郵便配達は二度ベルを鳴らす

 ☆STEP 1


 過去最高難度なのではなかろうか。やはり「○○の××」パターンのタイトルが多いですが、凝ったものも多い。ジェームズ・M・ケインの1934年の作品。

 これをミステリとしていいのかも迷うところですが、取り上げます。ませた高校生だった頃に新潮文庫かなにかで読んで、よくわからないけれども凄かった思い出があります。今、読めばまた深い理解ができるんでしょう。

 では、英訳作業に入りましょう。

 まずは「郵便配達」ですが、これは「郵便配達員」でしょう。【postman】でしょう、ポストマン。「ベル」は【bell】か。それとも【bell】には名詞のベルだけでなく、動詞の「ベルを鳴らす」というところまで含むのだろうか。後者だと楽なんだけどな。「鳴らす」を別にひねりだしたくはない。うん、【bell】で済ませてしまおう。

 問題は「二度」。【two times】か、【twice】か。




 ☆STEP 2


 というわけで……


 “The Postman Ring Bell Two Times”


 ……で、どうでしょうか?

 結局、「ベルを鳴らす」は【bell】一語ではなく、【ring】が「鳴らす」じゃないかと時間切れ直前に気づき、変更。「リング・マイ・ベ~ル、リング・マイ・ベル」という洋楽なかったっけ。




 ☆STEP 3


 正解は……


 “The Postman Always Rings Twice”


 ……でした。


 え! 【always】って、「いつも」か。まぁ確かにやつは問題の家を訪れる際に「いつも二度ベルを鳴らす」のですが。

 そして【bell】がない。心配なので英和をひきます。「ベル、鈴、呼び鈴、鐘」。動詞としては「…に鈴〔ベル〕を付ける」、そして「〈鐘が〉鳴る」でした。なるほど、「鳴らす」ではないのか。

 次は【ring】。名詞の「輪」「指輪」の他に動詞で「…を〔…で〕取り囲む」「…に輪をはめる」。

 おや、「鳴る」はどこだ?

 よくみると【ring】は二つあります。

 二番目のほうには「電話をかける」「鳴る」とあります。よかった。

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