お楽しみの埋葬

 ☆STEP 1


 エドマンド・クリスピンという作家が今、どれくらい読まれているのか。ちょっと自信はないのですが、この『お楽しみの埋葬』くらいは手に入るような環境であってほしいものです。

 では、英訳作業に入りましょう。

 といっても、今回は過去最高クラスの難度(私にとっては)。まず「埋葬」が出てこない。いや、なんとなく「ドゥーム」みたいな響きの単語がなかったっけくらい。

 そして「お楽しみの」。うーん、これも頭を抱えます。「楽しそうな」ではないんだろうなぁ。「楽しみにしている」でしょう、きっと。「心待ちにしている」だとちょっと離れすぎるかなぁ。なにしろ日本語の「お楽しみ」の含みがうまくとらえきれません。

 きっと私が知っているような単純な英単語では表せないニュアンスを持った言葉だと思うのです、「お楽しみ」は。




 ☆STEP 2


 というわけで……


 “ The Funny Doom”


 で、いかがなもんでしょう?




 ☆STEP 3


 正解は……


 “Buried for Pleasure”


 ……でした。



 大はずれだということは予想できましたが。これほどとは。

 そうか【for pleasure】、「楽しみのために」が「お楽しみ」なのか。一応、【pleasure】を辞書でひく。「喜び」や「娯楽」といった言葉があります。

 問題は【buried】。これ、きっと【bury】とかいう動詞の活用形なんだろうな、と。調べるとやはり【bury】で意味は「埋葬する」「埋める」とのこと。

 せっかくなのでダイレクトに「埋葬」で和英をひくと【burial】と【interment】が出てきました。

 間違えた【doom】は「悲運、凶運、破滅」とのこと。もしかして「墓」と間違えたのかもしれないと和英をひくと、「墓」は【grave】と【tomb】でした。「悲運」をどこから掘り出したのかは謎です。


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