鋼鉄都市
☆STEP 1
アイザック・アシモフはSFとミステリの両ジャンルで活躍した作家。なにより「ロボット三原則」を提唱したことが偉大でしょう。きちんとルールを定めて、事前に読者と共有しておけば、本格ミステリは成立するということを世間に示したのは大きい。近年の特殊設定ミステリの隆盛も、アシモフあってのことと言ってよいのかもしれません。
この作品でも三原則が肝になります。簡単にあらすじを。鋼鉄製の超巨大ドームの町で暮らす人間たち。科学者が死に、ロボットと人間との共同捜査が始まります。
では、英訳作業に入りましょう。
今回は漢字四文字ですが、実際の要素は二つです。「鋼鉄」と「都市」。
まず「都市」は【city】か【town】でしょう。規模のイメージでいうと、どっちかといえば前者か。
そして「鋼鉄」はスティールでしょうか。綴りは【steel】かなぁ。
☆STEP 2
というわけで……
“The Steel City”
……で、どうでしょうか?
☆STEP 3
正解は……
“The Caves of Steel”
……でした。
んー【caves】とはなんぞ? おそらく【cave】の複数形だとは思うのですが。早速、辞書をひきます。「洞窟、洞穴」「地下蔵」、俗語で「窓のない事務室」とあります。
なるほど。巨大ドームというか人間の居住地のである閉鎖空間のことを「洞窟」としているのか。この作品では人間たちは生活空間の外に出ることがまずないとされています。
私なりに原題を直訳すると「鋼鉄の洞穴」となります。「都市」というとオープンな空間をイメージするのが当然でしょうが、この作品において「都市」は広大ではあるものの、閉鎖された空間なのです。それでも「都市」を訳語に持ってきたのは邦題をつけた人のセンスだなぁ、と。
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