた喜代乃に

聞き覚えのある声が聞こえて来た。



「葵今月分。」




高級車の前で店、NO、1の葵さん

が封筒を受け取っていた。

銀行振込に出来ない訳は?

会社にバレるからか?


月明かりでハッキリクッキリ見た

顔に唖然!


「又お前かよ。」

清代乃は心でつぶやいた。


高く結い上げた髪に妖艶な笑みの

葵さん。。



本命は、葵さんだったのか・・・。

勝ち目無いジャーン



美しさと色気で勝ち目は無い!!

清代乃はまた手袋と洗い場用の

ダサいシャッにビニールエプロン

白の長靴


「はぁぁぁー」


休憩中の見上げる月は

目玉焼きの様に見えて

美味そうだった。

晩ご飯はコンビニの幕の内に決定

      



 







 


 



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