第6話 温泉旅行

「紬、聞いてる?わかってる?」


紬はボーッと考えていた、大江諭は

ナンチャラカンチャラ言っていた。

  「わかった!。

   でも、一緒には住まない。」


    

    なんでだ…ヨ?


「また色々あったら

 辛いから…もう辛いのはヤダね。

 別れたいぐらい。」



ゲゲゲー

 「ダメだ!紬やめてくれ~よ!!


  おれ、おれ、ししぬから…

  紬、捨てないでくれ…

  紬、紬頼むよ。」 

え~と、鬼課長だっけ?微塵も感じさせない論の泣きべそ的な泣き落とし?困る先が心配だ。


「だって愛してるけど

心配疲れしちゃった。

大好きだけど…。

きつい!」


論は紬を抱きしめながら

「心配し過ぎだって!

 俺はいつも紬だけだって!

 本当!! 」


紬も別に論が嫌いじゃない

ただモテる論につかれただけ。

「もう少しの期間、別々に住む。

別れ無いからそれでいい?。」


論は抱き締めながら頷いた。

 「え、…あ、ああわかった。

  俺の事は愛してるんだな!!」

紬に確かめる様にきいた。


     「うん。すき。」

その返事に胸を撫で下ろす。

「わかった。じゃあ信用取り戻す為

  頑張るよ。!!」




それから約束通り論は頑張ってくれた。



「な、紬今度悠人、蒼介、咲妃と

 清代乃と温泉でもいかないか?」


       「わー♡皆で

        楽しそう。」


「行きたい温泉ある?」


「岡山の湯郷温泉。」

紬は速攻答える。


「ん?日帰りじゃ無理くね?」


 「えーっ日帰りやだ!!」


「6人の休み合うかなぁ!!

 じゃあ二人でいくか?」

せっかくの論の提案


2人っきり寄り温泉は大勢で

行く方が絶対楽しい‼



   「折角だし

   一応合わせられるか

    皆に聞いて

    日にち決めようよ。

    皆で行こーよ。」


「わかった!プランは

 オレに、任せろ!!

 行きたいとこリサーチしといて、

 女の子に連絡しといて。」



       「うん。OK 。」


もう9月に入っていた。

なかなか予約がとれず9月は諦めて10月には割と早くに予約が取れた。



行きたいところも沢山あったけど

わりと観光地に近くて

ホテルがぁる場所を選んだ。

ゆっくりしたいからバタバタは

嫌だな~



10月12、13日に岡山へ行く事にした。桃太郎伝説と言う、どえらい

お話があるのに鬼課長は平気なのか?


皆スケジュールを合わせて楽しみに

していた。


大江諭達と初めての旅行。

ウキウキしないわけがない。


色々観光地を楽しんで、いざホテルへ。露天風呂もあり気分は上々


「ε=ヾひろーい。

キャーーーッ♡bマジプール並みだよ~

WOW〜マジ~泳ごうよ。



ウワーッすごーい見晴らしいいー

サイコー」




咲妃も清代乃も紬もすごーく

     ハイテンション。


久し振りの息抜きに、チマチマした

ストレスも飛んだ。

空の果てにストレスがパタパタ

飛んで行くのが見えま~す。


「ねえねえ、論課長すごーく 

 詳しかったよね。

 ガイド並みじゃね、」


 「そうそう。

  調べたのかな?

  案外何回かきてたりして」

咲姫も清代乃も紬を見てニヤニヤ



「そうかもね~もう29だもん。

いちいちヤキモチ焼いてたら

きりないよ。」と紬も余裕

     

 「なんだよーぉ!! 

大人の対応

  紬がヤキモチ妬かないのは

  しらけるぅ~。」

3人はピャッピヤッとお湯をかけて

いたが、かなりのバシャバシャ



笑い声が大浴場に響いていた。





「露天風呂ヤバースゲーな。

なあ論、折角来たんだ、

実家行ってきたら

紬ならまかせとけよ。

みんないるし~。」



「おう、いってこ、いってこ

 お母ちゃんにあまえてこい!!

 コッチはまかしとけ!!。」



悠人と蒼介は、しばらく

地元に帰ってない論を

心配していた。

地元に帰りたくない訳も論から聞いて二人は知っていた。



  「ア~生き返るな~

  いいとこだよな~。」


3人は日頃のストレスを

発散するかのように

浮かれて楽しんでいた。


子供のように。



「そうだな、紬連れて

 ちょっと顔出してくるか。」


論は久し振りの故郷に懐かしさを

感じていて実家の親にも紬を紹介

する気になって来た。。




露天風呂に、ザワザワッと

何人かの男が入ってきた。

わりと静かだった風呂も

湯煙といっしょに、

賑やかになった。



「あれ~ロン?」


その声に振り向くと「アーッ剛!! 」

   (論の高校の同級生)がいた。


彼は元、論のツレで仲のいい

遊び友達だった。



「なんだよ~、水臭い。

 帰ってたなら

 電話くらいしろよ。

 何年たったんだよ!

 心配したぞ!」



  「おう、久し振り!

   元気だったか?

   結婚はしてるのか?」


剛は論に聞いてくる

論はつい懐かしさで剛の傍に

お湯を掻き分け近づいた。


「結婚してたら

 休みに野郎達と温泉くるか!!」

ピシャ

論はイタズラ紛れに剛の顔目掛けて

指鉄砲をピュッピユ



  「だなっ!! 俺も今は独身」

剛もついテンションがあがる。

ピュツピュ‪( ᷇࿀ ᷆ )‬💦


「俺らは先に部屋に行ってるからな!」

悠人と蒼介は、ひさしぶりのオレの

帰郷に気を利かせて、剛に


「じゃっ、論を宜しく。」

と挨拶をしてザバーン!

と水しぶきを挙げ

にっこりと挨拶をすると

ブラブラさせて出て行った。



剛は、地元のサッカーチームで試合があり、ペチャンコに負けたそうだ。

嘘か本当か分からないような話を

大げさに盛って俺を

楽しませてくれた。



論も、中・高とサッカー、空手をしていた。今はそのかいあってか粘り強い性格が身についた。




論がでた高校は進学校だった。

剛も頭が良く国公立の大学を出て

今は市のお役所人らしい。



時間は何年も合っていなかったのに

何分かで剛との時間は埋まって行った。

疎遠にならざるに負えなかったのを

彼は一番近くでみていた。




二人とも気になる話題を一番先に避けていた、しかし遂に剛が口火を切った。



「なあ、此処で合ったのも

何かの縁だと

 思って聞いてくれ。」



      「なんだよ…

       悪い話か?」



「まあ!そうかもしれん。

 杏奈なんだけどな、」



 「ア~聞きたくないなまえだね。

     確かに悪い話だ。」







「ローン」


  「杏奈何度いえばわかる?

   ローンなんて呼ぶなよ、

   短く論!

   はい、やり直し。」



「フウ~ンじゃあさ、

行かないんだね!!

取れたんだけど、

リオンのチケット!」

ピラピラ



俺は食べてた弁当箱を

ひっくり返しそうな勢いで

飛び上がった。


「まさか😱取れたの?

奇跡ジャネ‼」

俺は杏奈のピラピラと振るチケット

に飛び付いた!


 10月15日、


 俺の17歳の誕生日だった。



 彼女が居酒屋で

 バイトしたお金で取ったチケット

 なかなか人気のバンドで

 何度も外れていた。


 しかし、彼女の数打ちゃ当たるで

 何回もトライするが当たらず、

 諦めていた。

リオンは、ハ スキーな声で

メチャクチャカッコイい

 男のオレですら惚れまくるくらい

彼のステージは17歳の俺を

虜にしていた。


カラオケは必ずリオンの曲が

十八番に(オハコ)なっていた。 




杏奈は母子家庭で育ったのもあるが

料理も上手で弁当もよく作ってくれた。自分の中でいつの間にか杏奈と未来予想図が出来ていた

17歳のオレは杏奈とずっと生きて

行くと決まっていると

思っていた。




勉強して出世して不自由ない生活を

杏奈にさせてやる。


杏奈の母親にも親孝行する。

それが俺の夢であり目標となっていた。だからシッカリ勉強もした。


17歳の誕生日、リオンのコンサート

に酔いしれた。

しかし杏奈からのプレゼントは、

もう一つ用意されていた。

あの時のオレには

最高のプレゼントだった。

勿論リオンのコンサートも最高

だったが・・・

今は黒歴史と言う物かもしれない。


その夜、俺と杏奈は一つになった。

俺は初めてだったが杏奈は違った。

少しショックだったが

杏奈オンリーの俺は直ぐ立ち直った。


こんな事気にしていたら人生歩めない。

杏奈は栗色の髪に日本美人、優しい

笑顔で虜になるのは俺だけじや

なかった。


何人も綺麗になる杏奈を狙っていた。

高3になり受験生となった俺たちは

人生の上り坂にいた。



勉強、勉強、勉強の日々


それにくわえ杏奈は専門学校を

選んで、自分の道を歩きだした。




月日も早足ですぎ、オレは東京の某

大学に受かった。


彼女とは遠距離になるが

杏奈と過ごした日々は

愛情を確実な物へと変えていった。



東京から岡山まで新幹線で三時間半

頑張れば月二、三回あえる。



杏奈も一回くらい東京にくれば

ほぼ毎週会える。

今までと変わりはない。

週末の金曜日の夜から月曜日の

朝まで杏奈と過ごせた。

杏奈に会えないのは火水木の三日


新幹線に感謝したものだ。



そんな遠距離恋愛も

一年が順調に過ぎた。



しかし、杏奈が付き合って一年の

終わり頃から

免許取得の為来ることが

難しくなって行った。

医療事務は色々な資格を

取らないと卒業出来ない。

杏奈の勉強もあり合う頻度が

落ちて来た。


2年目に入り

杏奈のインターンシップも始まり

時間がなくバイトもあり

なかなか論としても、

そんな多忙な杏奈に

無理を言えない状態だった。


インターンシップは地元でも

有名な大きな病院に決まった。


そのまま就職が決まる事もある。


期間は1ヶ月

そこで事務処理や、受付、医療秘書

救急外来事務など勉強しているらしい。


毎日知らないことばかりで現場は

大変なようだ。


それから合う頻度がぱたりと落ちた。

体調を心配し合いながら叉月日は

バタバタと過ぎていった。


毎日電話したし、

ラインもしょっちゅう送ってきた。



だから会えなくとも就職で

東京にくると言う

彼女の言葉に励まされ

杏奈も頑張ってる


だから俺も勉強に身を入れた。



女の子に何人も告られたが、

断り続けた。

そりゃ男だガマンの限界もある。

言い訳がましいが風俗にも

何回かは、行った。



しかし、ふと気づいたんだ。

俺の誕生日、過ぎていた。



     10月15日


17歳の誕生日にはあんなに

リオンのチケット

を、取って俺を喜ばせようとしていた

杏奈はもういなかった。。




18の時もバイト頑張って

コートをくれたりして祝ってくれた。

勿論彼女の誕生日には倍の物を送った。


しかし今年は忘れられてるっポイ



一抹の不安がよぎるが電話や、

ラインもほぼ毎日来る‥

心配し過ぎだと笑ってしまう。



あれ?




土日だけラインが片寄ってる。


朝送ったら夜…とか、

昼送ったら次の日とか?



俺は剛に電話をして、

杏奈の様子を見てもらった。

浮気を疑っていた訳じゃない

彼女の体調が心配だった。

無理してるんじゃないか、

大変なんじゃないかとか‼

思い悩むより剛に見てもらえば

安心すると思った。




論に頼まれ論の心配も分かったから

杏奈の様子を見に来た。

論の出来ない事には手を貸してやる

部活のままのワンチームが俺を

動かしていた。


しかし俺が目撃したのは

杏奈のアパートから

若い男が出てきた。

後を追うように杏奈も出てきて

高そうな車に乗って仲、

むつましく去った。



剛は、項垂れた!

「杏奈、やらかしたのか~😱?

マジか!!何やってんだよ💦」




杏奈を信じ頑張ってるロンが哀れに

思えて本当の事は言えなかった。

それから何日かあの若い男と

杏奈の事を調べた、真っ黒だった。




とりあえず杏奈は学校と

バイトの往復だ…

とロンにはラインで送って

安心させた。



しかし本当の事をどうやって

伝えるべきか?


 "ストレートに言えば…

あの性格…だし。" 


ウ~ン!


カフェでなやんでいたら、

  「剛!! 」


  ヒ、ヒぇエエエェェ

後ろからロンが現れた。

剛のかけていた眼鏡もぶっ飛んだ。

くらいの飛び上がった。


慌ててスマホをかくそうとする前に

ロンにスマホを取られてしまった。


・・・\(; ºωº \ Ξ / ºωº ;)/エッ、 エッ、エッ ?


アタフタとする俺を無視しながら

論は、携帯の画面をスクロール

何枚もある保存画面を見る顔は、

笑い顔から段々と険しくなって

行った。



「ス、すまん。」

 俺は俯いて何も言えなかった。


ロンは、画面に写る杏奈をみて、

顔色も変わり、強張ってきた。



      「すまん!!ロン。」


俺は仕切りに謝った

ロンの顔は蒼白になった。

見ていた俺の携帯を

ゆっくりとテーブルに置き

ポケットから自分の携帯を取り出すと

杏奈の番号を押した。





何回もかけてみるが出ない。


「もう、論やめろ‼

やめるんだ。」


俺は論の携帯を取り上げると

論は立ちつくしていた。


暫く呆然と時間が過ぎていった。


論はテーブルの上の携帯をつかむと、

フラフラと歩き出し、

店を出ていった。

車にぶつかりそうに歩く論を、俺は

慌てて追いかけた。




     「待て、待てロン。」



俺は叫びならロンを必死に

追いかけた。


ロンの腕を引いてぶっ叩いた。


 鹿

ロンはよろけながら


携帯を川に投げ捨て、道路に

俯せになって声を殺して泣いていた。



 「もう!俺は此処に帰らない。

  アイツに伝えてくれよ。」 


そう偶然杏奈と彼氏のツーショットが続き、最後には濃厚なキスシーン!


一途な論にとっては残酷な

1枚だったに違いない!







電話は、繋がらない。


杏奈の新彼はイケメンで

俺達より7歳上‼

杏奈がインターンシップで

仲良くなった若い外科医だった。



どう取り繕えとゆうのか?

ロンは見てしまったんだ。





  杏奈を呼び出し聞き出した。



  ロンにしてやれる俺の、最後の

  悪足掻きだ。


相手は医師、軽い付き合いだった。


 「そんな、嘘はいい、

  深い付き合いなのか?」


   「どうなんだ?」


「ち、ちが…」

杏奈は、俺を見て涙ぐんだ。


  「 ロンはいい奴だよ。

    だまし通すのか?

    杏奈なにやってんだよ。」


「…  ゴメン。…」




 「付き合って…る。彼が

        好きなの。」


そして続けて言った。


「友達はいっも彼氏と一緒なのに…

 寂しかったの…

 自分だけ一人な気がして…

 ゴメンナサイ。」


女の涙ほど男を串刺しに

して動けなくする、武器はない。





 そんな風に泣きながらも

 何時の間にか男を呼び出し

 帰っていく。



杏奈の涙は男を惑わす小道具か? 

杏奈よ、お前も小悪魔だったんだな!!



車の中にロンを待たせて、俺も

泣いた。




「情けない、あんな女だったとは…。」

ロンがバカす…じゃなく可哀想過ぎ

る。俺もそれから女が信じられない。



 「杏奈、幸せになれ…。」

論はそれだけ呟き杏奈を見送った。


そのまま空港にロンを送った。

それから10年ロンはどこで何してい

るか俺達は知らなかった。

連絡をよこさない論を攻める気も

起きなくて論の傷が癒されるのを

ただただ待っていた。

傷が言えたら連絡する、論の

言葉を重く受け取った。



そして、たまたま汗流しにやってきた温泉で論と再開した。


過去に起きた出来事を忘れた様な

明るい論にオレは安心した。







       


       




















  


       










   











        

       









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